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ネット番組に出演したオバ記者、20年来の知り合いが「また太りました?ワラ」とSNSに投稿し激怒「はい、ブロック!」

NEWSポストセブン 2024年8月16日 7時15分

 社会問題化しているSNSの誹謗中傷。知らない人からの投稿だけでなく、20年来のつきあいのある人からの酷い言葉に悩まされている人もいる。『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子が綴る。

 * * *
 こんなに腹が立ったのはいつ以来かしら!?

 何がって、私が投稿したSNSに、「また太りました?ワラ」と書き込みをされたのよ。知らない人からなら何と言われてもかまわないけど、相手は20年来のつきあいの50代半ばの男性Oさんで、会えばすこぶる気のいい人だ。

 だけど、“ネット人格”は別ってこと? SNSでのOさんは「太ったよね?」って、そればっか。今回は「太りました?」と言葉遣いが丁寧なだけ、よけいに毒っぽい気がする。

 で、そうした書き込みが一体いつからかと思い出したら、2年前、私がNHKの『あさイチ』に出演してからなんだよね。それ以来、テレビや雑誌に私の姿が出ると必ずよ。最初に不快な気持ちを伝えておけばよかったのかもだけど、ギリ笑って済ませられなくもないからスルーした。それがアダになったんだわね。

 読者の皆さんがご存じかどうか、私は先日、インターネットテレビABEMAの『アベマプライム』という番組に出演したのね。初めての討論番組で、テーマは「アンチ貯金」。私は「貯金ゼロ主義者」として出演したんだけど、隣に座っているのは4回転ジャンプの元フィギュアスケーター・安藤美姫さん。正気のふりをするだけでいっぱいいっぱいよ。と、そのことを翌日SNSに投稿したら、さっそくOさんからズドン! 人の悪意は素朴でむき出しなほど深いところに入るんだね。

 そりゃあさ、私自身、写真から目を逸らしたくなるくらいのデブよ。いや、デブじゃない。「太っちょ」と言った方がピッタリだと思う。対してOさんは、出会った頃と変わらぬスマートな体形を維持している。でもだからと言って、みんなが見るコメント欄で私の体形をあげつらってもいい? 中年期を過ぎて知人と久しぶりに会ったら、見た目のことは言いっこなしという暗黙のルールがない?

「わぁ、久しぶりぃ〜。やだぁ。元気そうじゃない」「何言ってんのよ。A子こそ、ぜんぜん変わんないね〜」とエールの交換をしてからよもやま話をする。これを友情と言わずに何と言うかだよ。女同士に限らない。男友達もそう。いや、実は定年後は男の方が劣化が激しいから、よけいに気遣いが必要よ。

「あら、白髪! 毛染めするなら○○がいいよ」だの、「肌の手入れなら××が最高よ」なんてアドバイスをしていいのもアラフォーまでで、それを超えたらよけいなお世話よ。私もそうだけど、同世代に会うときは少しでも若く元気に見えるように何度も洋服を脱ぎ着して、化粧は濃くならないように、でも修正できるところは鏡とにらめっこして修正しているに違いないの。

 それだけじゃない。

 太ったやせたは、ダイエットの問題じゃなくて健康にもかかわるのよ。たとえば私の場合、2年前に境界悪性腫瘍で卵巣と子宮の全摘手術をしてから、体のバッテリーが半分になったんだわ。病巣を取り除いて、医師から「完治」と言われても、実は疲れやすくて、2日動くと2日ダウンしてしまうのはどうにもならない。家の中でじっとしている時間が増えたのに食欲は落ちないから、そりゃあ太るって。さらに、心臓にも不安があって、薬を欠かせない。階段を上ると頭が真っ白になるから、足は自然とエレベーターに向かう。

 実際、こんなことを書く気になったのは、最近、私の体調に好転の兆しが見えたからでね。バッテリーの容量は八分目くらいまで戻ってきた感じ。階段を上っても息切れしなくなってきたし、お酒も少しなら翌日に響かなくなって、スポーツジムで筋トレを再開している。それだけにOさんの「また太りました?」は効いたわけ。

 だけど、「太った」に勝る悪たれがひとつだけある。それは「老けた」。もし「わあ、ずいぶん老けたね」と同世代の同性から面と向かって言われたら、秒で絶交だって。

 そういえば昔、男友達が行きつけの和食店の戸を開けながら店主に「親父、老けたな」と言ったら冗談で済まなくてね。店主はとうとう顔を上げてくれなかった。

 で、冒頭の「太りました?ワラ」のOさんだけど、私は「毎回のご指摘、ありがとうございます」と精一杯のイヤミで返して、はい、ブロック!

【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。

※女性セブン2024年8月22・29日号

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