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《宇宙人から助かるため男女の関係に…》一夫多妻70代ハーレム男が10代女性を騙した手口 弁護士は「彼は宇宙人に会った」【性的暴行事件・初公判】

NEWSポストセブン 2024年7月7日 11時15分

 東京都東大和市の一軒家で一夫多妻のような生活を送っていた70代の男とその元妻が、10代の女性に性的暴行を加えようとした準強制性交未遂容疑で逮捕されたのは2023年2月。それから約1年半後の7月5日、東京地裁立川支部(菅原暁裁判長)で初公判が開かれた。2人は共に否認している。

 元占い師の渋谷博仁被告(逮捕当時74)とその元妻・千秋被告(同43)は、当時19歳だったAさんと、17歳だったBさんに対する性的暴行について起訴されていた。起訴状などによれば博仁被告は2022年9月から10月にかけ、家に多数回呼び寄せたAさんに対し、次のように告げ、抗拒不能の状態に陥らせたうえで、性交に及んだという。

「18歳から27歳まで人間は宇宙人にとらわれる。本当の自分は食べられて、偽の自分になり、代わりにコピーができる。救うには男と女の関係になるしかない」

「Aさんは宇宙人に食べかけられてる。救いたい。男と女の関係になるしかない。半分壊れかけている」

 千秋被告は「いい占い師がいる」などと言ってAさんを家に呼び寄せた上「Aちゃんに助かってほしい」と博仁被告に話を合わせ、性交を容易にしたとされる。

結婚歴12回、離婚歴11回

 加えてBさんに対して博仁被告は、2022年12月ごろ、一軒家に呼び寄せたうえ、放射線測定器をかざしながら次のように告げ、性交に及ぼうとした。

「結論から言うと、あなたは近々死にます。宇宙人に連れて行かれる。助かるには男女の関係にならないといけない。以前にも同じ話をした女の子は、途中で抜け出し、その後警察が私たちを逮捕しに来た。その後、その子が戻ってきて『あなたの話は本当だった』と言っていたが、宇宙人に食べられて死んだ」

 千秋被告はこのときも同じように「いい占い師がいる」と言ってBさんを家に呼び寄せ、「Bさんはあとどれくらい(の寿命)なの?」などと博仁被告に話を合わせたという。無論、この2人の話は全て嘘である。

 冒頭陳述では、この不可解な一夫多妻の生活実態がまず検察官より語られた。

「博仁被告は事件当時無職で、同居している女性たちの収入と年金で暮らしていた。婚姻歴は12回、離婚歴は11回ある。千秋被告は飲食店でアルバイトをしていた。2004年に博仁被告と婚姻、離婚を2回繰り返し、離婚後も一軒家で博仁被告の他、多数の女性と同居していた」

弁護側は「宇宙人に会ったことがある」と主張

 今回の事件の被害者とされる女性たちは、いずれも千秋被告のアルバイト仲間だった。

 対する弁護人は、証言台の前に歩み寄り、さらに詳しく一夫多妻生活の実態を明かした。

「人には様々な生き方があります。時として我々は、経験や常識から外れた、未知なものに出会うことがあります。我々はそれに恐怖を感じることもある一方で、魅力を感じることもある。博仁さんと千秋さんは確かに、我々の常識と違った暮らしをしていた。だからといって、強引に事実認定をしたり、解釈すべきではない」

「博仁さんは20年以上前から、複数の女性と一軒家で生活しており、逮捕当時は10人の女性と一緒に暮らしていた。6人が働きに出て、主にその収入で暮らしていた。ほかの4人は主に家事や送り迎えなどを行い、子供4人とも同居していた。夕方には皆で集まり食事をし、休みの日にはアウトレットに出かけたりしていた。具合が悪くなれば他の家族が病院に連れて行く、それぞれが大切な家族でした。

 そんな女性たちにとって、博仁さんの魅力は、穏やかで優しいところ。優しいのは人に対してだけではなく、8匹の猫もいて『猫部屋』として専用の部屋もあった……」

 ゆっくりとした足取りで法廷に現れた博仁被告は、カーキのジャンパーに、カーゴパンツという若々しい装い。弁護側冒頭陳述によれば、彼はかねてより宇宙人やUFOに関心があり雑誌『ムー』を定期購読していた。博仁被告にこうした興味関心が生まれたのは、なんと“宇宙人との邂逅”がきっかけだったと、弁護人が続けて語った。

「なぜ博仁さんが、宇宙人やUFOを信じているか。それは、彼は以前、宇宙人に会ったことがあるからなのです。世界の人々を減らす計画があり、日本人女性が狙われている。それを助けるために女性を集めないと、性的関係を持たないと、といわれていた」

元妻の被告は「性行為に及ぶとは思っていなかった」と否認

 Bさんは「宇宙人に連れて行かれる。助かるためには男女の関係になるしかない」と博仁被告に告げられ、その後、一軒家を出てからスマホで「宇宙人 食べられる さらわれる」などと検索。友人に「怖くて寝れない」とメッセージを送っていたが「ハーレムおじさんかも」と返信をもらったのちに、母親に相談。警察にも被害を申告したという。

 博仁容疑者は2006年にも脅迫容疑で逮捕されている。21歳の女性を前述の一軒家に連れ込んで、「ここを出ていけば肉を削られてミンチにされる」や「ここで見たことを誰かに話したら、病気になったり、事故で殺されたりする」などと共同生活に加わるよう脅し、のちに有罪判決を受けた。

「ふたりに、恐ろしい話を聞かせて、言う通りにさせるつもりはなかった」と否認している博仁被告。元妻・千秋被告も「博仁が性行為に及ぶとは思っていませんでした。性行為を助けるつもりも、まるでありませんでした」と否認している。被告人質問ではどのように語るのか。

◆取材・文/高橋ユキ(フリーライター)

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