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《少年少女を闇堕ちさせた男》初公判に出廷した“トー横キッズのまとめ役”徳永晋太郎被告は激痩せ姿で車椅子に乗り…関係者が明かした「未成年買春、薬物汚染」の実態

NEWSポストセブン 2024年8月15日 7時15分

「“トー横”はオーバードーズや買春だけではないんです」(トー横関係者)──さまざまな欲望が渦巻く日本一の歓楽街、新宿・歌舞伎町にある複合商業施設「新宿東宝ビル」。そこに隣接する広場、通称“トー横”では家出した少年・少女が身を寄せ合っている。このエリアを中心にして犯罪や売春、違法薬物などに手を出す未成年が多発し、大きな社会問題となっている。トー横関係者が続ける。

「徳永みたいな悪い大人がたくさんいて、集まってきた未成年は知らず知らずのうちに詐欺や闇バイトに関わって、“闇堕ち”しているんです。地元の駅前やコンビニにはこのようなヤバい大人はいないですよね。トー横はそういう場所なんです」

 7月31日、“トー横のまとめ役”と自ら名乗っていた徳永晋太郎被告(39)は、東京地裁の被告人席に座っていた。

 徳永被告は昨年3月、いわゆる“トー横キッズ”だった当時18歳の少年に暴行を加えたうえ、共犯者とともに車に監禁。さらに少年の母親を脅し、20万円の身代金を奪ったとして、監禁などの罪に問われ、5月に逮捕されていた。共犯者の暴力団員の三枝丈人被告(36)、10代と20代の男性の計4人が逮捕された事件の主犯格だ。

 40席以上ある傍聴席は満席だった。知る人ぞ知る徳永被告がトー横キッズを利用して犯してきた数々の罪が明らかになった──。

表向きは“イベントオーガナイザー” 裏ではクスリの売人として暗躍

 法廷に現れた徳永被告は、逮捕前の姿から驚くほど変化していた。かつて130キロほどあった体は見違えるほど小さくなり、かつて帽子姿に隠れていた頭部はところどころ禿げ上がり、髪の毛は無造作に伸びている。さらに足腰を悪くしたのか、車椅子に乗って入廷した。その様子は病人のようで、30代とは思えないほどに老け込んでいた。

 裁判が始まると、まず人定質問が行われた。なぜか徳永被告は、本籍の住所を枝番まで覚えておらず、裁判官を困惑させていた。検察官が起訴状を読み上げると、監禁と恐喝のほか、特殊詐欺に関する罪状が計19件も述べられた。

 詐欺はトー横キッズを受け子にしたもので、被害者は全員が80歳以上の高齢者で、被害額は合計で約1250万円にものぼる。また冒頭陳述によると、被告は2022年頃から、三枝被告やトー横キッズらとともに、特殊詐欺にとどまらず違法薬物の売買を始めたという。冒頭のトー横界隈の事情に詳しい関係者はこう語る。

「徳永は6〜7年前から新宿にいたと思います。当時からキャバ嬢の売掛金を客から取り立てて脅迫したり、女性に性的暴行を加えたり、クスリ関係で捕まったりと、何回も警察のお世話になっていたような男です。界隈では有名なビジネスホテルに年間で、300泊以上していたそうです。子ども達の前ではいつも『俺は金がある』とか大見得を切っていて、悪い大人として界隈では認識されていました。

 ある時、自身を“イベントオーガナイザー”と称していたこともありました。トラブルがあり、実現しませんでしたが、2年前の8月には歌舞伎町内のとあるクラブで、音楽イベントを開き、裏では大麻の“品評会”のようなことを行なっていました。その時は一世風靡した超有名なラッパーもフライヤーに名前が出ていましたね。またこの時、トー横キッズたちもイベントに招待されています」

 そんな被告は2年ほど前からトー横キッズを犯罪行為に巻き込むようになったという。

「女の子は売春で稼げるんですけど、男の子は簡単には稼げない。そうすると、稼ぐ手段として犯罪って選択肢が出てくる。これをキッズに教えていたのが徳永です。『仕事がほしい』『楽に稼ぎたい』っていう子ども達の需要をうまく利用したんですね。

 徳永は広場に頻繁に顔を出し、界隈の子の一部では有名人でした。交流の場だった広場で、徳永はキッズと友達みたいな関係になるんです。彼と仲良くなった悪い子たちは、お金をダシに特殊詐欺の末端や薬物の売人に仕立てられる。徳永はそんな子たちにもクスリや大麻の味を覚えさせて、トー横のネットワーク内でブツを売り捌いていたんです」(同)

「生きては帰れねえぞ」「8万ごときで殺人までしたくない」

 監禁の被害者になった少年も、徳永被告に取り込まれてしまったキッズの一人だった。

 検察の冒頭陳述によると、少年は歌舞伎町に頻繁に出入りするようになり、2023年1月頃に被告と出会い、売春のあっ旋をはじめ、その1ヶ月後には覚せい剤や大麻の密売も行うようになったという。

「もともとは大宮あたりの子で、市販薬のOD(過剰摂取)とかを繰り返しているような奴でした。それが新宿に出てきたことで徐々にエスカレートして大麻にハマり、徳永のビジネスに協力するようになった」(前出・トー横関係者)

 監禁事件に発展した経緯はこうだ。

 少年は違法薬物を販売するたび、仕入れ代として8万4000円を被告らに払うことを約束していた。しかし昨年2月中旬、彼は薬物を売った後にこの代金を支払わず、徳永被告からの連絡も無視していた。また同じ頃に、特殊詐欺で手に入れた金を持ち逃げした仲間の男を匿っていたことで、さらに被告らの怒りを買ってしまう。

 3月6日、被告は少年を呼び出して共犯者の三枝被告が運転する車に乗せて、少年の実家がある埼玉県まで向かった。道中、徳永被告は少年に対し「お前はこのまま山だからな。生きては帰れねえぞ。最後に聴きたい曲はあるか」などと脅していたことも判明した。

 早朝5時、少年の実家に着いた被告は寝ている母親を起こし、「子どもの使いじゃないんだよ! 大の大人がここまで来ている。払わないと息子の命の保障はない。俺は8万円ごときで殺人までやりたくないけど、外にいる人は何をするかわからない。20万円払えば命は保証する」と恐喝し、その場で現金20万円を奪ったという。

 これまでに合わせて21件の罪で起訴された徳永被告だが、法廷では完全無罪を主張した。監禁と恐喝については「トランクに閉じ込めたのは三枝被告ひとり」「恐喝は一切していない」と訴え、詐欺についても「あくまで人を紹介しただけ」と、一貫して犯罪への関与を否定している。

 今後、検察側は主犯としてそれぞれの罪に関与していた被告の行為を立証していく予定だ。被告は今後、何を語るのか。次回公判にも注目が集まる。

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