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《ハニートラップ騒動》皇室と関係深いイギリス人男性が中国人留学生と不倫、皇室に関する情報漏洩の可能性…宮内庁が質問に回答

NEWSポストセブン 2024年8月23日 7時14分

 機密情報がスパイによって漏れていたら……映画の世界のような話が実際に起きた可能性が明らかになった。皇室と関係の深いイギリス人男性のA氏と不倫関係にあったという中国人留学生Bさんに、中国の政府機関との関係が浮上した。

 A氏と皇室との交流は15年を超えており、とりわけ秋篠宮家とは関係が深く、秋篠宮さまが公務で地方にお出かけになった際にお土産を贈ることもあったという。一方のBさんは10年以上前に東京大学大学院に留学したが、複数の名前を使い分けて経済産業省の官僚や学者に接触し、中国政府機関との関係が強く疑われる人物。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が緊急レポートする。【前後編の後編。前編を読む】

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 Bさんはイギリスに居を移してからも頻繁に来日し、「研究」という名目で東日本大震災の被災地域など、東北地方に長期滞在していた時期もある。その頃には、Bさんが駐日中国大使館のイベントを取り仕切っていたことが確認されており、例えば、アフリカ北部の国の政府関係者を招いた大使館主催の歓迎会などにも携わっていた。

 公安関係者は、「Bは日本滞在時も、イギリスから来日するA氏と密会していました。A氏を頼って、日本の政府関係者らの人脈も広げていたとみられています」と明かす。A氏から入手した情報はBさんを通じて中国当局に提供されていたのではないか──海外からの脅威に対峙する外事警察の関係者が話す。

「かなり前から中国が日本の皇室に興味を持ち、内部情報を収集していることは把握しています。中国政府が皇室に関心を示すのは、例えば、皇族方の内部情報を掴んでおくことで、有事の際に、日本国民の動揺や混乱を引き起こす情報工作に使えると考えているから。

 また、皇族方が中国に好意を示せば、日本国民の対中意識にも影響を与えるとみており、皇族方の動きを把握して工作の機会を狙っているのです。そうした関係者の動きは我々の重要な捜査対象になっています」

 中国が留学生を利用したスパイ活動を行っていることはインテリジェンスの世界では常識で、世界でも警戒心は強い。日本にも「教育処」と呼ばれる中国大使館の関連施設があり、そこでは現役の中国人留学生だけでなく、過去の留学生の個人データが記録されている。

「日本の滞在先も卒業後の進路も、顔写真つきでデータベース化されているのです。工作に必要な人材をその留学生リストから抽出することも可能です」(前出・公安関係者)

 こうした事情はイギリスも同じだ。映画『007』シリーズのジェームズ・ボンドでおなじみのイギリスMI6(秘密情報部)の元スパイは、筆者の取材に「MI6は2021年から、イギリスの大学に籍を置く学生や研究者らのスパイ活動を調べる特別チームを設置し、中国人留学生らも対象にしてスパイ活動との関連性を調べている」と述べた。

「中国政府とは関係ない」

 中国では2017年、中国企業や国民に諜報活動への協力を義務付ける「国家情報法(※)」が制定された。この法律は国外にいる中国人にも適用される。

(※世界中で約14億人いる中国人に政府のために諜報活動を行う法的根拠を与え、さらに諜報活動に関する秘密保持も課す法律。中国に進出する企業や現地の在外公館などでは、情報流出の懸念に頭を悩ませている)

 中国が諜報活動を活発化させる中で、標的のひとりとして目をつけられたのがA氏だったのだろうか。A氏と交流を持つあるイギリス人は、彼の人柄について、匿名を条件に次のように語る。

「Aさんは気さくな人柄で、自身の交友や要人のプライベートに関しても自然に話してしまうタイプです。自分の家族にも皇族と会った際の会話の内容を話していたようで、当然、不倫相手の女性にも漏らしていたと考えられます」

 A氏は日本駐在時、日本や国外のVIPらとも密につきあい、園遊会、桜を見る会に参加していた。

 秋篠宮家は現在もA氏と親交を持ち続け、ネイティブチェッカーとして彼に協力費を支払っている。またすでに述べた通り、小室さん夫婦とも交流を続けているのである。

 秋篠宮家は次代の天皇でいらっしゃる悠仁さまのご家族であり、そのご一家の内部情報に接する立場にあるA氏。問題は、A氏を介してスパイ疑惑のある人物に皇族のスケジュールや体調、内部事情についての情報が漏れてもおかしくない状況にあることだ。日本の皇室が知らず知らずの間にスパイ活動や、引いてはテロの脅威にもさらされていたことになる。

 日本にはスパイ行為を取り締まるスパイ防止法が存在しない。そうした脅威に対抗するため、日本政府が指定した国家機密を取り扱う人物の管理を強化する「セキュリティ・クリアランス制度」が今年成立したばかりだ。ところが、現時点で宮内庁の情報はほぼ機密扱いになっておらず、宮内庁関係者の中では情報漏洩を懸念する声が大きい。そうした疑念に、当事者たちはどう答えるのか。

 A氏に取材を申し込むと、Bさんと不倫関係にあったことは認めた上で、「私は宮内庁の機密情報にアクセスする立場にはない。Bさんには宮内庁の仕事をしていることは知らせていたが、彼女は私の情報には興味を示していなかった」と回答。さらに「機微な情報に触れたと思った場合には特に気をつけて扱ってきたはずだ」と主張した。

 Bさんにもメールで質問を送ると、「A氏とは不倫していない。中国政府とはいかなる意味においても、関係はない」と回答があった。しかし、彼女が中国の政府関係者とともにイベントを取り仕切ったり、式典に参加したことは前述したとおりで、この回答は、事実と矛盾する。宮内庁に、A氏と皇室のかかわりや、諜報活動から皇族方を守る対策などについて質問すると、次のように回答した。

「宮内庁が外国語で作成した文書の校正(いわゆるネイティブチェック等)について、外部の専門家等に依頼して行うことはあるところ、相手方の職位等を踏まえ、実作業に応じた金額を謝金として支払います。相手方の氏名等は個人に関する情報であり、これについてお答えすることは差し控えさせていただきます。また、特定の個人に対して依頼を行っていることを前提とする質問についてもお答えを差し控えさせていただきます」

 残念ながら、A氏についてだけでなく、諜報活動への対策についての言及もなかった。インテリジェンスの重要性が増し、情報収集の方法も複雑化する昨今。皇室も一歩間違えれば、スパイの危機にさらされかねないことをいま一度認識する必要があるだろう。

(了。前編から読む)

※女性セブン2024年9月5日号

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