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長野智子アナはラジオ帯番組で“アップデート”、吉川美代子アナはいまもTBSの研修を担当【女性キャスターたちの現在地】

NEWSポストセブン 2024年6月21日 16時15分

 報道番組のキャスターを経て政治の世界に進出する女性は少なくないが、もちろんそれだけではない──。コラムニストで放送作家の山田美保子さんが、女性キャスターの現在地について綴る。

嫉妬という漢字を男偏にしてほしいと思ったこともあった

 6月20日告示、7月7日投開票の東京都知事選。今回は4年前に行われた前回の倍以上となる50人近くの立候補者がいらっしゃるというのに、テレビの生ワイドでは「蓮舫(56才)VS小池百合子(71才)」ばかりがクローズアップされています。

 そして必ず説明されるのは「ニュースキャスターを経て」というお二人の経歴。共に民放各局でレギュラー番組を持っていらしたので、“お宝映像”とも言うべき過去素材はそろっていて、視聴者に「さぁ、ツッコんで」と言わんばかりの“イジワル編集”が気になりました。

 いまと変わらず男性スタッフが大半の報道フロアにおいて、ネイビーやグレーとかではない色の装いでニュースを伝えたり、現場に出てインタビューをしていた小池さんや蓮舫さん。「女のくせに」という空気が濃いめに漂う現場で闘ってきたキャリアは選挙にプラスに働くのか否か……とても興味深いです。

 そして気になるのは、小池さんや蓮舫さんがキャスターとして活躍されていたのと同時期に、現場で奮闘しておられた皆さんたちのいまです。

 まずはフジテレビの局アナを経て、フリーになってから『ザ・スクープ』『朝まで生テレビ!』『報道ステーション』『サンデー!スクランブル』『サンデーステーション』(すべてテレビ朝日系)など人気報道番組でメインキャスターやフィールドキャスターとして活躍された長野智子サン(61才)です。

 そんなニュース畑出身でも局アナ時代に『オレたちひょうきん族』を3年弱担当していたため、“ひょうきんアナウンサー”と長年言われ続けたと、エッセイで愚痴(?)っていらしたのを読んだ覚えがあります。

 そんな長野サンは今年4月から、学生時代にパーソナリティーを務めて人気を博した『ミスDJリクエストパレード』の文化放送で、夕方の帯番組『長野智子アップデート』をスタート。文字通りニュースをアップデートし、リスナーに伝えていらっしゃいます。

 長野サンの歯に衣着せぬ斬りこみや、ベテラン報道キャスターとしての知識や人脈、さらには生活者としての目線などがこうした番組を待っていたリスナーにウケ、番組タイトルがXのトレンドになる日が多数。

 一度電話出演させていただいたのですが、台本とは異なる長野サンからの矢継ぎ早の質問に少々焦りつつも、生放送の限られた時間を絶対に無駄にしないという長野サンの心意気がビンビン伝わってきた十数分間。光栄な時間でした。Facebookを拝見していると、より活動的になり、文字通りアップデートされている様子が垣間見えて、こちらまで元気になります。

 同じような思いを元TBSの吉川美代子サン(70才)にも感じています。

 1984年、『JNNニュースコープ』の平日のメインに女性として就かれたとき、TBSラジオ954キャスタードライバーとして働いていた私は局内のさまざまな声をリアルに聞いたものです。嫉妬という漢字を男偏にしてほしいと思ったり、「女々しい」を「男々しい」に変えてほしいと思ったこともありました。

 取材テープを編集室に入ってご自分で切っていらした吉川サンを見たこともあるし、スタイリストもつかない吉川サンに私服を“お貸し出し”したことも……。

 果たして、1周も2周も回って、ニュースキャスターとしてのキャリアを存分に発揮し、ジャズシンガーとしてライブを行ったり、政財界のトップ中のトップと語り合ったり、さらにTBSの女性アナウンサーの研修をいまも担当している吉川サン。昔もいまも心から尊敬しています。

ある女性アナの“前のめり感”はあの時代を思い出す

 現役の局アナでは、テレビ朝日の大下容子エグゼクティブアナウンサーを挙げないわけにはいきません。

『大下容子ワイド!スクランブル』と自身の名前がタイトルになっているだけでもすごいのですが、局アナとして、女性アナのトップとしての自覚がものすごい。

 さらに、あのSMAP騒動のとき、『SmaSTATION!!』で16年もタッグを組んだ香取慎吾クン(47才)について、「(当時)報道されているようなかたではない」とオンエアでキッパリおっしゃった勇気は忘れられません。

 後輩アナのフォローや後押しも日々なさっていらして、現在、『報道ステーション』の“顔”のひとり、小木逸平アナ(50才)の知名度がまだほとんどなかった頃、彼が担当するコーナー名の頭に連日、「小木逸平アナウンサーの〜」と付け加えていた大下アナ。いわく「少しでも視聴者のかたに覚えていただけるように」……。そうした細やかな心遣いは女性キャスターならではだと思い、感心させられました。『ワルイコあつまれ』(NHK)に、他局のアナウンサーなのにゲストで出られてしまうのもキャリアの賜物!!

 やはり「続ける」ということはものすごく大事だと思い、『news zero』(日本テレビ系)を自ら卒業したいまの有働由美子サン(55才)には、もったいなさしか感じません。やっぱり音楽番組よりニュース番組が合っている気がします。

 もったいないといえば、ごく時折、『ワイドナショー』(フジテレビ系)に出演される安藤優子サン(65才)にはまたメインテーブルに付いてたっぷり話していただきたいです。

 そういえば、吉川サンと同期で『ブロードキャスター』や『ジャスト』『イブニング・ファイブ』(すべてTBS系)のメインを務められた三雲孝江サン(70才)の娘さんであるNHKの星麻琴アナ(33才)の『ニュースウオッチ9』での“前のめり感”は、お母さまやあの時代の女性キャスターそのもので、見ていてワクワクしちゃいます。

 ニュースな女性ニュースキャスターの皆さんの現在地。どのケースも応援しないワケにはいきませんね。

構成/山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!+』(メ〜テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。

※女性セブン2024年7月4日号

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