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【自民党総裁選シミュレーション】麻生太郎氏が “石破包囲網”に動き、河野太郎氏、高市早苗氏らが出馬 最終的に加藤勝信総裁誕生のシナリオ

NEWSポストセブン 2024年7月29日 18時59分

 瀕死の岸田政権を尻目に、9月の総裁選に向けた「ポスト岸田」の動きが活発化している。「次期総裁にふさわしい人」の世論調査では各社とも石破茂・元幹事長が他の候補を圧倒的にリードしている。が、世論通りには進まないのが総裁選。長年取材してきた政治のプロたちの票読みとは──。総裁選をいくつかのケースに分けてシミュレーションした。ここでは“加藤勝信総裁誕生”のシナリオを紹介する。【全5回の第2回。第1回から読む】

【シナリオ1】“石破包囲網”で加藤総裁誕生

 有力な総裁選候補のうち人気面でリードしているのが石破茂氏だ。

 新聞・テレビの世論調査では全体でも自民党支持層でも「総理にふさわしい人」の1位につけている。幹事長や地方創生相時代から何度も全国を回った石破氏は地方の党組織に支持者が多い。反面、議員の支持が弱く、党員投票が実施されなかった2020年総裁選では菅義偉・前首相に大差で敗れた。

 今回は党員による投票が実施される見込みであり、石破氏は党員票で優位。そのうえ、派閥の締め付けがない。選挙に弱い議員たちが「選挙の顔」となる石破氏に乗れば、“地滑り的勝利”になる可能性がある。

麻生氏が立てる2人の刺客

 だが、自民党には石破氏を絶対に総理・総裁にしたくない実力者がいる。麻生太郎・副総裁だ。

 石破氏は麻生内閣の農水相時代、総裁選前倒しを主張して“麻生おろし”に動いた。以来、「麻生氏は石破氏だけは許せないと深い怨恨を抱いてきた」(麻生側近)とされる。

 安倍晋三・元首相と石破氏が争った2018年総裁選の時には、麻生氏は「『選挙の顔』としてどちらを選ぶか、よう考えてみてください。どちらの顔が戦いやすい顔か。暗ーい感じの顔ですか。答えははっきりしている」とこきおろした。

 麻生氏を長年取材してきた政治ジャーナリストの藤本順一氏は、麻生氏が“石破包囲網”に動く準備があると見る。

「麻生さんのシナリオは党員票からなる1回目の投票で、一番人気の石破氏の圧勝を阻止して決選投票に持ち込むことです。麻生さんはいまだ約50人の議員を束ねており、その動向が決選投票の流れを大きく左右します。

 まず、人気投票で常に上位に名を連ねる自派閥の河野太郎氏の出馬を容認し、さらに出馬に意欲を見せるものの20人の推薦人集めに苦労しそうな高市早苗氏に自派閥議員を助っ人として貸し出せば、党員票を分散させることができます。ダメ押しとして二階派若手の小林鷹之氏の出馬に手を貸すことで非主流派を分断して石破包囲網を敷きたいところでしょう」

 前回の2021年総裁選では、石破氏は出馬せずに河野支持に回った。麻生氏は今回、その河野氏を“噛ませ犬”として石破氏にぶつけ、さらに高市氏や若手の小林氏などを支援することで“石破包囲網”をつくるという見方だ。

 では、決選投票はどうなるのか。藤本氏は、カギを握るのはもう一人のキングメーカーであり、現時点では石破氏支持と見られる菅氏の動きだと指摘する。

「菅さんも、神奈川県連分裂につながる石破─河野の一騎打ちは避けたい。そこで菅内閣の官房長官だった加藤勝信氏をもう一枚の手持ちカードとして切ってくる可能性があります。実務派の加藤氏のことは麻生さんも高く評価していますし、共に政権を支えてきた故・安倍首相と縁続きの加藤氏が出馬となれば党内融和、結束を優先させることができる。石破─加藤の決選投票となれば加藤氏に流れる可能性は十分あります」

 ダークホース加藤総裁の誕生だ。

(第3回に続く。第1回から読む)

※週刊ポスト2024年8月9日号

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