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《現在も悲鳴のような鳴き声が響く》元施設関係者が語る絶望の繁殖現場「窮屈なカゴに犬を入れて、ビニール袋で覆ってガムテープで密閉」「死体はゴミに紛れさせ」 トイプーやポメラニアンが犠牲に…動物愛護法違反容疑で埼玉のブリーダー男逮捕

NEWSポストセブン 2024年7月3日 18時30分

 埼玉県毛呂山町の人里離れた奥地にある1棟の建物。周囲は田んぼと林しかない。静かであるはずのこの場所で、悲鳴のようなギャンギャンという犬の鳴き声がなりやまない。誰が聞いても異常と感じる鳴き声は、施設に近づくほど大きくなっていく。大部分を青いトタン板で覆われており、なかの様子をうかがい知ることは難しい。出入り口に近づくと、周囲に漂っていた獣臭や犬の糞尿が混ざった匂いがよりいっそう強くなる。吐き気を催すほどだった。

 残酷な動物虐待が発覚した。

「埼玉県警は6月27日、繁殖用として飼育した犬3匹をカゴに入れて密閉し、窒息死させたとして、埼玉県毛呂山町の元ブリーダー、渡部幸雄容疑者(81)を動物愛護法違反の疑いで逮捕しました。渡部容疑者は、自宅敷地内にある施設で小型犬179匹と猫13匹を飼育していたと言います。繁殖させてペットオークションなどで販売していました。

 そんな渡部容疑者が犬を殺しているという情報が県警に入り、5月に飼育施設を県警が家宅捜索をしたところポメラニアンやトイプードルなど3匹の死体が見つかりました。容疑者は調べに『3匹のうち2匹はすでに死んでいた』と容疑を一部否認をしながらも『繁殖に使えなくなった犬を生かしておくと経費がかかる。行き場のなくなった犬の責任をとるつもりで殺した』と供述しています」(社会部記者)

 犬や猫で生計を立てながら、“使えなくなった”老犬などは自分の都合で殺していたとみられる渡部容疑者。飼育施設は冒頭のように、周囲から中をうかがい知ることはできない。少し離れた近隣の男性住民が話す。

「(囲いが高くて)中が見えないので、犬に何をしていたのかは分からないです。散歩しているのも一度も見たことないです。ずっと大きな声で犬が鳴いています。事件を知った後だと、なおさら可哀想な鳴き声に聞こえてきて……」

 施設と関わりのあったある人物が匿名を条件に取材に応じた。

「逮捕された渡部は『自分の言うことを聞け』『俺は経営者だ』とメチャクチャなことを言う人でした。ヤクザとのつながりをほのめかすような人間で……。

 施設の中で犬を殺したのも見てしまったことがあります。まずカゴに入れるんですが、成犬だから窮屈なんです。その上からビニールを被せてガムテープで止めて。そのまた上に大きな餌袋を被せて見えないようにしていました。このようにして窒息させるんです。『こういう事をやらないと儲からないぞ』とか言われて、それが嫌で(施設を)出た職員もいるようです」

 どれくらいの数の犬を殺していたのだろうか。

「もう凄い数だと思うんですけど。嫌がる人の目の前では殺さなくなったんです。ただ、その人が次の日に行くと同じ状態で死骸だけがあるということが、何回もあって……。どれくらいの期間、渡部がブリーダーをしていたのかが分からないのですが、100匹とかっていうレベルではないくらいの数だと思います。他にも餓死させたりしていましたので……。

 あそこは犬を閉じ込めっぱなしですので、鳴き方が異常です。散歩も無いです。ケージから出すのは交配する時だけですね。子犬が生まれたらオークションに出すんですが、そのための道具のような扱いです」(元関係者)

 犬の死体の扱いも耳を疑うような内容だった。

「死体はゴミと一緒に出してました。業者が取りに来るじゃないですか? 糞尿とかのゴミに紛れて、新聞紙に包んで死体って分からないようにしていました。それだけだと重いから、ふっくら見せる為に上から新聞紙を詰めて、ゴミに紛れて出してた。弔うという考え方は、あそこにはまったくないです」(同)

 取材の終盤、施設の出入り口付近に私服の女性がいた。

「すみません」と記者が声をかけると女性は慌てて、走るように敷地内の奥にある民家のような建物に入っていった──。

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