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映画『九十歳。何がめでたい』に関する数々の“奇跡” 主演の草笛光子(90)について監督は「肌修正もなし」と力説

NEWSポストセブン 2024年6月29日 16時15分

 全国公開中の草笛光子(90才)主演映画『九十歳。何がめでたい』。その“祝公開前日祭”に参加したコラムニストで放送作家の山田美保子さんが、作品にまつわる“奇跡”について綴る。

吹き替えなし AIじゃない 肌修正もなし

 2016年5月まで1年にわたって連載されていたので、『女性セブン』読者の皆さんには特におなじみ。佐藤愛子先生(100才)の超ベストセラーエッセイ『九十歳。何がめでたい』が“リアル90才”の草笛光子サン(90才)と映画『老後の資金がありません!』の前田哲監督とのタッグにより、実写映画化。6月21日から、全国で爆笑と共感を呼びまくっているのもご存じのとおりです。

 公開前日、出演者の草笛サン、連載&単行本の担当編集者役の唐沢寿明サン(61才)、愛子先生の娘役の真矢ミキさん(60才)、孫役の藤間爽子サン(29才)、美容師役のLiLiCoさん(53才)、唐沢サンの“年下の上司”役の宮野真守サン(41才)、前田監督、そして主題歌『チーズ』を歌う木村カエラさん(39才)が勢揃いした「祝公開前日祭」に行ってきました。

 前田監督は開口一番、

「いろんな奇跡が重なって完成できたと思ってます」

 と。実はこの“奇跡”というワードは、本物の担当編集者である小学館の橘高真也さんも繰り返し言っていたこと。撮影は昨年の10月から約2か月間で、90才の草笛サンが「演じきってくださった」ことが奇跡だと……。前田監督は映画を見終えたばかりの観客の皆さんに対し、「吹き替えなしですから、AIじゃないですから、肌修正もなしです。すごいですよね。本物がいま、座ってます」と数々の“奇跡”について力説されていました。

 松竹歌劇団(SKD)ご出身ゆえ、体幹の強さや筋肉量などが、そこいらの(!)90才とはワケが違うとはいえ、草笛サンはビックリするほどシャンとされているし、とっても華やか。やっぱり、それらは奇跡的なことなのです。

 だからメインキャストの皆さんもエスコートなどはするものの、草笛サンに対し、強めのツッコミをしたり、オフマイクの状態でおしゃべりしたりと決して年寄り扱いしないのです。

 登壇直後、草笛サンを挟んで、宝塚歌劇団トップスターだった真矢サンと、数々のテレビCMでキレッキレのダンスを披露してきた唐沢サンによる合計211才の決めポーズは息を呑むカッコよさで……。頑固な座骨神経痛ゆえ、現在“杖生活”の私は猛省するばかりでした。

 唐沢サンは映画の見どころとして、「草笛さんのマシンガントーク」を挙げ、“若者代表”の藤間サンは草笛サンについて「本当にかわいくてカッコよくてステキで刺激をいただきまして」と話しました。

 この日、17年ぶりに復活した「淀川長治賞」を受賞したことが発表されたばかりのLiLiCoさんは「3世代で見られる珍しい映画」「(上映時間)99分、ちょうどいいよね」と映画コメンテーターらしく“解説”されていました。

 そして木村カエラさんは、草笛サンや愛子先生の「潔い生き方」、「スカッと晴れた空のような世界観」を「カッコいいなと感じ」、軽快な音楽にしたいと思って作ったと。「情報が多いこの世の中で、シンプルに、もっと心が素直であっていいということを教えてくれるすばらしい映画」と心からのコメントを寄せていました。

「まだまだお若い」と草笛サンに言えるのは佐藤愛子先生だけ

 そして、さらなる奇跡は、愛子先生から草笛サンへのサプライズのお手紙。「常人にはとても理解できない佐藤愛子という人間を演じた草笛さんには、つくづく私のおかしさが身にしみて困惑されることも多かったのでは」と気遣い、さらに「肺炎になられたと聞いたときには驚きましたが、たちまち回復されて、さすが90才、まだまだお若いとホッと胸をなでおろしました」と。「まだまだお若い」とは100才の愛子先生にしかおっしゃれないことですよね。

 先生は近況を「のんびりというのがどういう状態なのかわからなくなってきました。のんびりしているのではなく、ぼんやりしているだけなのか」「いまから思えば、あの頃はすごく元気だったんですね。90才の草笛さんののんびりと、100才の佐藤愛子ののんびりは違うと思います。今後お目にかかるときに、お互いののんびりについて話し合いましょう。その日を楽しみにしています。お元気で」と。

 これは放送作家の悪癖ですが、そんなお二人の様子をぜひ、カメラに収めさせていただきたいと心から思ってしまいました。

 カメラといえば、「祝公開前日祭」を終えた草笛サンは控室に戻られ、おひとりで地方局向けに何本もコメント録りをされたうえ、終了後はシャーベットカラーのパンツスーツに着替え、キャストやスタッフの皆さんが待つ打ち上げ会場へ。スマホのカメラに“指ハート”サインで収まる草笛サンなのでした。

 昨年来、芸能界でも私の周囲でも50代、60代で急逝されるかたがあまりにも多かったため、「人生100年時代」に疑いを持ち始めていましたが、草笛サンと愛子先生のおかげで、90才や100才を再びリアルに想像できるようになりました。

 最後に個人的な“奇跡”を1つ。実は愛子先生は歯科医だった私の父の患者さんでいらしたそうなのです。「『女性セブン』をパラパラとめくっていたとき、山田サンのページを見て、そうおっしゃっていた」(橘高さん)!!! 先生が私なんぞのことを認識してくださっていたことに加え、先生の頭の中で、父と私がつながっていたということにも心底驚かされました。

 前田監督いわく、高齢者割引ゆえ1人2回見なければ興行成績につながらないという映画『九十歳。何がめでたい』。ぜひ、ご家族、ご親戚と共に大きなスクリーンでご覧ください!

構成/山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!+』(メ〜テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。

※女性セブン2024年7月11・18日号

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