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先場所Vの大の里、名古屋場所で苦しいスタート 関係者が同情する“河村たかし市長と相撲を取った力士は優勝できない”のジンクス

NEWSポストセブン 2024年7月19日 7時15分

 大相撲7月場所が名古屋で始まった。2場所連続休場中だった横綱・照ノ富士が連勝スタートを切る一方、5月の夏場所で12勝3敗での優勝を果たし、成績次第では場所後に大関昇進の可能性があるともみられていた新関脇の大の里は初日に御嶽海、2日目には若元春と平幕相手に2連敗。4日目まで3敗という苦しいスタートとなった。そうしたなか、関係者の間ではある“ジンクス”の存在が囁かれているという。

 大関昇進の目安は「三役で3場所33勝以上」とされ、3月の春場所に平幕だった大の里は“対象外”のはずで、審判部も表向きは今場所を大関昇進が懸かる場所と位置づけてはいない。ただ、新入幕だった1月の春場所からすでに3場所連続11勝以上の成績を残しており、今場所で優勝、あるいは優勝に準ずる成績なら大関昇進があると見られてきた。そうしたなかでの苦しい連敗スタートについて、二所ノ関一門関係者はこう言う。

「北陸(石川県)出身の大の里にとって、名古屋場所では“準地元場所”だし、昇進へのプレッシャーもあるのだろう。とはいえ、初日と2日目の相撲は、対戦相手の左からのおっつけに、大の里が得意とする右差しが完全に封じられての不利な体勢からの負けとなった。大の里の相撲が研究されており、稽古量が足りないと指摘する親方もいる。

 大の里が所属する二所ノ関部屋から中村親方(元関脇・嘉風)が分家独立し、部屋から友風(十両)、嘉陽(十両)ら力士8人が転籍。環境が大きく変わった。とくに日体大の大先輩の友風がいなくなったのが大きい。中村親方の内弟子のうち、大の里と同じ海洋高と日体大の1年先輩である白熊(十両)は二所ノ関部屋に残ったが、白熊は友達のような関係で、苦言を呈してくれる力士がいない状況です。そのため稽古の量も内容も、中村親方が独立する前とは違うとみられている。稽古不足で、相撲が長引くとスタミナが問題になるともいわれています」

市長と相撲を取った力士は、名古屋場所の成績が振るわない

 先場所後は優勝関連のイベントが目白押しとなったことによる調整の難しさもあっただろう。ただ、そうした話とは別に、今場所の大の里の苦戦を予見する向きもあった。そこには、名古屋場所をめぐる“ジンクス”の存在があるのだという。相撲担当記者が言う。

「関係者のなかには大の里への同情の声も聞かれます。というのも、名古屋場所前には直前の夏場所の優勝者など注目度の高い力士がPRのために名古屋市役所を訪問して河村たかし市長と相撲を取るのが恒例で、今回は大の里がその役を担ったのですが、“河村市長と相撲を取った力士は優勝できない”というジンクスがあるのです」

 昨年の名古屋場所前には、直前の夏場所で復活優勝を果たした照ノ富士が河村市長を表敬訪問し、報道陣を前にした“取組”では豪快に吊り落としてみせたが、直後の名古屋場所は2日目から連敗を喫して4日目には途中休場に追い込まれている。

「5月の夏場所は優勝経験4回の照ノ富士だが、7月の名古屋場所では優勝経験がない(優勝した2020年7月場所はコロナ禍で東京開催)。2015年も夏場所で優勝して、新大関として名古屋場所に臨むにあたり、横綱・白鵬(現・宮城野親方)と一緒に市役所を訪問して河村市長を投げ飛ばしているが、本場所は11勝4敗と早々に優勝争いから脱落した。一緒に表敬訪問したものの市長との取組がなかった白鵬が同場所は優勝している」(前出・担当記者)

 その照ノ富士は休場明けで今年は市役所でのPRには出席せず。すると、相性が悪いはずの名古屋場所で初日から白星を重ねているため、“ジンクス”が説得力を増してくるわけだ。

「2016年は夏場所を全勝で制した白鵬が河村市長との取組でPRしたが、名古屋場所は10勝止まりに。2017年は横綱昇進後、初の名古屋場所となる稀勢の里(現・二所ノ関親方)が表敬訪問して河村市長を床に転がしたが、5日目から途中休場。河村市長と相撲を取った力士は2018年の鶴竜(現・音羽山親方)も6日目から休場、2019年の朝乃山は7勝8敗の負け越しと、名古屋場所で成績が振るわないことが続き、関係者の間で“ジンクス”として定着するようになったのです」(前出・担当記者)

 さらに遡っても、2013年は大村秀章愛知県知事への表敬訪問で相撲を取った白鵬が優勝し、河村市長と取った日馬富士が賜杯を逃すといった具合に、凄まじい神通力のようだ。

 もちろん、6月は巡業がないため、合宿を張る部屋とそうでない部屋とでは稽古量に大きく差が出るうえに、7月場所の名古屋は蒸し暑く、コンディションづくりが難しいことでも知られており、波乱が起きやすい土壌がもともとある。そうしたなかでジンクスが続いているわけだが、大の里は今場所をどんな成績で終えるのか。

※週刊ポスト2024年8月2日号

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