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【29歳パパ活女子に懲役5年6か月】法廷で明かされた激動の半生「14歳から援助交際」「友人の借金を押しつけられネカフェ生活」「2度の窃盗歴」

NEWSポストセブン 2024年7月26日 16時15分

 7月18日、2023年5月に神奈川県JR平塚駅前で知人男性Aさん(当時49)の腹を刺して殺人未遂などの容疑で逮捕された無職・伊藤りの被告(29)に、横浜地裁小田原支部は懲役5年6か月の判決を下した。逮捕直後、伊藤被告のX(旧Twitter)アカウントが見つかり、SNS上で話題に。「P活(*編注:パパ活の隠語)」「会社員」「28歳/155cm/72kg/D」「リピさん優先」「平日19:00~と土日に会えます」とパパ活で使用される“スペック”が掲載されたプロフィールのほか、パパ活の日常を想像させる自分の裸姿をうつした写真、さらに“乱倫パーティ”参加にかかわる赤裸々な投稿が明らかになった。

 いったいなぜふた回り近く年の離れたAさんを刺すことになったのか。6月28日から始まった公判で明らかになった伊藤被告の生い立ちを振り返る。【前後編の前編】

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 法廷に現れた伊藤被告は、白いワイシャツ、黒いズボンで髪を後ろで結んでいた。逮捕時より少し痩せたように見えたが血色はよく、声にも力がある。

 弁護人や検察官から、初めての乱倫パーティ参加から、犯行に及ぶまでの約5か月間の出来事のほか、伊藤被告の幼少期からの生い立ちに関する質問が相次いだ。

 伊藤被告は岐阜県岐阜市出身。母と弟3人の5人家族。父は物心つく前に離婚していたという。

 小学校では空手を習い、黒帯に。中学校では剣道に打ち込み、2段を取得するなどスポーツに没頭していた。しかし、高校で剣道強豪校に進学したものの部活動について行けず、周囲とも次第に距離を置くことに。授業にもついていけず、半年で退学した。高卒認定試験に合格し、大学に進学するも「授業の部屋がわからない」などで孤立し、半年で中退している。

 その後、介護職の正社員として就職するも「同じミスを繰り返したことで嫌なことを言われた」という理由ですぐに退職。その後、居酒屋や書店でアルバイトをするものの、やはり人間関係に悩んだ。

 周囲とうまくやれないことから、自宅に引きこもるようになった伊藤被告。20歳の頃に発達障害の診断を受け、障害年金が支給されるようになる。本人は診断が出たことに「ほっとした」という気持ちを抱いたというが、「もう少し早く診断が出てほしかった」とも吐露した。逮捕後の精神鑑定で、伊藤被告のIQは「知的障害の基準70より少し高い85」という結果がでている。証人尋問で出廷した精神科医は「言語性IQが平均を超えているため、一見、障害があるように見えないが、その他の数値が低く、学業や仕事などでミスを繰り返したのではないか」と証言した。

母親の交際相手の財布からお金を盗んで家出

 伊藤被告は仕事での失敗経験や発達障害の診断から「私には夜の仕事しかできない」と考えるようになり、風俗の世界に身を置くようになった。もともと14歳で援助交際をした経験も複数回あるといい、身体を売ることへの抵抗が少なかったようだ。

 しかし、「家族の視線が厳しかった」と、家に居場所を見つけられず、24~25歳の頃に家出を繰り返し、岐阜市内の病院に入院することになる。退院後はグループホームに行くが、犯罪に手を染めてしまう。伊藤被告が世話人の財布からお金を盗んだのだ。

 これをきっかけに実家に戻った伊藤被告は、東京に出ることを決意するようになったという。その際の交通費は母親の交際相手の財布から盗んだお金だった。以降、事件を起こすまでの約1年間、家族とは一度も連絡をとらなかった。

 東京での住居や仕事にアテもなく、歌舞伎町のネットカフェに寝泊まりするようになるが、すぐに所持金が底をつきる。消費者金融から10万円借りたというが、現在に至るまで返していない。

「金遣いが荒い」と自覚している伊藤被告にとって、生活保護と障害年金だけでは足りず、また風俗で働き出すことに。出勤はまちまちで、1日の出勤で1万5000円あれば多いほうだったという。稼いだお金は「一人で心細くて」と、飲食費や遊興費に溶けた。手当時を振り返り、伊藤被告は「お金を使う」行為が目的となっていて、それが生きる意味にもなっていたと明かしている。

友人の「ホストの借金」を押しつけられる

 その後、伊藤被告は同じく風俗で働いていた女性と仲良くなり、彼女が自宅に転がりこむようになる。そして、この女性がホストで作った借金の連帯保証人に。気づけば女性とは連絡が取れなくなり、借金をすべて抱えることになった。連日、借金の取り立てが来るようになった伊藤被告は夜逃げ同然で自宅を飛び出し、歌舞伎町で再びネットカフェ暮らしをするようになった。

 このあたりから伊藤被告は、金への強い執着を見せるようになる。

 2022年7月18日、伊藤被告は自分と同じくネットカフェに寝泊まりする風俗業の女性の部屋に侵入し、3万1000円を窃取し逮捕される。警察の取り調べには「よくないことと思っていたが、お金がどうしてもなくて必要だった」と答えている。

 この過程で、葛飾区の病院に任意入院することになり、わずか1週間で退院。ネットカフェ生活に戻った伊藤被告はマッチングアプリやXを用いた売春・パパ活を行なうようになる。

「しずか」というハンドルネームを使い、男性に売春を持ちかけ、アポが入れば外出する。そんな生活が続いた。稼ぎは1日1~2万円ほどで、最高月収は60万円ほどだったという。しかし、宿泊費だけで1日7000~8000円もかかっていて、散財癖も変わらなかったため、ネットカフェ暮らしからは脱却できなかった。

 そして2023年1月、パパ活で知り合った男性に勧められ、伊藤被告は乱倫パーティの世界に足を踏み込むことになる──。

(後編に続く)

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