2023年も残りわずか。
クレカ業界でも1年でさまざまなサービスが開始したり、変更があったりしたが、2023年の1年で起きた出来事を振り返りたい。
クレジット・デビット・プリペイド・キャッシュカードが1枚になったOliveフレキシブルペイの誕生
2023年の早い段階で発表されたのが「Oliveフレキシブルペイ」だ。
1つのカードでクレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、キャッシュカードを利用でき、クレジットカードやデビットカード、プリペイドカードはアプリで切り替えて利用する。
使い道があるのかと考えると、クレジットカードの審査が通ればクレジットモードから変更することはほとんどない。それでも全く新しいサービスを提供したのは三井住友カードの本気さを感じる。
2024年春にはVポイントとTポイントの統合もひかえており、「三井住友カードなら何かやってくれそう」と感じさせたサービスと言っても良いだろう。
楽天プレミアムカードの改悪
2023年11月に発表となった年会費1万1,000円(税込み)の楽天プレミアムカードの改悪はインパクトがあった。
2023年12月からのSPUで+2倍の対象からはずれ、プライオリティ・パスについても2025年1月以降は年間5回までしか無料での利用ができなくなる。
年会費が高額な楽天プレミアムカードで還元率と付帯特典の改悪で保有者はダブルパンチと言える。
海外旅行傷害保険の見直しが相次ぐ
2023年は新型コロナウイルス感染症の5類移行となり、移動も増えてきた。
コロナ禍では海外旅行傷害保険を利用する機会がなく、付帯条件を変更するカードが増えてきたが、2023年も海外旅行傷害保険の見直しが相次いだ。
ビューカードは2023年7月より自動付帯から利用付帯に、エポスカードとジャックスは2023年10月より自動付帯から利用付帯に変更。
大丸松坂屋カードは2024年4月以降、海外旅行傷害保険・国内旅行傷害保険を終了。
2024年以降に海外旅行を考えている場合、海外旅行傷害保険の条件を確認するようにしよう。
新NISAに向けたクレカ積立が増加 月10万円積み立てできる組み合わせも
2024年1月には新NISAが開始し、証券会社も新NISAに向けた対応を行ってきた。
それに合わせて、クレカ積立サービスが増えており、2023年も「SBI証券+大丸松坂屋カード」や「PayPay証券+PayPayカード」でサービスが開始。
さらに、新NISA向けに月10万円の「つみたて投資枠」をクレカ積立で利用できるサービスも誕生。「tsumiki証券+エポスカード」「大和コネクト証券+セゾンカード・UCカード」など、ポイントをためつつ、NISA枠を全てクレカ積立で対応できる。
なお、クレカ積立後にすぐ売却してポイントをゲットする方法は今後使えなくなるので注意しよう。
タッチ決済で電車の乗車が拡大
2024年より近鉄や阪急電鉄、阪神電車でタッチ決済に対応すると発表された。
関西では大阪万博が2025年に開催となり、タッチ決済の鉄道乗車については関西圏からの普及となりそうだ。
関東では京王や東急でもタッチ決済やQRコードで乗車できるサービスが発表されているが通常の乗車サービスではない。現時点では企画乗車券などが対象となっており、後払い型の乗車サービスではない。
首都圏の場合は乗り入れも多く、後払い型の乗車サービスの開始には時間がかかりそうだ。
不正利用被害が増加
筆者も年末に不正利用被害の未遂があり、クレカの不正利用被害が拡大している。
以前のようにフィッシングメールもわかりやすい内容ではなく、しっかりした日本語が使われており、なかなか見分けがつかない。
さらに、メールではなくSMSで短縮URLが送られてくると、本物なのか偽物なのか、本当に判別が難しい。
筆者は何度もクレジットマスターの被害にあっているが、こればかりは防ぎようがなく、2024年以降も確実に不正利用の被害は増えていくだろう。
法人カード・ビジネスカードが増加
法人カードやビジネスカードは定期的に発行されるのだが、2023年は「タカシマヤカード《ビジネスプラチナ》アメリカン・エキスプレス」「エポスオーナーカード」など、今までビジネスカードに参入していなかったようなカード会社から新たに発行されたのが印象的だった。
クレカでの手数料ビジネスで考えた場合は、法人カードに力を入れるカード会社は今後も増えていくだろう。
2023年で印象に残った出来事を7つ紹介したが、2023年は面白いなと感じた新規発行カードはそれほど多くない。2024年以降は、新規で印象的なカードが発行される事に期待したい。