日々の食事で血糖値を気にしている人にとって、多種多様な食品で見かける「糖質オフ」「糖質ゼロ」「糖質カット」といった表示はどれも魅力的に見えるのではないでしょうか。
しかし、自身も30年の1型糖尿病歴がある、eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんは「実はこの中に、血糖値が上がってしまう可能性があるものが2つ潜んでいる」と指摘します。血糖値を上げてしまうかもしれない表示は「糖質オフ」「糖質ゼロ」「糖質カット」のうち、どれなのか……詳しくご解説いただきました。
■「糖質」と「糖類」の違いにも注意
日々、血糖値に気を使っている人の中には、スーパーやコンビニなどで食品を手に取るとき、「糖質オフ」「糖質ゼロ」「糖質カット」といった表示をチェックしている人も多いのではないでしょうか。これらは一見すると、どれも糖質が「ない」ように感じられますが、実はこの中に、血糖値が上がってしまう可能性のあるものが潜んでいます。
結論から言いますと、「糖質オフ」「糖質ゼロ」「糖質カット」の中で血糖値を上げる可能性があるのは、「糖質オフ」と「糖質カット」の2つです。
炭水化物は「糖質+食物繊維」ですが、このうち血糖値を上げるのは糖質で、食物繊維は血糖値を上げません。これを踏まえ、「糖質オフ」「糖質ゼロ」「糖質カット」について解説します。
【糖質ゼロ】
100グラム当たり0.5グラム未満の場合、「糖質ゼロ」と表示できます。糖質0.5グラムは血糖値にほとんど影響しないため、血糖値を気にせずに食べても問題ありません。
【糖質オフ・糖質カット】
「糖質オフ」は、“糖質が控えめ”であることは伝わる表示ですが、どの程度少ないのかは分かりにくいです。例えば、「糖質50%オフ」などの表現であれば参考になりますね。「糖質カット」も同様です。
なお、「糖類オフ」の基準はありますが、「糖質オフ」の基準は定められていません。よって、栄養成分表示の「糖質」または「炭水化物」の表記を確認して参考にするしかありません。
ちなみに、この「糖類」とはブドウ糖や砂糖のこと。つまり、「糖類ゼロ」であればブドウ糖や砂糖は使われていませんが、その他の糖質が含まれていることがあり、血糖値に影響します。一方、「糖質ゼロ」は糖質そのものが含まれていないので、血糖値には影響しません。この違いに注意しましょう。
最後に、血糖値を気にしている人が、糖質が含まれない食品を正しく選ぶためのポイントをお伝えします。
一般的に、「糖類ゼロ」と書かれているものには糖質が含まれていることが多いです。「糖質カット」や「糖質オフ」にも、実際は糖質が含まれます。
血糖値を気にするのであれば、「糖質ゼロ」を選ぶと間違いありません。栄養成分表示に記載してある糖質や炭水化物の量を確認する癖をつけましょう。
オトナンサー編集部