看護師として働く女性が年の瀬に思うことについて描いた漫画が、Instagramで再掲載され、1万3000以上のいいねを集めて話題となっています。
自分と関わりがあった入院患者が次々と亡くなっていくことを経験し、大切なことに気付いた看護師の女性。1年の終わりに、彼女が思うことは…。読者からは、「すてきな考え方ですね!」「私も人とのかかわりを見直そうと思いました」「気持ちを忘れそうなときは、この作品を見て思い出したい」などの声が上がっています。
■患者と明日も会えるとは限らない
この漫画を描いたのは、Instagramで漫画を発表している、看護師兼イラストレーターの「ツナ看。」さんです。ツナ看。さんに、作品についてのお話を聞きました。
Q.今回の漫画を描いたきっかけを教えてください。
ツナ看。さん「作中に登場する患者さんたちは、実際に私が出会った人たちをモデルにしています。
『最初はまったく自立だったところから、徐々に寝たきりになり、病院で最期を迎える』…。新人の頃の私は、A子さんがこんな形で最期を迎えるとは思ってもいませんでした。人は数日、数年で変わると知った今、心のどこかで『この人と明日、来月、来年同じ状態で会えるかどうかは分からない』と思うようになりました。
この心持ちは、あまり心地の良いものではありませんが、人との出会いや時間を大切にするという観点から、とても大切なことだと思っています。このことを少しでも多くの人たちに共感していただけたなら、皆さんも仕事のストレスが軽くなったり、自然と人に対する言葉掛けや配慮が優しくなったりするのではないかと思ったことが、今回の漫画を描いたきっかけです」
Q.この作品は、2023年の年末に描かれたものだそうですね。当時の自分と比較して、ご自身が「看護師として成長したな」「こんなことが変わったな」と感じることはありますか。
ツナ看。さん「全てにおいてではありませんが、『また今度やればいいか』の精神が、後悔や痛手を負うことにつながると知ったので、迷うことはあっても、臨機応変に行動に移せるようになったなと感じます。『時間はないけれど、これをやりたい』『少し手間がかかるけど、これはやった方が良いかも』と思ったことを、後回しにせず実行できるようになりましたね」
Q.看護師の仕事をする上で、特に大切にしていることは何ですか。
ツナ看。さん「職場の先輩からの教えなのですが、『次回はもしかしたら会えないかも』ということを、頭の片隅に置きながら患者さんと関わることです。この言葉を意識するようになってから、結果はどうあれ『やっておけば良かった』と後悔することが少なくなりました。さまざまなシーンで迷いなく行動できるようになりましたね」
Q.看護師として仕事をする中で、特に「やりがい」を感じるのはどのようなときですか。
ツナ看。さん「患者さんとの距離が縮まったと実感できたときや、看護師として頼りにしてもらえたときなどにやりがいを感じます。
今年から訪問看護を担当することになり、病状的に安定した人と関わる機会が多くなりました。初めてお会いしてからしばらくは、お互いにどこかよそよそしい感じになりがちですが、徐々に『来てくれて安心した』と頼りにしてもらえたり、『実は…』と本音を話してくれたりするんです。つらいことや苦しいことってなかなか人に相談しにくいですよね。『この人なら話してもいいかな』と、信頼してもらえた気がして、その瞬間は『この仕事を続けていて良かったな』と感じます」
Q.今年、何か新しく始めてみたいことはありますか。
ツナ看。さん「正直、やりたいことが多過ぎて困っています。描きたい看護ネタのイラストのストックもたくさんありますし、絵に関しても、もっときれいな線が引けるようになりたいです。鮮やかな色使いができるようにもなりたいですし、オリジナルグッズの制作もしてみたいです。
また、まだ自分の名刺を作っていないので、今年こそは作りたいとも思っています。企業秘密の企画もいくつか進行中なので、その実現に向けて頑張りたいです」
Q.作品について、どのような意見が寄せられていますか。
ツナ看。さん「『忙しい中で、患者さんや利用者さんとの時間を大事にできていなかった』『いつ別れが来るかも分からないから後悔のない時間を過ごしたいと思った』『一瞬一瞬を大事にしていきたい』などと、たくさんの方からコメントを頂きました」
オトナンサー編集部