年末年始は多くの医療機関や薬局が休みに入りますが、中には診察を行う医療機関や営業する薬局もあります。長期休暇中の急病に備えて、利用可能な医療機関や薬局を調べておくとよいかもしれません。
ところでネット上では「年末年始に薬を処方してもらうと、いつもより値段が高くなる」という内容の情報がありますが、本当なのでしょうか。12月下旬に受診する場合、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。薬剤師の真部眞澄さんに教えていただきました。
■調剤技術料の時間外加算が発生
Q.ネット上では「年末年始に薬を処方してもらうと、いつもより値段が高くなる」という内容の情報がありますが、本当なのでしょうか。
真部さん「基本的には、いつ処方されたとしても薬そのものの値段が高くなるということはありません。
しかし、薬局で薬を処方してもらう際に支払う金額には、薬の値段のほかに『調剤技術料』が含まれています。調剤技術料の中に夜間や休日など、特定の日にちや時間帯の加算項目があるため、そういった理由で支払う金額がいつもより高いということはあると思います。
また、年末年始や大型連休を挟み、次の診察までの期間が通常よりも長くなってしまう場合などは多めに薬を処方されることがあります。その場合、単純に通常時よりも薬の処方量が多いために値段が高くなっているという可能性もありますね」
Q.多めに処方してもらうことが難しい薬はあるのでしょうか。
真部さん「年末年始などのスケジュールを見越して多めに薬が処方できるのは、慢性疾患の薬や日常的に服用している薬で、医師の判断で可能となる場合があります。
ただし、必要最低限の処方が推奨される抗生物質や、依存性のリスクがあり一度に処方できる量が定められている薬など、処方量の調整ができないものも少なくありません。そういった薬を処方されている場合は、あらかじめ医師や薬剤師から説明があるとは思いますが、相談をしながら来院日の調整などを行っていただくことになります。
また、処方量の調整が可能な薬の場合でも、年末年始の前後は特に医療機関が混雑するため、余裕のある期間にあらかじめ多くもらっておくという方法も良いと思います」
Q.12月下旬に医療機関を受診する場合の注意点について、教えてください。
真部さん「処方箋を受け取ったら、なるべくその日のうちに薬を受け取るようにしましょう。
年末年始は多くの医療機関、薬局が休みに入る、もしくは通常とは異なる診察時間、営業時間であることが多いです。そのため、薬を受け取れないまま長期休みに入ってしまうリスクがあります。処方箋の有効期限は発行された日から4日間(土日祝日を含む)と決められているため、もし医療機関や薬局が休業に入ってしまった場合、処方箋の有効期限が切れてしまう可能性があります。
また、連休中に緊急の事態が発生した場合などに備えて、医療機関と薬局の緊急連絡先を確認しておくと安心です」
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何らかの持病がある人は長期休暇中に薬がなくならないように、年内に医師や薬剤師に相談しておくとよいかもしれません。
オトナンサー編集部