ストレスを感じたときに、ついやけ食いをしてしまう人がいます。この場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。もしやけ食いが癖になってしまった場合、やめることは可能なのでしょうか。やけ食いの原因や対処法について、心理カウンセラーの平井綾乃さんに教えていただきました。
■ストレスにより分泌される「コルチゾール」が食欲に影響
Q.そもそも、ストレスを感じたときになぜやけ食いをしてしまうことがあるのでしょうか。やけ食いはストレス解消に有効なのでしょうか。
平井さん「結論から言うと、食べてしまったことへの罪悪感から心理的に逆効果になることが多いので、やけ食いでストレスを解消するのは、できれば避けたいです。
そもそもストレスを感じるとなぜ食べてしまうのかについてですが、ストレスがたまると副腎皮質から『コルチゾール』という物質が分泌されます。この物質は食欲を抑制するセロトニンの分泌を下げる作用があるので、結果として食欲が増し、おなかが空いていない状態でも食べたくなってしまいます。
食べているときは幸福に満ちているかもしれませんが、食べた後に後悔するのは言うまでもないでしょう。また、たくさん食べたとしても、ストレスの原因は解消されていません。『たくさん食べて後悔しても、再び食べてしまう』といったように、同じことを繰り返して悪循環をたどることも多いようです。こうならないためには、ストレスの原因と向き合って問題を解決する必要がありますね」
Q.では、ストレスを感じたときについやけ食いをしてしまう場合、どうすればやめることができるのでしょうか。
平井さん「やけ食いをやめようとすると、かえって反動で繰り返すケースが多いですね。まず、やけ食いをしてしまうことは一度置いておいて、根本のストレスにきちんと対処していきましょう。
ほとんどの場合、1人でストレスを抱えきれなくなっていると思いますし、長期にわたってストレスをためている状態が続いている可能性も高いです。そのため、根本的な解決を目指すのであれば、専門家の下で継続的なカウンセリングを受けることをお勧めします。
あとは、やけ食いをしたくなったら『奮発して高価なおいしいもの』を食べるといいですね。高価なものはそこまでたくさん食べることができませんし、おいしいものは心が満たされます」
Q.ちなみに、ストレスを感じる出来事に遭遇した場合、どのように対処するのが望ましいのでしょうか。
平井さん「ストレスをゼロにしようとすると、かえってストレス反応は大きくなるケースが多いですね。まずは、いかにストレスから回避するか、逃げるかを考えていきたいです。とはいえ、これは1人で考えるには限界がありますから、カウンセラーや専門家に相談することをお勧めします。
例えば、ストレッサー(ストレスの原因)が上司や同僚など、明確になっている場合、多くの場合は1人で状況を変えることが難しいので、その環境でどうやって対応するのがよいか、専門家から意見を聞くことをお勧めします。専門家と話してみた結果、もしかしたら置かれている環境から離れた方がよいこともあるかもしれません。
家族や友人に話すのも一時的なストレス発散には効果的ですが、何度も言いますが、ストレスの原因を解決するには、専門家に話すのが良いですね」
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もしやけ食いがなかなかやめられない場合、1人でストレスを抱えきれなくなっていることや、長期にわたってストレスをため続けている可能性が考えられるということです。無理をせずにカウンセラーや専門家に相談してみましょう。
オトナンサー編集部