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【自民党総裁選予測】“財務省の言いなりにならない総裁候補”として注目集まる小泉進次郎氏 「何をやりだすかわからないアンコントローラブルな政治家」との評価

NEWSポストセブン 2024年8月20日 6時59分

「自民党が変わったということを示す第一歩が、私自身が総裁選挙に出馬しない、身を退くことである」──岸田文雄・首相はそう語ったが、自民党は全く新しくなどなっていない。総裁選の裏で、「財務省の守護神」である麻生太郎・副総裁と財務官僚たちが、岸田内閣に代わる“新たな傀儡政権”を作ろうと暗躍を始めたからだ。【前後編の後編。前編から読む】

国民の財産をさらに奪う企み

 財務省取材歴が長い元東京・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏が指摘する。

「財務省は岸田首相を傀儡化して防衛増税をはじめとする国民の負担増路線を敷かせた。増税メガネと批判されると人気取りで1年だけの所得税の定額減税を打ち出したものの、裏では少子化対策財源の名目で恒久的な健康保険料の値上げを決めた。その振り付けをしたのも財務省です」

 国民の財産も奪われた。8月初旬からの株価暴落だ。

「資産所得倍増」を掲げて登場した岸田政権は、「貯蓄から投資へ」と新NISAを創設し、国民に株投資を奨励した。

 そのベースにあったのは、麻生財務大臣(金融担当相兼務)時代にまとめられた「年金だけでは老後資金は2000万円足りない」という金融庁レポート。財務省は国の年金財政の負担をこれ以上増やしたくないから、岸田政権を使って国民に足りない老後資金を投資で稼がせようとしたのだ。虎の子の老後資金を株に投資するにわか投資家が急増した。

 そこで株価暴落に見舞われた。

 岸田首相が物価高騰を抑えるために円高転換を指示し、財務省が為替介入、日銀は利上げに踏み切った。そこから株と為替の未曾有の乱高下が始まり、一時は日本企業の時価総額200兆円が失われ、市場は一気に不安定化した。損失を抱え込んだ個人投資家は今も不安を募らせている。

 株が暴落すると岸田官邸は大慌てで財務省、日銀、金融庁の3者会合を緊急招集するパニックぶりを見せた。

「国民にあれほど株を買えと煽っておいて、岸田首相も日銀、財務省も利上げと円高介入が株価にどんな影響を与えるかを全く想像できていなかった。実物経済がわからない官僚に頼りきりだからこうなる」(長谷川氏)

 そのうえ、財務省は国民の財産をさらに奪うことを企んでいる。

 政府は国民が株投資で稼いだ利益や配当などの金融所得に課税するだけでなく、社会保険料まで徴収することを検討している。厚労省の試算では、70代後半で年金収入270万円、金融所得が50万円の場合、金融所得の確定申告を選んでいないケースは健康保険料が年6万5990円も低い。これを「不公平」だと主張し、金融所得を一律に健康保険料の計算対象に含めることで国民の負担を増やし、保険料収入増をはかる計画だ。

 その導入を判断するのは次の総理・総裁になる。だからこそ、財務省の傀儡首相をつくろうとしているのだ。

 前出の長谷川氏が語る。

「財務省は国民に株投資を奨励し、“儲かるならこっちにも寄越せ”と金融所得から社会保険料まで取ろうと企んでいる。株投資のリスクは国民に負わせ、上がった時は国が上前をはねる。官僚はそんな発想しかできない。国民が財産を守るためには、ポスト岸田は財務官僚の言いなりにならない総理・総裁が不可欠なのです」

「何もわからない」のがいい

 果たして、財務省寄りの“金太郎飴”のような総裁候補が並ぶなかで、そんな政治家はいるのか。

 そこで注目されているのが小泉進次郎氏だ。

 環境相時代の発言から、「ポエム政治家」「政策は何もわからない」と揶揄する声もあるが、「むしろ経済政策を知らないからこそ財務省の影響を受けずに済んでいる」(進次郎氏に近い議員)という声もある。

 また、霞が関では、進次郎氏は河野氏と並んで「何をやり出すかわからない、アンコントローラブルな政治家」(財務官僚)と見られている。

 しかも、河野氏はすでに麻生氏の顔色を窺うばかりとなり、財務省にとって、麻生氏を通じてコントロール可能な“怖くない存在”になった。

 それに比べて進次郎氏の後見人的存在の菅義偉・前首相は名うての「反財務省派」の政治家として知られ、「進次郎首相が誕生すれば、菅氏が政権の後ろ盾となって麻生─財務省ラインの影響力排除に動く可能性が高い」(同前)と警戒されているのだ。

 父の小泉純一郎氏は「自民党をぶっ壊す」と総裁選に出馬して旋風を起こし、総理になると「私の内閣では消費税は上げない」と宣言して国民の心を掴んだ。

 政治評論家の有馬晴海氏は進次郎氏をこう見る。

「進次郎氏は総理の息子という政界サラブレッドだけに、新人議員の頃から財務省はじめ複数の官庁がそれぞれ省内にチームを組んでレクチャーを行なっていた。普通の議員なら、“オレはそんなに期待されているのか”と嬉しくなって官僚に取り込まれる。

 ところが、進次郎氏の場合、官僚とは一線を引いてきた。チヤホヤは飽きているから籠絡されない。各省の省利省益にも与しない。

 国会議員はキャリアを重ねると役所を向いて政治をする者が増えるが、父の純一郎氏は官僚ではなく、国民を向いて政治を行なう政治家だった。その姿勢を学んでいるのでしょう。進次郎氏が総理・総裁になれば、他の総裁候補と違って財務省のコントロールを受けずに政策を進める可能性は十分期待できると思います」

 狡猾な財務官僚の政治支配を逃れるには、官僚には考えを読むことができない“ポエム総理”のほうがいいのかもしれない。

(了。前編から読む)

※週刊ポスト2024年8月30日・9月6日号

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