忘年会や新年会…年末年始は酒を飲む機会が増えている人は多いのではないでしょうか。体質にもよりますが、頭痛やめまい、吐き気など「二日酔い」のひどさに悩んでいる人もいるのではないでしょうか。そこで、二日酔いの症状を軽減するために役立つ成分が豊富に含まれている海苔(のり)について、農産物や海藻などの食素材、生薬の機能性研究、タウリンの生理・薬理作用の解明などを行っている福井県立大学看護福祉学部看護学科・大学院健康生活科学研究科の村上茂特命教授に解説してもらいました。
■実は「シジミ」より、効果が期待
まず、海苔の栄養素について教えてもらいました。村上教授は「海藻は意外にもタンパク質が豊富で、海苔にもタンパク質が多く含まれています。しかも、脂肪分が少なく低カロリーであることが特徴になっています」と話しながら「ビタミンA、B1、B2、B9(葉酸)、C、Eなどのビタミン類、ヨウ素、鉄、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラル、食物繊維、魚油のエイコサペンタエン酸(EPA)など、健康維持に必要な成分が多く含まれています。さらに、ワカメや昆布にはほぼ含まれていないアミノ酸誘導体のタウリンが、海藻類の中で最も多く含まれています」と説明してくれました。
アルコールにはエタノールが含まれているのですが、エタノールは肝臓で代謝され、二酸化炭素と水になります。その過程で生成する、毒性が強い「アセトアルデヒド」が二日酔いの原因物質になります。
アセトアルデヒドは、「発がん性もあり、食道がんなどの発症リスクを高めます。また、エタノールの代謝時には活性酸素が発生するため、肝細胞がダメージを受け、肝疾患になりやすくなります。タウリンはアセトアルデヒド脱水素酵素の働きを2倍程度高めて酢酸への分解を早めることが確認されおり、アセトアルデヒド量を減少させ、二日酔いを防ぐことができます。さらに、タウリンは抗酸化作用を持ち、活性酸素の働きを抑制して、肝細胞を保護する働きもあります」。
二日酔いには、「シジミのおみそ汁」を飲むとよいと聞いたことがある人も多いと思います。そこで、シジミの栄養素についても教えてもらいました。
「シジミが二日酔いによいとされるのは、シジミに多く含まれるアミノ酸の『オルニチン』によるもので、やはりアセトアルデヒドの分解を促進するといわれています。実際、シジミのタウリン量は100グラムあたり5ミリグラム以下で、1200ミリグラムの海苔に比べると少量で、タウリンの効果はほとんど期待できないレベルと思われます」と説明してくれました。
海苔以外にも、二日酔い予防や対策になる食品などについても質問すると、「タンパク質が豊富な肉、チーズ、ナッツ類などを食べることで、アルコールの吸収がより緩やかになり、酔いの回りを遅らせることができます。ビタミンB1はアルコールの分解を早める作用があり、ビタミンB1を豊富にを含む大豆、玄米、ソバなどは酔いを減弱する効果が期待できます」と回答してくれました。
酒の機会が増える年末年始。二日酔いで1日を無駄にしないよう、海苔などのタウリンが豊富な食材やメニューを食べて、健康的な日々を過ごすようにしましょうね。
オトナンサー編集部