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《天皇陛下、愛子さまは“コトー先生”ファン》『聖☆おにいさん』、新田次郎、“ジーヴス”…皇族の方々の愛読書

NEWSポストセブン 2024年8月15日 16時15分

 皇室の方々の私生活は菊のカーテンに隠されているが、ご自身の言葉で綴られた著書や、好みが表れる愛読書から、その人間性の一端はうかがい知ることができる。外出しにくい酷暑のお盆休みに、ピッタリの一冊を見つけてほしい。

 イエス・キリストとブッダが、東京・立川の6畳一間のアパートで共同生活を送る──なんとも奇天烈な設定が人気を博しているのは、漫画『聖☆おにいさん』(中村光・作)だ。月刊誌での連載は19年目に突入し、これまでアニメ化やドラマ化され、さらに今年12月に実写映画が公開される。

 そんな“日常系ギャグ漫画”のファンだと公言されたのは、三笠宮家の彬子さま。7月22日、北海道の小樽芸術村で《大英博物館が教えてくれたこと》と題して講演をされた彬子さまが、愛読している作品として同漫画を挙げられた。

「彬子さまは、皇族として初めて海外の大学で博士号を取得されたアカデミック派。昨年文庫化され30万部のヒットとなっている彬子さまの著書『赤と青のガウン オックスフォード留学記』にも記されている通り、特に芸術分野への造詣が深い。講演ではそこから、アニメやオタクなどのサブカルチャーにも話が及びました」(皇室記者)

 芸術と宗教は切っても切り離せない。同漫画にも宗教と関連が深い芸術作品が登場するため、関心を持たれたのだろう。

「ただ、今回の彬子さまのように皇族がはっきりと愛読書を明かされるのは珍しいことです。昭和天皇はかつて、記者から『好きなテレビ番組』を問われても答えませんでした。立場上、宣伝と受け取られるのを避けるためでした」(前出・皇室記者)

 それでも、皇室の方々もひとりの人間。趣味嗜好があるのは自然なことだ。ご著書や愛読書には、それぞれのお人柄が表れる。

父娘そろって“コトー先生”ファン

 彬子さまは、前述の『赤と青のガウン』の続編ともいえる“帰国後の日常”を綴った『京都 ものがたりの道』を2016年に上梓。2022年には、彬子さまの父である故・三笠宮寛仁さまの生涯をまとめた『ひげの殿下日記』の監修を務められた。また、寛仁さまも『トモさんのえげれす留学』というタイトルの留学記を出版されたことがある。

 彬子さまのように日頃から漫画を楽しまれているのは天皇陛下だ。陛下は2022年12月、雅子さまと愛子さまとご一緒に、離島医療を描いた映画『Dr.コトー診療所』の上映会に臨席された。

「皇太子時代から、山田貴敏氏による原作漫画のファン。ご一家で上映会に足を運ばれたのも、雅子さま、愛子さまとご一緒に鑑賞したいという、陛下のお考えによるものだったそうです」(別の皇室記者)

 ご鑑賞後、愛子さまは主演の吉岡秀隆(53才)に対し、「吉岡さんのフワッとした感じが、コトー先生にピッタリですね」と話されるなど、父娘そろって愛読されていることが伝わってきた。これまで日本百名山などを踏破されてきた陛下は、趣味の分野の本も多くお読みだ。

「中学校時代には、小説家・深田久弥さんの随筆集『日本百名山』に夢中になられ、山を舞台にした物語を数多く書いた作家で気象学者の新田次郎さんの小説はほぼすべて読破されています」(前出・別の皇室記者)

 陛下は2009年、新田さんの代表作『劒岳 点の記』が映画化された際にも、試写会に足を運ばれている。また、2014年と2016年には登山専門誌にエッセーを寄稿されたことがある。

「陛下は“ベストセラー作家”です。昨年、新装復刊された、英オックスフォード大への留学記『テムズとともに 英国の二年間』は10万部を超えています」(前出・別の皇室記者)

 常に周囲に警護やお付きの人間がいる環境から一転、自由気ままに外出できた留学生活の充実ぶりが伝わってくる名著だ。

「今年6月の訪英時に、留学時代に馴染みのあった地を雅子さまと訪れられたことは記憶に新しい。ご自身の著書の記述をさかのぼりながら、イギリスの町並みを眺められたことでしょう」(前出・別の皇室記者)

11才で亡くなったフィリピンの少女

《歌番組は見なくても、雅子さんは、その年から始まったテレビ番組の「プロ野球ニュース」は欠かさず見ていた。友だちから借りた漫画『巨人の星』(川崎のぼる画)に感動して以来、ボクシング漫画の『あしたのジョー』(ちばてつや画)などスポーツ漫画から手塚治虫の作品までよく読んだ》

『ザ・プリンセス 雅子妃物語』には、そうした記述がある。幼少の頃は『フランダースの犬』の読み聞かせを毎日のようにご両親にせがまれたという雅子さまだったが、中学校に上がってソフトボールに夢中になった頃には、劇画タッチの漫画を好まれたようだ。皇室に入られてからは、雅子さまが繰り返し手にされている一冊がある。

「フィリピンのストリートチルドレンの少女が過酷な状況で生き、11才で亡くなるまでを綴った『ロサーリオの死 少女の残したもの』という本です。著者はスウェーデン人ジャーナリストのマイグル・アクセルソン 氏。高円宮妃久子さまから贈られたものだそうです。

 外交官というキャリアを持ち、娘を持つ母として、読み返すたびに、厳しい境遇に置かれている子供たちのことを決して忘れないという、皇族としてのお気持ちを改められているそうです」(皇室ジャーナリスト)

 愛子さまは、2才のときに陛下が撮影されたホームビデオで元気に音読を披露されていた。手元には絵本『うずらちゃんのかくれんぼ』(きもとももこ作)。うずらとひよこが遊ぶ様子が色彩豊かに描かれる名作だ。

「愛子さまはたくさんの絵本に親しまれ、幼少の頃に公開された写真にはほかに『いないいないばああそび』(きむらゆういち・作)、『ぐりとぐらのあいうえお』(なかがわりえこ・作、やまわきゆりこ・絵)などが写っていました。当時皇太子だった陛下が、『はらぺこあおむし』(エリック・カール・作)の劇を鑑賞された際に、“うちの子もこの本が大好きなんですよ”と話されたこともありました」(別の皇室ジャーナリスト)

 絵本の中には、美智子さまから贈られたものもあったという。美智子さまと絵本の馴染みは深く、1992年『どうぶつたち』(まど・みちお・作、安野光雅・絵)の英訳を担当された。その美智子さまは、2018年10月のお誕生日に際して公表された文書に、次のように綴られている。

《読み出すとつい夢中になるため、これまで出来るだけ遠ざけていた探偵小説も、もう安心して手許に置けます。ジーヴスも2、3冊待機しています》

 ジーヴスとは、イギリスの作家・P・G・ウッドハウスの探偵小説に登場する、謎解きが得意な執事の名だ。日本では『比類なきジーヴス』や『ジーヴズの事件簿』のタイトルで販売されている。あれから6年。すでに美智子さまは読み終えられているに違いない。

 一方、上皇さまは魚類学者として論文を執筆された経験があり、2018年に『小学館の図鑑Z 日本魚類館』で、ハゼに含まれるチチブ属について4ページの原稿執筆を担当された。

 学術的な側面で言えば、秋篠宮さまは2000年に鶏の分類や家禽化の歴史などについてまとめた『鶏と人 民族生物学の視点から』を出版されている。同書の挿絵は紀子さまが描かれたものだった。紀子さまも、絵本作家・ビッキー・イーガンの『ちきゅうのなかまたち』シリーズの翻訳を担当されたご経験がおありだ。

 酷暑ゆえ、室内で過ごす時間が長くなりそうなこの夏。冷房の利いた部屋で、皇族の名著と愛読書に読み耽るのはいかが。

※女性セブン2024年8月16・23日号

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