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フワちゃんのやす子への不適切投稿 本人は“いじり”のつもりだったか、ただ有吉やマツコの毒舌と本質的に違っていたこと

NEWSポストセブン 2024年8月7日 19時15分

 どんな大御所が相手でも友だち口調で話しかける「タメ口キャラ」で知られるタレントのフワちゃんが、Xへの投稿が不適切すぎると炎上している。たびたび失礼な言動で物議を醸してきたフワちゃんだが、仕事のキャンセルが次々と明るみに出たことは今までになかった。臨床心理士の岡村美奈さんが、攻撃性とユーモアについて分析する。

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 日本のメダルラッシュが続くパリオリンピックでは、場外でも様々なことが起きている。選手村の食事でひと際注目を集めているのが、”マフィン・マン”が絶賛するチョコレートマフィンだ。「10点満で11点」というほどこのマフィンがお気に入りの競泳男子ノルウェー代表、ヘンリク・クリスチャンセン選手は、連日、マフィンを食べている様子をSNSで発信。様々な選手が同じような投稿をして話題になっている。

 雨になった開会式では、陸上男子走り高跳びイタリア代表のジャンマルコ・タンベリ選手が、船上パレードの途中で、結婚指輪をセーヌ川に落とすというハプニングが起きた。2日には、バドミントン中国代表で混合ダブルスで金メダルを取った黄雅瓊が表彰式後の会場で、中国の男子ダブルス代表、劉雨辰選手にプロポーズされ、スタンドの観客から大きな拍手で祝福された。

 日本では、オリンピックに絡んで残念なことが起きた。2日、お笑いタレントのやす子がSNSに投稿した文章に対して、タレントのフワちゃんが暴言を吐いて謝罪、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組の放送が休止となる事態になっている。フワちゃんとやす子、キャラ的に対極にいるような2人の間にいったい何が起きたのか。

 最初にネットで目にした報道には、2日、やす子がXに「やす子オリンピック 生きてるだけで偉いので皆 優勝でーす」と投稿。これにフワちゃんが「予選敗退でーす」と投稿し、SNSでそれが拡散。やす子が4日夜に「とっても悲しい」と投稿し、その深夜、フワちゃんが「本当にすみません。言っちゃいけないことを言って、傷つけてしまいました」などと謝罪したとあった。

 この報道だけを見たときは、予選敗退もきついギャグだが、これまで辛辣なコメントの数々で世間を騒がせ、突拍子もない発言を繰り広げてきたフワちゃんらしいと言えばフワちゃんらしい。それだけに、彼女が謝罪するだけでは収まらず、ラジオ番組も休止するまでになるとはと首を傾げた。他の記事を探してみると、「予選敗退でーす」の前にさすがにこれはまずい、と思う暴言があったことがわかった。裏アカと間違って投稿した誤爆とも当初はささやかれていたが、どこかに投稿すれば表に出てくるリスクは避けられない。なぜ自分をコントロールできなかったのか。

 

 フワちゃんに罪悪感はなかったのだろう。悪意のある”いじめ”というより、からかい的な”いじり”だったのではないだろうか。自分のキャラを押し出して笑いを取るため、相手をバカにしたのかもしれないが、相手を叩いて、痛がっている様子が面白おかしいドリフターズのギャグやユーモアとは本質が違う。ひな壇に座るお笑いタレントが大御所やMCにいじられて、自身のキャラをアピールできるのとも違う。

“いじめ”と“いじり”の間には境界線があるといわれる。悪意やバカにするという否定的な特徴がないのがいじりであり、人を攻撃せず、相手への好意があり、相手を生かそうとする肯定的なものだ。タレントの有吉弘行さんや、マツコ・デラックスさんのいじりや毒舌はこの類だが、フワちゃんの今回のコメントにはそれがなかった。

 ユーモアは罪悪感のない攻撃性を存分に発揮するものだが、笑いの技法でもあるという。ダイヤモンドオンライン、2022年9月14日付の『[精神科医が教える]他人をいじって笑いをとろうとする人の心に隠された意外な共通点』によると、攻撃性が高い人ほど、攻撃性を抑制するために、優れたユーモアセンスを持っているらしい。

 こう書いていて、お笑いタレントの明石家さんまさんを思い出した。当代一の優れたユーモアの持ち主は、娘でタレントのIMALUさんが生まれた時、座右の銘である「生きているだけで丸儲け」から、いまると名付けたという。そのエピソードと、やす子の”生きてるだけで偉い”という投稿がリンクする。

 今回の騒動を心から後悔し、やす子に謝罪するというフワちゃん。今後の活躍は、ユーモアのセンスが磨けるかどうかにかかっているのではないだろうか。

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