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【プロ生活38年】三浦知良57歳、増え続ける“身体のケアに費やす時間” 「ここ4年ほどピラティスをやっています」

NEWSポストセブン 2024年8月7日 11時13分

「キング」──尊敬と親しみを込めてこう呼ばれる三浦知良(57)は、サッカーとともに人生を切り開いてきた。尽きぬ情熱、希望はどこから生まれるのか。現役生活38年、7月から鈴鹿に復帰した“キング”は肉体と向き合い、走り続ける──。【カズ密着・前後編の前編】

休むと体調が悪くなる

 18歳でブラジルのサントスFCとプロ契約してから実に38年──。57歳になった三浦知良は、なおもピッチに立つことをやめない。

 この1年半はポルトガル2部の「オリベイレンセ」でプレー、今年7月からはJFL「アトレチコ鈴鹿」と契約し、7月14日、対「ヴェルスパ大分」戦で約2年ぶりに日本のピッチに戻ってきた。

 この日、1分走っただけで全身が汗まみれになるという雨上がりの蒸し暑いピッチに、後半17分から出場した。

 積極的にゴールに向かうも無得点に終わったカズは、試合後、「ボールを足元に受けることもなかったし、センタリングに何度か合わせるプレーしかなかったので、ほとんど何もしないまま終わってしまった」と悔しさを滲ませた。ゴールを狙う意欲は、還暦に届かんとする今なおまったく錆びついていない。

 翌日のオフ。つい2週間前から鈴鹿市内のマンションで一人暮らしを始めたカズは、朝7時、近くの吉野家で朝食をとる。

「7時前には行列ができていたんだけど、別に声をかけてくる人はいなかったよ。帽子をかぶってサングラスかけていたし、朝の忙しい時間帯に皆かまってられないでしょ。食べたのは朝定食。焼き魚にサラダ、小鉢とかもつけて800円ぐらい。バランスよく食事しています」

 8時20分にはジムに行き、1時間ほどかけて自転車漕ぎと筋トレをこなす。カズ曰く、「もっと休んだほうがいいと言われるけど、休むと体調が悪くなる」のだという。

 その後、部屋に戻り、日課となっている交代浴を行なう。温冷浴ともいわれ、温水と冷水に交互につかることで血管を収縮拡張させ、血流をよくすることで疲労物質などを取り去る。

 ベランダに製氷機とビニール風呂を置き、氷風呂と湯を入れた風呂の間を数分おきに行き来する。即席の設備だが、ポルトガルでもレストランの氷を使ったりしながら欠かさず行なった。初老の域に入ったアスリートにとって、ゲームの翌日、いかに疲労を取り除くかが最大のテーマである。

 昼食後は特急電車に乗って名古屋へと向かった。

「ここ4年ほどピラティスをやっています。体幹、モビリティ、凝り固まった股関節や肩甲骨をほぐしたりするために。ヨガとはまた違うんだけど、身体全体のバランス感覚を養う感じでしょうか」

 カズのオフはこうして瞬く間に過ぎていく。身体のケアに費やす時間は年を重ねるごとに限りなく増え続けている。

(後編につづく)

取材・文/一志治夫 撮影/関めぐみ

※週刊ポスト2024年8月16・23日号

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