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「27歳の今が踏ん張り時です」小芝風花が語った“役者キャリアの正念場”

NEWSポストセブン 2024年7月12日 16時15分

『週刊ポスト』でのグラビアの撮影中、小芝風花はシャッターが切られるたびに表情を変え、身にまとう空気感まであざやかに切り替えた。27歳を迎え、時にはハッとするような大人びた眼差しでカメラを見据える。表現の振り幅に感嘆の声がもれると、途端に「えへへ」とあどけない笑顔に戻って、場を和ませた。

「お芝居でも“よーい本番!”で役に入って、カットがかかるとスッと抜けちゃう。すぐに切り替わって、役を引きずってしまうこともないんです。のめり込むとまわりが見えなくなってしまう性格で、『怒り』や『泣く』など感情が昂るシーンではグッと入り込んでしまう瞬間もあります。でも一方で、自分を客観視しながら役へ入っていく感覚もあって。そんな緩急も、スイッチの切り替えになっているのかもしれません」(以下、小芝)

 小芝は近年、女優として振り幅を広げている。昨年放送のドラマ『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日系)では毒舌マシンガントークの“超絶やさぐれ女”を好演。人生初の金髪にも挑戦して、新しい扉を開いた。同年はドラマ5作品に主演やヒロインなど主要キャストで出演し、「2024年エランドール賞」新人賞に輝く。今年も勢いはそのままに早くも2作品で主演を務め、1月期の『大奥』(フジテレビ系)では徳川家の将軍正室、7月13日スタートの『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)では警視庁の捜査官と、様々な姿を見せ続ける。

 新ドラマは実在する警視庁の部署をモデルにしたオリジナルストーリー。小芝は亡くなった身元不明者を家族や恋人の元へ帰そうと力を尽くす捜査官・三田桜を演じる。

「ご遺体の名前すらわからない状態から、身元の捜査がスタートします。手がかりは着衣や所持品などごくわずかで、亡くなっているので直接言葉を聞くこともできない。どんな人が、どんな想いで、どうして死を迎えたのか、最初はまったくわかりません。私が演じる桜は、亡くなった方の気持ちに強く寄り添う人。故人の体だけではなく、心も一緒に帰してあげたい――。その一念で突き進みます。毎話、ご遺体が愛する人の元へ戻る時にジーンと心があたたかくなるような、やさしい作品になっていると思います」

「わりと直感型」

 想いの強さや行動力は桜の長所だが、“こんなにやさしそうな顔をしている人が悪い人のわけがない”と、根拠もなく直感に従って暴走してしまう一面もあるという。

「これまでは自分も、ニュースなどを通じて提示された情報だけで“たぶんこんな人物なんだろうな”“たぶんこういう背景があるんだろうな”とイメージして、そこで終わっていたんです。でも、桜として“名もなきご遺体”の死の真相と向き合って、物事の捉え方が変わりました。例えば、孤独に見えても陰で寄り添う人がいるかもしれないし、目に見える情報は第三者に都合よく変えられたものかもしれない。パッと見た印象や情報だけで、“たぶんこうなんだろう”と結論を導いてしまうのは違うなって」

 小芝自身も「わりと直感型」だと分析する。

「直感や勘には素直に従いますが、たぶん仲良くなれないだろうと敬遠していたクラスメイトと大親友になったりもして、あてにならない部分も……。対人関係でも第一印象や噂話でその人を判断するのではなく、桜を見習ってこれからは相手を深く知ることで自分にとってその人がどうなのか、判断したい。逆に、誤解なく自分を知ってもらうためにまずは私自身が自分を知ろうと、内側を見つめるようにもなりました」

 年齢を重ねるにつれ、心が通じ合う友人との繋がりをより意識するようになった。

「友人と過ごす時間にホッとします。最近の癒しは親友が作るスイーツ。お菓子作りが得意な子で、特にカヌレが絶品なんです。中はモッチモチで外はカリッとした食感のバランスが絶妙で、その子が作ってくれるカヌレが世の中のカヌレでいちばん好き!

 もともと朝食に激辛麺をいけちゃうほど辛い系やしょっぱい系が好みで、甘い系は苦手だったんです。それなのにスイーツもいけるようになって、“ダメダメ~!!”と思いながら、親友お手製のケーキなら1ホール食べちゃいます。桜の役作りでキックボクシングに励んでいるのに、トレーニングで消費したカロリーがデザートでプラマイゼロかも」

27歳の今は「踏ん張り時」

 そう言って笑いつつ、ドラマがクランクアップしたらまた甘いご褒美で思い切り癒されたいと、心待ちにしているそう。

「私が編み物にはまっていて、親友をウチへ招いて一緒に編んでいるんです。編み物を彼女に教えるお礼にカヌレやチーズケーキを焼いてきてくれるので、“お菓子を作ってほしいな”の感覚で“編み物しようよ”と、誘いたいです(笑)」

 来年にはNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』への出演も控えるなど、今後益々キャリアの幅を広げる。小芝にとって大河は初挑戦となる。

「ひとつずつ夢が叶えられて、すごくありがたい環境にいるなと感謝しています。だからこそ、恩を返せるように最大限頑張りたい。1年、1年、責任や求められるものが大きくなっていくので、プレッシャーに負けない自分でありたいと願います」

 27歳の今を「踏ん張り時」と語った。その瞬間、無邪気に声を弾ませてお菓子を語っていた小芝とは別人のように、凛とした表情に切り替わった。

【プロフィール】 小芝風花(こしば・ふうか)/1997年生まれ、大阪府出身。2012年に女優デビュー。2014年に「ブルーリボン賞」新人賞、2024年に「2024年エランドール賞」新人賞受賞。7月13日スタートのドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)で主人公・三田桜を演じる。2025年放送のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の出演も決定。また8月1日公開映画『ツイスターズ』でケイト役の日本語吹き替えを担当。 

※文中敬称略

撮影/槇野翔太
ヘア&メイク/富永智子
スタイリスト/成田佳代
衣装協力/AULA AILA、ete、Jouete
取材・文/渡部美也

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