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《0歳児 暴行死》逮捕の26歳ママは夜に夫と二人きりで出かけ… 児相が保護、「赤ちゃんと暮らしたい」と引き取ったのに「殴って床に投げた」鬼母の所業

NEWSポストセブン 2024年7月12日 16時30分

「いつも旦那さんとふたりで出かけるところばかり見かけていて……。4人家族だってニュースで聞いて『えっ?』となったんですよね」──幼い命が失われてしまった。7月10日、0歳児の長男を殴るなどの暴行を加えたうえで死亡させたとして20代の母親が逮捕された事件。現場となったアパートの住民は、冒頭のように証言した。全国紙社会部記者がこの事件について解説する。

「傷害と傷害致死で逮捕されたのは無職の野中千宙容疑者(26)。2023年7月26日に容疑者本人から『(長男が)布団の中で冷たくなっている』と通報があり、警察が船橋市内の自宅アパートに駆けつけた。長男である千巴弥(ちはや)ちゃんは病院に運ばれましたが、その日の夜に脳損傷により死亡。捜査関係者によると暴行は同年3月から7月の間に行われ、本人も『ストレスで頭にきて平手で殴って床に投げてしまった』と容疑を認めている。

 逮捕された10日の夜には、千葉県が管轄する市川児童相談所が会見を開き、千巴弥ちゃんが生まれた当時に、容疑者の家庭で育児放棄(ネグレクト)の恐れがあると判断していたことを明かしています」

 船橋市の前には、千葉市に住んでいた野中容疑者一家。まだ生まれたばかりの長男を支援していた千葉市西部児童相談所の桐岡真佐子所長は容疑者一家の経緯についてこう語った。

「2022年の8月に『妊婦健診を受けていないお母さんがいる』と病院から通報があり、亡くなった男の子が生まれる前からネグレクトの疑いありと認知しておりました。赤ちゃんが安全に育つ環境を整えるべきだと判断し、8月25日に男の子が生まれてすぐ“一時保護”という形でお預かりすることになった。

 保護をしてからはお母さんと赤ちゃんに面会をしてもらったり、家庭訪問してお宅の様子を見たりとか、あとは電話や面接でご両親の考えや生活の様子などを聞いて、経済状況を含めていろんな部分を確認し、赤ちゃんにとって安全な環境が整っているか情報収集を進めました。お母さんと関わるなかで『どういうふうに抱っこしたら泣き止むか』『いつミルクを与えるか』といったごく普通の母親としての悩みはあったように見受けられましたが、特に異常な言動などはありませんでしたね。そうしてお家での暮らしを体験させる外泊などをしながらお家に帰る準備をしていただいて、昨年の4月12日に保護の解除に至りました」

「いつもお子さんの姿がない」

 そうして7ヶ月の保護を経たのち、野中容疑者は千巴弥ちゃんを自宅で迎えることになる。彼女には夫と千巴弥ちゃんの姉にあたる長女がいた。4人で身を寄せたのが、船橋市内の間取り2DK、家賃は7万円のアパートだった。同じアパートに住む男性は一家の様子をこう話した。

「お母さんが乗っている黄色い軽自動車に『ベイビー・イン・カー』というステッカーがあるなとは思っていましたが、引っ越してこられてしばらくは赤ちゃんの存在に気づきませんでした。あるときその女性が男の子を抱いて車から降りてくるのを見かけたので、それからお子さんの存在を認知して何度か挨拶を交わすくらいのことはありました。

 お母さんは茶髪でしたけど、若いですし髪くらい染めるよなと思いつつ、服装も派手ではないのでいたって普通の印象でした。旦那さんも何度かお見かけしているんですが、同じように髪を染めていました。仕事はしているんでしょうがスーツなどは着ておらず、かといって作業服を着ているわけでもなく何をしているのかよくわかりませんでしたね。おふたりともこちらからしないと挨拶もしませんでしたし、コミュニケーションと言えるものはなかった」

 事件を受けてある違和感がよぎったという男性。長男の千巴弥ちゃんが亡くなった2023年の7月当時を振り返りさらに続けた。

「私はよく外に出てタバコを吸っているんですが、特に夜になると旦那さんとふたりきりで出かけていくんですよ。そのときお子さんの姿はいつもないんです。女の子もいるという話でしたが、その子に関しては一度も見たことがない。ですから4人家族だってニュースで聞いて『えっ?』となったんですよ。

 いつからいつまでという正確な時期はわかりかねますが(虐待のあった)3月から7月の間は確実に住んでいました。特に7月のことはよく覚えています。警察の鑑識がやってきて2~3日かけて部屋を調べていきましたから。ちょうど夏のとても暑い時期で、ご夫婦だけで出かけられていることが多かったので熱中症とかで(子どもが)亡くなったんじゃないかと思っていたら、やはりあの男の子だったんですね……」

 事件発生まで暴行の兆しはまったく見られなかったのか。長男の引き渡し後も引き続き支援を行った、市川児童相談所船橋支所の担当者はこう説明した。

「昨年の4月25日に千葉市の児童相談所と協議を始めて、最終的に計4回の訪問をしたんですが、身体的な虐待は認められませんでした。7月20日に市川相談所から家庭訪問しようと予定していたのですが、ご両親が発熱をされたということで延期の申し出があり7月27日に家庭訪問をすることになって、その前日にお子さんが亡くなってしまったという経緯です」

 さらに言葉を選びながら、このようにも漏らした。

「お子様の生育については関心度が低い親御さんたちであったと思われます。詳しくは申し上げられませんが、長く見られていた前任の担当によると、前のお子さま(長女)が生まれた頃からこのご家庭は支援の対象になっておりまして……。担当としてはこういった事態になってしまい非常に残念に思っており、心からお悔やみを申し上げます」

母親の思い『赤ちゃんと一緒に暮らしたい』

 息子の死から約1年。逮捕されるまでの間に野中容疑者一家は同じ船橋市内で引っ越しをしていた。逮捕の翌日にNEWSポストセブンが自宅アパートへ向かうと部屋には誰もいなかった。物件の管理会社はこう説明する。

「部屋の間取りは2DK、家賃は4万9000円です。今年の2月末から奥さんの名義で賃貸契約しています。旦那さんのほうは審査が通らなかったため、奥さんが契約人となったようです。賃料の未払いなど含め、トラブルなどは承知していません」

 逮捕の直前には夫婦で外出する姿が目撃されていた。

「お子さんらしい人は見かけていませんし、ご夫婦には1回しかお会いしたことがありません。10日前くらいだったと思いますが旦那さんがうちから逃げた犬をわざわざ走って捕まえてくれたんです。おふたりはスーパーの帰りだったと思うんですが、旦那さんが奥さんに買い物袋を預けて走ってうちの犬を押さえてくださって。そのとき奥さんとは『すみません』くらいしか会話していないんですが、嫌な顔もせず荷物を預かって旦那さんが走って、楽しそうにふたりで会話して仲が良さそうな雰囲気でした。まさか赤ちゃんを死なせていたなんて思いもしませんでした。とても優しい方だなって印象でしたので……」(近隣住民)

 一見すると、我が子を手にかけた心ない母親。しかしそんな野中容疑者にも愛情の片鱗が見受けられるような言動があったというのだ。

「お子さんを引き渡したとき、その表情も含めてお母さまはとても安堵した様子でした。実は男の子の引き取りをずっと希望していて『赤ちゃんと一緒に暮らしたい』と言っていたんです。私たちが支援していた最中の事件ということもあって心が痛いです……」(前出・千葉市西部児童相談所の桐岡所長)

 いったい何が彼女を虐待に駆り立ててしまったのか。県警は真相の究明を急いでいる。

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