Infoseek 楽天

巨人の4番・岡本和真「6年連続30本」でもそこまで評価されないのはなぜか OBや番記者が指摘「キャラクターで損をしている」

NEWSポストセブン 2024年6月20日 7時15分

“不動の4番”であり主将──V奪還を目指す巨人の最大のキーマンが岡本和真(27)であることは間違いない。これまでも数字を積み重ねてきた岡本だが、球史に名を残す大打者になるためには、何が足りないのか。

 岡本が初めて4番に座ったのは、2018年6月2日のオリックスとの交流戦。当時21歳11か月で、王貞治よりも1年ほど若い4番デビューだった。以来、その重責を担い続け、通算4番出場試合数は巨人歴代5位となった。本塁打数も申し分ない。2018年から「6年連続30本塁打」で、落合博満やアレックス・ラミレス、原辰徳や現監督の阿部慎之助も達成したことがない記録だ。今季も大台に届けば、7年連続の松井秀喜に並ぶ。

 大砲の片鱗は、プロに入る前から見られた。岡本の高校時代の恩師で智弁学園野球部監督の小坂将商氏が語る。

「入学当初から体が大きく、打球の強さは私が今まで見てきた選手の中でもちろんトップクラス。何よりも逆方向に飛ばす能力が魅力的でした。下半身が安定しているので無駄な動きがない。軸がしっかりしていて、バットの先端に自分の体重を伝えるのが上手い。この印象は彼がプロになった現在でも変わりません」

 交流戦に入ってバットが湿り気味であるが、それでも本塁打と打点はチーム内でダントツの数字。本誌『週刊ポスト』の「好きな現役NPB選手アンケート」でも1位に選出された。ただ、プロ野球OBら関係者からはこんな声も聞こえてくる。ヤクルト、巨人、阪神で4番を打った広澤克実氏が語る。

「これほどの成績を残しているのに、過去の大打者たちほどの高い評価を受けていない印象があります」

ヤクルト村上と比べられ…

 なぜ、そこまで高い評価にならないのか。スポーツジャーナリストの広尾晃氏はこう分析する。

「原因の一つは打率でしょう。打者は本塁打数だけでなく“打率3割”も重要視されますが、岡本が達成したのは4番に座った1年目の2018年だけ。通算打率は2割7分2厘です(6月13日時点)。原辰徳の2割7分9厘や阿部慎之助の2割8分4厘から見ても見劣りします。

 同じセの4番打者で年下のヤクルト・村上宗隆(24)の存在も大きい。2022年に三冠王を獲得するなど岡本よりもう一回りスケールが大きい。オールスターのファン投票の中間発表でも村上のほうが上でしたし、比較されることで物足りなく映ってしまっているのかもしれません」

 巨人を取材する記者たちからは、「岡本の性格が影響しているのでは」との声が聞こえてくる。

「キャプテンという責任ある立場にいますが、岡本は穏やかな性格でマイペース。前任の主将である坂本勇人(35)のようにチームを引っ張るリーダーシップを発揮するわけではないし、気迫を前面に出すタイプでもない。グラウンドでも口を開けてボンヤリしているように見えるし、キャラクターで損をしている部分があるのではないか」(巨人番記者)

 ただ、穏やかな性格は昔からのものであり、内に秘めた闘志を結果に結びつけてきたとする証言もある。岡本が中学時代に所属した橿原磯城リトルシニアで当時コーチを務めていた松本彰太氏(現監督)はこう振り返る。

「昔から緊張する場面でも、常に冷静でドンとしている感じ。数年に1回、地元に帰ってきた時に顔を出してくれますが、昔のままです。内に秘めている闘志をすごく感じます。だからこそ、順調に素質を伸ばし、長い年月で成績を残せる。岡本らしいです」

「代名詞の本塁打」がない

 その成長の先に、真の大打者となる未来は開けてくるのか。前出・広澤氏は「記録もさることながら記憶に残る本塁打を打つことも重要」と語る。

「野球ファンの多くは、好きな選手の“あの時の本塁打”というのが記憶にあると思います。長嶋茂雄さんなら1959年の天覧試合、王貞治さんなら1971年の日本シリーズで山田久志さん(阪急)から打ったサヨナラ3ランなどが思い浮かびます。ですが、岡本はインパクトに残る一打が少なく、ファンも岡本の代名詞となる本塁打を決められないのではないでしょうか。敵側から見ても“やられた”というホームランが少ないように感じます」

 そして何より大打者に必要なのは、ONや松井秀喜に代表されるようなチームを勝利へと導くバッティングだろう。広澤氏はこう言う。

「4番の最も重要な仕事はチームを優勝させること。巨人が3年も優勝から遠ざかり、2年連続でBクラスに甘んじていることも岡本の評価と無関係ではないと思います。今年の岡本は例年より印象的な本塁打が増えている。日本シリーズでドラマティックなアーチを放って巨人だけでなく野球ファン全体から支持される4番になってほしい」

 まずは今季、チームを4年ぶりのリーグ制覇、12年ぶりの日本一に導かなくてはならない。

※週刊ポスト2024年6月28日・7月5日号

この記事の関連ニュース