2月中旬以降、全国の多くの地域でスギ花粉の飛散が本格的に始まると予想されています。近年はスギ花粉の飛散量が増加傾向にあり、以前は花粉症に悩まされたことがなかった人が新たに発症してしまうケースもあるようです。
ところで、ネット上では「花粉症の市販薬は、症状が出る前から飲んだ方がよい」という内容の情報がありますが、本当なのでしょうか。花粉症の主な症状や市販薬を服用する適切なタイミングなどについて、薬剤師の真部眞澄さんに教えていただきました。
■症状が出てから服用すると薬の効果が薄くなる
Q.そもそも花粉症になると、どのような症状が出ることが多いのでしょうか。
真部さん「花粉症の主な症状は、鼻と目の2カ所に出ることが多いです。鼻の症状は、『鼻詰まり』『くしゃみが出る』『透明で水っぽい鼻水が出る』といった症状です。黄色っぽい粘度の高い鼻水は、風邪のときの症状であり、花粉症の症状とは異なります。目の症状としては、涙目や目の充血、目のかゆみなどが挙げられます。
また、『副次的にせきが出る』『喉がイガイガする』など喉に症状が出たり、おなかが緩くなったりすることもあります」
Q.市販の花粉症薬を飲むのに適切なタイミングについて、教えてください。症状が出てからでは遅いという話を聞きますが、本当なのでしょうか。
真部さん「内服タイプ、いわゆる飲み薬であれば、症状が出る前から予防的に飲んでおいた方がよいというのは本当です。
できれば花粉が飛散し始める10日ほど前から飲み始めるのがベストですね。症状が出てからの服用では、侵入した花粉に対するアレルギー反応がすでに始まってしまっているため、どうしても効果が薄くなってしまいます」
Q.市販の花粉症薬は飲み続けてもよいものなのでしょうか。注意点も含めて、教えてください。
真部さん「花粉症の薬は市販薬だからといって、短期間しか飲んではいけないというわけではないですね。
ただし、これは用法用量を守った上で、きちんと効果が実感できている場合の話です。1週間以上服用して効果が見られない場合は、薬が合っていなかったり、併用薬に問題があったりする可能性もあります。そういった場合は、自己判断で薬の量を増やすのはNGです。医療機関を受診しましょう。
一部の薬は、症状改善が見られても2週間を超えて服用する場合は医師、薬剤師に相談するよう記載があるため、注意しましょう」
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花粉症の市販薬は、花粉の飛散の10日ほど前から服用すると、最も効果が期待できるということです。昨シーズンに花粉症に悩まされた経験があり、薬剤アレルギーや併用薬の心配がない人は、今から準備しておきましょう。
市販薬だからといって飲み続けてよい期間に制限はありませんが、市販薬の服用を始めて1週間たっても効果を実感できない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
オトナンサー編集部