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「ゲストは呼ばない」「配信もしない」 M-1王者・銀シャリの「漫才ツアーへのこだわり」動員は「1万人」を目指す

NEWSポストセブン 2024年7月26日 19時59分

 結成19年を迎える漫才師で、2016年のM-1王者・銀シャリは、1万人の動員を目指す全国ツアーを開催中だ。ツアーではゲストの芸人を呼ぶケースも多いが、銀シャリは自分たちのネタだけで観客を楽しませるという。ライブへのこだわりを聞いた。(全3回の第3回。聞き手/中村計・ノンフィクションライター)

――同時並行でやっている2つのツアーは、1万人動員を目指す『シャリとキリギンス』と、2019年から継続中の『銀シャリの産地直送漫才~47都道府県巡り~』ですよね。両者は違うツアーなんですよね?

橋本 ややこしいっすよね。『全国』と『47都道府県』、同じ意味やもんな。

鰻 47(よんなな)は毎年、ずっとやってるやつで、今、半分くらい制覇しました。『シャリとキリギンス』は1年に1回、新ネタを披露する定番の全国ツアーです。

――1万人を目指すという謳い文句が付いていますが、いつも動員数の目標を掲げるものなのですか。

橋本 いや、言ってないです。1万人集められたら、過去最大の全国ツアーになると思います。僕ら、地味っちゃ地味じゃないですか。

鰻 でも「1万人動員」って打ち出したら、派手な感じになるじゃないですか。だから、そこはいろいろな意味で挑戦っす。

――5月にスタートしている『シャリとキリギンス』は全部で15会場で開催予定なので、1会場あたり670人を集めることができれば達成できる計算になりますね。

橋本 1000(席)超えのところもいくつかあるので、大きさはまちまちなんですけど、全部合わせたら1万は超える計算になります。

鰻 でも毎回、(客が入るかどうか)不安っす。あんま気にしないようにはしてますけど、不安っす。でも、去年、約1600キャパの御園座(愛知)で単独をやったら、満席やったんですよ。あれは嬉しかったなぁ。

ゲストを呼ばない理由

――『シャリとキリギンス』は何本の新ネタをやるのですか。

橋本 6本です。

鰻 47の方はネタは2本で、あとはトークと、ふれあい的な感じのものをやるので、内容はぜんぜん違うんです。

――新ネタは毎年、6本もつくるわけですか。

橋本 毎年、そんな感じです。でも漫才師もコント師もそれくらいのペースでつくっていると思いますよ。

鰻 もっと多い人もおるかもしらんな。

橋本 あー、でも、漫才師はもうちょっと少ないかもしれませんね。独演会にゲストを呼ぶ人が多いので。

――銀シャリはゲストは呼ばないのですか?

橋本 いつも呼ばないんです。だって、独演会をやっていいということは、自分らだけでやっていいと言われているわけですから。せやのにゲストを呼ぶというのも意味わからんじゃないですか。10周年のときは呼びましたけどね。来年も20周年なので、呼ばせていただくかもしれません。

鰻 でも基本、僕らだけでやろう、と。

――独演会となると人気のあるゲストを呼んで、集客に一役かってもらおうというパターンが多い気がしますよね。

橋本 客が入っても、ゲストの力なんかなというのも嫌なんです。そこは入っても入らんかってもええから、自分らのせいやって思いたいんですよ。

鰻 だから、いつも不安っすよ。

ジャルジャルの影響

――そういうスタイルの漫才師は他にもけっこういるのですか?

橋本 同期のジャルジャルがそうですよね。だから彼らの影響はあるかもしれないです。それと言いたいこと言えるの、漫才だけやないですか。ひな壇とかだと「今、しゃべったら邪魔かな」とか気を遣わないといけない。だから、単独ライブくらいは僕らだけでいいかな、と。ゲストを呼んだら呼んだで、いちおうもてなさないといけませんしね。ゲストがいないと自分たちの漫才に100パーセント集中できるというのもあります。僕らは配信もしないですし。

鰻 完全な自由。何にも気ぃ使わなくていい。

――銀シャリは誰と仲がいいみたいな、そういう感じでもないですしね。

橋本 それはよく言われますよね。「吉本っぽくない」って。誰と誰が昔から仲がよくて、ほんでどっちかが売れるとそいつを引っ張り出すみたいな。そういう関係性の中に良くも悪くもいないんですよ。

――それは意図的にそういうポジションを獲得したわけですか。

鰻 いや、意図はしてないです。

橋本 ただ、単独にゲストを呼ばないとか、少しだけ尖ってんのかなと思うときはありますね。そんなつもりはないんだけど。

(了。第1回目から読む)

◆撮影/山口京和

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