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『めざましテレビ』新メイン就任のフジ伊藤利尋アナ、どんな場面でも「完璧に仕切る」実力 局アナとして出演者やスタッフへの気遣いも

NEWSポストセブン 2024年7月24日 7時15分

 朝の情報番組『めざましテレビ』(フジテレビ系)で、卒業する三宅正治アナウンサー(61才)に代わってメインキャスターに就任することが明らかになった伊藤利尋アナウンサー(52才)。バラエティから報道まで多くの番組で活躍する伊藤アナの魅力について、放送作家でコラムニストの山田美保子さんが解説する。

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 フジテレビにとって、待ちに待った最高の朗報と言っていいだろう。20日の午後6時30分から21日の午後9時54分にかけて放送された『FNS27時間テレビ 日本一たのしい学園祭!』の視聴率が22日に発表され、個人全体4.0 %、コアターゲット(13歳~49歳の男女)4.6%を獲得。個人・コア共に横並びトップとなる高視聴率を記録したのである。さらに、番組フィナーレとも言うべき『カギダンススタジアム』からエンディングまでの21日の午後6時30分から午後9時54分では、個人6.9%、コア7.8%の平均視聴率をマークし、横並びの人気バラエティ番組やドラマを制し、同局の2024年の最高記録を更新したことも明らかになった。

 21日の午後、視聴者の注目を集めた企画は、『ドッキリGP VS新しいカギ』「生ボムマジ爆発~粗品はん!気に食わんことあってもあんまりディスらんとってやSP~」で、『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』『新しいカギ』両番組のレギュラー陣が大集合し、激ムズ言葉に挑戦。ミスすると負けチーム全員が大放水を浴びたり、代表者が地上40メートルの逆バンジーに挑戦したりする過酷な罰が科せられるというものだった。

 このところネットを賑わせている「霜降り明星」粗品と東野幸治の舌戦がLIVEで実現したことや、女優・小池栄子が大放水を厭わず終始笑顔で参戦したことなどがネット民を喜ばせていた。

好評『27時間テレビ』を仕切った伊藤アナ

 同コーナーを仕切っていたのが「おぎやはぎ」の小木博昭と伊藤利尋アナウンサー。2022年4月1日、『バイキングMORE』が終了して以来、ナレーターとしての出演が多く、なかなか姿を見ることがなかった伊藤アナが、人気芸人や小池、若槻千夏、「マッサマン」ことSnowManの向井康二らを含めた大人数を生で仕切ったのだ。

 1995年に入社して以来、生放送の帯番組への出演から『VS嵐』の“天の声”や、総合司会を務めた『知りたがり!』などで人気を博した伊藤アナ。とんねるずには特別に気に入られており、フリーになることを勧められていた時期もあるようだ。2015年3月30日からの3年間は『みんなのニュース』の平日版キャスター、同番組終了後は『情報プレゼンター とくダネ』のサブ司会や総合司会を務め、その後は坂上忍の横で『バイキングMORE』に出演していた。

 筆者は午前中時代の『知りたがり!』や『バイキングMORE』で伊藤アナと何度も共演している。伊藤アナの魅力は、なんと言っても生放送に強いことと、いわゆる“猛獣遣い”であることだろう。番組中に突発的なことやアクシデントがあったとしても、伊藤アナは冷静に対処。硬軟どちらのネタも鮮やかにさばけるので、どんなニュースが入って来ても、「初めまして」の専門家がやって来ても、完璧に仕切れることには毎回驚かされた。

 前述の『27時間テレビ』でも、そのスキルが十二分に活かされていた。生放送で、あれだけの人数の人気者たちの中心にいると、どれほどのベテランでもテンションが上がり過ぎてしまい、その結果、喋り過ぎたり、時間が気になって、いい場面でつい口を挟んだりしてしまいがちだ。

 が、伊藤アナは終始、小木を立て、芸人らのコメントを黙って待ち、絶妙のタイミングで次へと進行していくのである。

 平和的なルックスで、上半身を深く曲げたポーズや1~2歩、前に出るリアクションは、アナウンサーとして最大限の表現。決して演者の邪魔をせず、自分よりも若いタレントに対しても“さん付け”で絶対にタメ口になることのない伊藤アナは、男性アイドルたちからも一目置かれる存在なのである。

番組の打ち上げでは最後まで壇上に残り出演者を労った

 局アナとしての“作法”や”礼儀“も身に付いている。さまざま想い出はあるが、『バイキングMORE』の最終回後、局内で行われた打ち上げの司会をしていた伊藤アナは、小一時間が過ぎ、坂上忍が会場を後にし、エライさんたちが見送りのため会場を出た後も一人、檀上に残り、その日で卒業する曜日ナレーターを労う時間を仕切った。

それぞれのナレーターさんの特徴や曜日スタッフとのとっておきのエピソードを織り交ぜながら、数分間をちゃんとショーアップした伊藤アナ。演者でありながら、局員として、打ち合わせ中から反省会に至るまで、目配りをし、自身の意見や感想はしっかり上に伝える人でもあったからこその見事なひとときだった。その日でバラバラになってしまうレギュラー陣やスタッフも、伊藤アナのお陰で気持ち良く卒業できたのではないだろうか。

そんな伊藤アナが9月30日から『めざましテレビ』のメインキャスターに就任することが発表された。今年4月に30周年を迎えた同番組。2012年までは大塚範一アナがメインを務めていた。

フジテレビはもちろん、系列のネット局でもティーンやF1、F2(20歳~49歳までの女性視聴者)に圧倒的な人気を誇ってきた『めざましテレビ』の魅力の一つは、歴代の女性アナウンサーと大塚さんを中心にした仲の良さだったと思う。数字の上がる番組は演者らが仲良しで風通しが良い…とは放送作家としての筆者の持論でもある。さらに大塚さんはファッションやグルメなどの女性トレンドを女子アナと共に楽しみながら紹介する“かわいさ”もあった。これは、長年エンタメコーナーをずっと楽しそうに担当している軽部真一アナとの共通点でもある。

一方、三宅正治アナは男性的な視点から、重しとして同番組を支えてきたが、これが新人時代から「めざまし調査隊」として関わったり、「アミーゴ伊藤」として楽しい中継をしたりしてきたことを視聴者が憶えている伊藤アナに代わることで、また番組に、いい意味での“かわいさ”が戻ってくるような気がする。

「12年半の番組の進化を担われた三宅さんから仕事を受け継ぐ重責を感じています。私にとっては、はちゃめちゃだった新人時代から育ててもらった番組でもあり、今度はキャリア相応の役割を果たさねばと思います」とは伊藤アナの弁。くしくも『27時間テレビ』の高視聴率と『めざましテレビ』のメインキャスターに就任することが発表された22日は、伊藤アナの52回目の誕生日だった。

 視聴者からも愛され、共演したタレントや、共に番組を作ってきたスタッフからの信頼も厚い伊藤アナに番組サイドがオファーしたことに心から納得だ。そして井上清華アナや生田竜聖アナがどのような成長を見せるのか。また軽部アナと伊藤アナの軽快なやりとりにも期待したい。

 伊藤利尋アナの『めざましテレビ』。元気なフジテレビが戻ってくる弾みになることも間違いなさそうだ。

【プロフィール】
山田美保子(やまだ・みほこ)/『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!+』(メ~テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。

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