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「16時台から1円パチンコ」の副市長に直撃「辞めたら他職員にも迷惑をかける」「法的にはギャンブルではない」過去にも「市長が賭けマージャン」の飯塚市でまた問題発覚

NEWSポストセブン 2024年8月7日 14時0分

 福岡県飯塚市の久世賢治副市長(60)が、市役所の開庁時間中にパチンコに興じていた事実が波紋を広げている。飯塚市職員が次のように語る。

「久世さんは、15時過ぎとか、16時前後に退庁することが度々あった。私の周りでは、“いったい何をしとるんやろうね”と話題になることもあった。まさかパチンコをしてたとは思ってもみなかったですけどね」

 今年4月19日、17時前から17時過ぎまでの約30分間、市役所近くのパチンコ店でパチンコをしている久世氏の姿を目撃した市民が、その様子を写真に撮った。開庁時間中にパチンコ店にいることを問題視した別の市民が、写真を添えて、市の職員にこの事実を訴え出たことにより、今回のことが表沙汰となった。

 久世氏に直接話を聞いたところ、4月19日にパチンコをしていた事実を認めた。ただ、同氏は自分の行為は「法的には問題がない」と語る。

 公務員法により、一般職員の勤務体制は一日7時間45分が原則だ。多くの自治体では17時15分までが正規の勤務時間で、それ以降は残業扱いとなる。飯塚市も同様の勤務体制をとっており、開庁時間も8時30分から17時15分となっている。ただし、市長や副市長などの特別職は、勤務時間が定められておらず、この法律に縛られることはない。当の久世氏は次のように話す。

「その日も、16時半過ぎぐらいに公務が終わりまして、秘書課の職員にも確認し、この日は上がらせてもらいました。ですので、自分の中では、公務は終わっていた」

「辞めるまでの案件ではないだろう」

 つまり、副市長としての公務が終わっているので、一般職員の勤務時間であろうとも、パチンコをすることに問題はないとの見解だ。しかし、飯塚市には他市にない特別な事情がある。別の職員が語る。

「2016年12月になりますが、当時の斉藤守史(もりちか)市長と田中秀哲副市長が平日の昼間から“賭けマージャン”をやっていたことが全国的に報道されて、大騒ぎになったことがあります。飯塚市には、そんな“前科”がある。今回のことで、またマイナスなイメージが広がることになると、職員としては残念な気持ちです」

 当時の斉藤市長は疑惑が報じられると「金をかけなければマージャン人口が減る」と開き直って、さらなる批判を呼んだ経緯がある。

 2021年に飯塚市の副市長となった久世氏は同市の職員だった。副市長に任命される直前の肩書は、総務部の部長である。自治体トップの失態が、職員に与える影響を熟知する立場にあったはずだ。

 久世氏本人にこのことを問うと、次のように答えた。

「そうした思いもあるので、(市民からの通報を受け取った)当初は、やっぱり、これは(副市長の仕事を)辞めなければいけないだろうと考えた。ただ、私が例えばもし辞めることになれば、各職員に迷惑をかけることにもなる。弁護士のほか、一部の職員に相談したところ、法的な問題はないのだから、辞めるまでの案件ではないだろう、という話をされた。市長に相談したところ、市長も同様のお考えだった」

パチンコはギャンブルか

 2016年に当時の市長と副市長が平日昼間に興じていた賭けマージャンは明確に違法行為だった。しかし今回はパチンコである。出玉を物品やお金に換えるのが遊興行為としてのパチンコの本質だ。

 出玉をお金に換える際は、パチンコ店、景品交換所、景品業者、それぞれ別の「三店」を経由して換金することで、違法性を問わない「三店方式」が採用されている。ただし、違法性を問われないというだけで、ギャンブルであるか否かの法的な解釈は明確ではない。パチンコの法的解釈について、久世氏本人は次のように語る。

「パチンコは(法的な位置づけは)ギャンブルではないんです。いわゆるグレーです。私は1円パチンコしかしないですし、そもそもお金になるような遊びじゃないですよ。交換するのはほとんどカップヌードルとかの日用品です。国会では維新の会がギャンブルだって言ってましたけど、法的に言うと、ギャンブルではない」

 副市長は特別職だから勤務時間に法的な縛りはない。パチンコはギャンブルではないから法的に問題はない。法律の面からだけ見ればそうかもしれないが、道義的な問題は全く別のところにある。自身の進退について尋ねると、久世氏は「今は副市長の座を降りるつもりはない」と語った。

 今後の動向を注視したい。

◆取材/文:江波旬

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