Infoseek 楽天

《この身を切り刻んでも奉仕をしていく》杉良太郎、間もなく80才で訴える「新たな国民病」への画期的対策

NEWSポストセブン 2024年8月3日 11時15分

 華やかなメイクと衣装で着飾ったダンサーたちに、「遠くから見たら“あの人は10代ですか”と思われるくらい、はつらつとね!」と発破をかけるのは、歌手で俳優の杉良太郎。この8月14日に80才を迎える杉だが、彼の眼の前でヒップホップダンスを踊るのは、そう年齢の変わらないシニアのダンサーたち──。

 7月23日に東京都内で「知って、肝炎プロジェクト 健康デー 2024」が行われ、厚生労働省健康行政特別参与を務める杉を筆頭に肝炎対策特別大使の伍代夏子らが出席した。

 イベントは「世界・日本肝炎デー(7月28日)」に合わせて肝炎についての知識普及、予防、治療への理解が進むよう啓発し、私たち国民が「健康」について考えるきっかけを発信するべく実施。「ダンスで健康を、世界に発信!」をテーマに、健康の要素として大切な運動・食事・睡眠の中でも、運動=ダンスを通じた健康づくりにフォーカスして情報発信を行った。

 伍代による開会宣言の後、会場に流れたのが冒頭の映像だ。

 杉は65才以上のヒップホップダンスチームの普及に努め、2022年より全国規模のダンス大会を主催している。映像は昨年大会の舞台裏のドキュメントが基となり、「歳じゃないんだ。生涯、元気で長生きをする。そのためにリズムを体に入れていく」という杉の理念が刻まれていた。

 映像が終わると場内が暗転し、スポットライトに照らされて5つのシルエットが浮かび上がった。登場したのは、岡山からやってきたダンスチーム『OYAじ~Z』。95才、93才を含めた平均年齢83才の男性5人組で、普段は畑仕事に励んでいるという彼ら。

 重心をさげてスクワットのような動きをする振りでは誰ひとりよろけることがなく、畑仕事で鍛えた足腰の強さを見せつけた。2分42秒のダンスを踊りきると「楽しかった!」とやりきった表情に。78才の“若手”メンバーは、ダンスのために50分のウォーキングを日課にしていると、健康習慣を明かした。

 先輩世代のステージを間近で鑑賞した72才の武見敬三・厚生労働大臣も、「みなさん、とてもお元気でいらっしゃる。リズムに乗って踊っておられるのを拝見して、私のほうが若干若いですが、びっくり仰天です。いきいきとした姿にダンスや運動を通じた健康増進を図る大切さを、あらためて認識しました」と感心しきりだった。

人間にとって何がいちばん幸せか

 この日は最高年齢77才・平均年齢69才のロックダンスグループ『ソウルフルフーズ』の他、小学生、高校生、プロチームの計4組も熱烈にパフォーマンス。さらに、国民の健康増進を目指して作られた「健康ダンス」がお披露目された。

 振り付けを「健康一番プロジェクト」サポーターで世界的ダンサーのMaasaが担当。久留米大学医学部教授の川口巧さんと東京大学先端科学技術研究センター特任研究員の宮﨑敦子さんが監修にあたり、脂肪肝の予防・改善や認知機能の維持・向上などを促す、幅広い層へ向けたプログラムになっている。

 Maasaとアクロバットを得意とする一卵性三つ子のシンクロアクロバットパフォーマー・佐藤三兄弟のレクチャーのもと、観客全員でダンスチャレンジをするコーナーでは杉も立ち上がって、スーツ姿でトライ。Maasaの「間違えても気にせずに、ダンスを楽しんで!」の呼びかけに応えるように、始めは小さめだった動きも回を重ねるごとに大きくなり、隣で踊る伍代とぶつかりそうになるほど伸び伸びステップを踏み、ポーズを決めた。

 約20分みんなでダンスに勤しみ、会場は快活な笑顔でいっぱいに。杉も、「私もちょっと今動きましたけれど、血が逆流していて、思考がいつもの半分くらいでございます」と笑わせながら、充実した表情を見せた。

 続けて、「これまで心臓や椎間板ヘルニア、狭窄症の手術などを3回もやりました。入院中のベッドの上では“病院で寝ている人生なんてつまらんなぁ”と、そんなことばかり。自分の体は日頃から自分で気をつけなければいけないと、つくづく痛感しました」そして、「人間にとって何がいちばん幸せか、考えました。やはりなんといっても健康なんです」と、かみしめた。身をもって感じた健康のありがたみが、杉を精力的に突き動かす大きな原動力となっている。

成人の約30%が罹患する「新たな国民病」

 2012年に始まった「知って、肝炎プロジェクト」の活動は13年目になる。武見大臣からも挨拶で「杉さんはこれまで長年にわたって貢献してくださっている」と感謝の意が伝えられた。

「厚労省から肝炎を中心とした取り組みをしてほしいと依頼があって、最初はとんでもないことを引き受けてしまった、でもやりがいがあるな、と。当時は肝炎に偏見があってサポーターを引き受けてくれる人もなかなかいなかった。今はがん対策もしていて、早期発見・早期治療のための検査の大切さを訴えています」

 知って、肝炎プロジェクトのスペシャルサポーターには常盤貴子、DA PUMP、佐藤三兄弟が新たに加わり、計27組に。ウイルス性肝炎に始まり、脂肪肝の対策などにも取り組む。

「ウイルス性肝炎が全国的にグッと減ってきている。その一方で増えているのが脂肪肝とアルコール性肝炎です。脂肪肝は成人の約30%が罹患していて、新たな国民病ともいえます。放っておけば肝硬変、肝がんなどに発展するリスクがある。そこで考案したのが、今回発表した『健康ダンス』。こうした取り組みを通じて“元気な高齢者”をアピールし、日本から世界へ『健康』を輸出したい」(杉)

 イベント終了後には囲み取材に応じ、杉は同席していた『OYAじ~Z』のメンバーに自ら“取材”。「食欲はありますか」「お酒はのむ?」「体の悩みはないですか」などと、質問した。

「みなさん、本当にすごいなぁ。私の母親は93才で亡くなっているけれど、寝たきりだった。それを93才、95才の年齢になって振りを覚え、ダンスしているんだから。みんなの前で踊るのは緊張したと話していたけれど、そのプレッシャーが刺激になるし、それに負けないのは強いと思う。脳も、気も若いね」

 杉は意欲に満ちた面持ちになり、国民の健康のためにすこしでも力や希望になれるよう、今後も日本全国を飛び回って「この身を切り刻んでも、奉仕をしていきたい」と語った。

この記事の関連ニュース