昼食後に眠気に襲われて困ったことがある人は多いと思います。なぜ食後に眠くなることが多いのでしょうか。食後にできるだけ眠くならないようにするには、食事の際にどのような食べ物を摂取するのがお勧めなのでしょうか。食事と眠気の関係性のほか、食後にできるだけ眠くならない方法について、管理栄養士の桜井このさんに教えていただきました。
■「トリプトファン」が眠気の原因になることも
Q.そもそも、食後に眠くなることがあるのはなぜなのでしょうか。
桜井さん「これは人間が食べ物を食べたときの自然な反応なのですが、食べ物を消化するために全身から胃腸に血液が集まることや、炭水化物を糖質に分解するときに血糖値が上昇することが大きな原因です。
血糖値は、消化が進むと次第に落ち着いていくため、眠気もおさまるのですが、眠気がなかなかおさまらなかったり、体がだるくなったりした場合は血糖値の上がり下がりが急激に起こっており、体が疲れやすい状態になっている可能性がありますね」
Q.食べると眠気を感じやすくなる食材について、教えてください。
桜井さん「先ほど挙げた理由の中で血糖値に関するものは、食べ物が関係しやすいです。というのも、炭水化物を糖に変換する際に血糖値が上がるため、麺類や白米などの炭水化物をたくさん摂取すると、その分眠気が生じやすくなります。
また、アミノ酸の一種である『トリプトファン』という成分も、リラックス効果により睡眠の質が向上するメリットがある一方、眠気につながりやすい側面もありますね。タンパク質の中に含まれるアミノ酸なので、お肉やお魚などを食べると眠気を感じやすくなるかもしれません」
Q.昼食後などに眠くなるのをできるだけ防ぐには、どのような食べ物を選ぶと良いのでしょうか。
桜井さん「食後にできるだけ眠くならないようにするために、まずは急激な血糖値の上昇を抑えることが大事です。食べ物を食べると血糖値が上昇するのは自然なことですが、体に負担をかけるほど急激に上昇しないようにすることが重要です。
血糖値の上昇を緩やかにするには、野菜類を積極的に摂取していただくのがお勧めです。特に葉物野菜などは消化に時間がかかりませんし、炭水化物やアミノ酸なども多く含まれていません。または、炭水化物を食べる前にあえて食物繊維の多い野菜を食べて、炭水化物の消化に時間をかけるというアプローチも有効だと思います」
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肉や魚を食べると、眠気を感じやすくなる可能性があるのは意外でした。また、炭水化物は気軽に食べることができる分、摂取量が多くなりがちなので注意が必要です。昼食後に眠くなりやすいのであれば、野菜を多めに食べるのもよいかもしれませんね。
オトナンサー編集部