起床時は口の中がねばついていたり、口臭がひどくなったりしている場合があります。その場合、歯を磨いてから飲食をすべきなのでしょうか。起床時に歯を磨かないまま朝食を取ると、体にどのような影響を与える可能性があるのか、ヨコデンタルクリニック(千葉県佐倉市)・院長で歯科医師の横引良評さんに聞きました。
■就寝中に唾液の分泌量が低下
Q.そもそも、起床時に口の中がねばついていたり、口臭がひどくなったりしている場合がありますが、なぜなのでしょうか。原因について、教えてください。
横引さん「起きたときに口の中がねばつくのは、唾液の分泌量と細菌の繁殖が関係しています。唾液には細菌を増えにくくする作用がありますが、就寝中は唾液が分泌されにくくなります。さらに睡眠中は口を開けて呼吸をすることが多くなり、口内が乾燥するため、唾液が不足します。
特に虫歯菌として知られるミュータンス菌は、就寝中に糖分をエサとして繁殖し、その際、エサにした糖分をグルカンという粘性物質に変えるため、結果として口のねばつきが発生し、口臭を引き起こします」
Q.起床時に歯を磨いた方がよいのでしょうか。それとも、歯を磨かずに飲食をしても問題はないのでしょうか。理由も含めて、教えてください。
横引さん「先述のように就寝中は唾液の分泌量が減るため、起床時の口の中は細菌でいっぱいの状態です。細菌を排出するために、起きてすぐのタイミングで歯を磨くのがお勧めです。しかし、起床時に歯を磨くのが難しい場合は、洗口液で口をゆすぐと良いです。
起床時に歯磨きや洗口液でのケアを行わずに、そのまま飲み物を飲んだり朝食を取ったりすると、細菌も一緒に飲み込んでしまうことになります。若くて健康な人はそれほど問題がありませんが、場合によっては腸内環境の乱れにつながるかもしれません。なるべく口内環境をリセットしてから1日をスタートさせましょう」
Q.もし起床時に歯を磨かずに飲食をする生活を続けた場合、歯の健康にどのような影響を与える可能性があるのでしょうか。
横引さん「先述のように起床後、歯磨きをせずに飲食してしまうと、口の中に残った細菌を飲み込んでしまい、内蔵の環境を悪化させるリスクも高まります。
歯磨きが不十分になると細菌の塊である歯垢(しこう)ができやすくなり、口の中の衛生状態が悪化します。そして、歯の健康が全身の健康に影響するのです。起床時の歯磨きを習慣づけ、清潔で健康な口腔(こうくう)内を維持しましょう」
Q.起床時に口の中がねばついていたり、口臭がひどくなったりしている状態が続く場合、歯科医師に相談した方がよいのでしょうか。
横引さん「一時的に口の中がねばつくのは、体調不良やストレスが原因として考えられます。しかし、口の中のねばつきやひどい口臭が続く場合は歯周病も考えられるため、早めに歯科医師に相談した方がよいでしょう。歯周病は放置すると歯を失う原因になるため、できるだけ早く治療を受けていただきたいです」
オトナンサー編集部