和食の味付けに欠かせない「だし」。さまざまな種類がありますが、中には「いりこだし」を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。一方、SNS上には「いりこだし使ってるけど、『いりこ』って何?」という声もみられ、「いりこ」が何のだしか分からずに使っている人が意外と多いようです。
■東日本では「煮干し」
実は、いりこは「煮干し」と同じもの。両者に原料や作り方の違いは特になく、一般的に「カタクチイワシ」を煮て干し、乾燥させたものです。他にもウルメイワシやマイワシ、サバ、トビウオを使っていることから分かる通り、要は小魚の干物の一種。主に西日本では「いりこ」、東日本では「煮干し」と呼ばれていますが、なぜ呼び方が違うのか理由ははっきりしていません。
ちなみに、いりこ(煮干し)は大きさによって呼び名が違います。8センチ以上のものを「大羽(おおば)」と呼び、6~8センチが「中羽(ちゅうば)」、4~6センチが「小羽(こば)」、3~4センチが「かえり」。「かえり」より小さい3センチ以下のものが、聞きなじみのある「ちりめん」です。
いりこの大きさによってだしの濃さや風味が変わるので、適する料理も変わってきます。うどんのつゆなどに合うのは、うまみが強い大きないりこ。小さないりこはあっさりとした味付けになるため、煮物に使用するのがおすすめです。つくだ煮にするほか、そのまま食べるのにも適しているようですよ。
いりこだしの取り方には「水出し」と「煮出し」の2種類があり、水出しの方がえぐみが少なくスッキリとした味わいに。煮出すと風味が強く濃い味わいになるので、好みや料理に合わせて変えてみるとよさそうです。下ごしらえで頭とワタを取り除くと、雑味や臭みが減ってさらによいだしを取れます。
何とも奥の深い「いりこ=煮干し」の世界。言葉の意味を踏まえながら使っていけば、いつもの料理がよりいっそう楽しくなるかもしれませんね。
オトナンサー編集部