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《1年8か月ぶりの復活》氷川きよしがステージで見せた進化 ファンを安堵させた完璧な歌声と袴姿での“ズンドコ”披露 

NEWSポストセブン 2024年8月20日 16時15分

 歌手の氷川きよし(46才)が“復帰ライブ”を開催した。1年8か月ぶりのステージで氷川はどんな進化を見せたのか? このライブを取材した、放送作家でコラムニストの山田美保子さんが解説する。

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 2023年1月1日より歌手活動を休養していた氷川きよしが17日、約1年8か月ぶりに活動を再開。東京・有明の「東京ガーデンシアター」のステージで復帰した。

 タイトルは「KIYOSHI HIKAWA+KIINA 25th Anniversary Concert Tour ~KIIZNA~」。当初の予定では16日に初日を迎えるはずだったのだが、台風7号の影響により観客の安全を第一に考え、同日の公演は延期された。復帰を待ちに待っていたファンは悲しみに暮れただろうし、氷川本人も落胆したに違いない。

 どんな顔で出てくるのだろうか? テンションは? 第一声は? などと気をもみながら開幕を待っていたのだが、その想いは無駄になった。

一瞬たりとも声がかすれたり、伸びが悪かったりするところはなかった

 スッキリとした表情で、ツルンという表現がピッタリな玉子肌。”どれほどたくさんの人に励まされて ここまで来たんだろう”という思いの歌詞で始まる『WALK』を1曲目に選び、「皆さ~ん、ありがとうございます! 今日は思い切り楽しんでください!」と高らかに挨拶した。

 心身ともに健康なのだということは、全くブランクを感じさせない歌声からもわかった。しかも、一瞬たりとも声がかすれたり、伸びが悪かったりすることなく、ほぼノンストップで歌い続けるのだ。

 安室奈美恵のコンサートを観たことがある方は、「話すこと……、ないよね~」と苦笑しながら、いわゆるMCコーナーを全く設けずに歌い続ける彼女の姿を覚えているだろうが、17日の氷川のステージ前半は、そんなアムロちゃん状態。メンバーを一新したバンドをバックに、デビュー時からのファンも、そして『限界突破×サバイバー』から付いた新規の若手ファンも心ゆくまで楽しませ、満足させたのである。

 一部では、『箱根八里の半次郎』をはじめとする“股旅演歌”や、コミカルな振りつけの『きよしのズンドコ節』などを氷川が「もう歌いたくない」と言っているという報道があったので、どうなるかと心配していたファンも少なからずいらしただろう。が、その心配も無用だった。ファンの皆さんの中には「袴姿で歌ってくれた」と大喜びしている方もいらした。自分を一人前の歌手に育ててくれた“股旅演歌”も大切にしている「変わらない、きよしくん」が、そこにいたからだろう。

 ただ、全体的に衣装はシンプルだったように思う。過去のコンサートでは、そのまま『NHK紅白歌合戦』に出られそうなド派手な衣装が多かったものだが、今回はデニムのセットアップ含め5パターンと、衣装替えも少なく、氷川の姿がステージ上にない時間も本当に少なかったのである。

 ステージと客席が近い「東京ガーデンシアター」のレイアウトとも相まって、6500人のファンは近くで氷川を堪能できたはず。

 また、近年は自身の想いをストレートに歌詞にした曲も多いのだが、モニターに映し出されるフレーズと、氷川の魂の歌声に涙するファンも多かったようだ。

作詞家・湯川れい子氏は「日本の宝です」

 コンサート終了直後にXに熱くポストしたのは、長年にわたり氷川と親交があり、氷川が2020年から歌っている『ボヘミアン・ラプソディ』の訳詞や、クイーン側との交渉にあたったことでも知られる作詞家の湯川れい子氏である。

「3時間近くも歌いっぱなし、動きっぱなし」と綴り、撮影許可が出た動画の“お裾分け”と共に、さらに続けた氏は、「1年8ヶ月ぶりに聴いたキーナ。ナチュラルに男の子していて、ジェンダーレスで、その見事な声。人間としての可愛らしさ。大きさ。間違いなく日本の宝です」と。

 さらに、フォロワーとのやりとり後、「本当に、大空に解き放たれた不死鳥、フェニックスのようでしたね。(中略)来年はきっと台湾やシンガポール、フィリピン、ひょっとしたらアメリカへの進出も考えられるかもしれませんね」と示唆していた。

意外だった元SKE48の松井珠理奈との交流

 少し意外だったのは、コンサート終了後の氷川とのツーショットと共に一文をアップした元SKE48の松井珠理奈のInstagramだった。「大好きなきーちゃん復帰おめでとうございます。私が休養中の時にも優しい声をかけてくださったり、いつも気にかけてくださり本当にありがとうございます」に続けて、「明るい部分だけでなく、自分の辛い気持ちや悲しみも歌にして表現されている姿に心を打たれました」と。

 名古屋在住の氷川ファンに確認したところ、松井は「御園座」や名古屋でのコンサートに仲間と度々訪れることから氷川ファンの間では有名な存在だという。

 自分自身も心がパンクしてしまいそうな時期があっただろうに、休養を経験していた松井に温かい言葉をかけてやっていた氷川。実は、氷川がデビュー直後に出演していた『旅の香り』(テレビ朝日系)の構成者に名を連ねていた私にも、いつも「お身体を大切にしてください」「テレビ観てます!」などと声をかけてくれる本当に心優しい人なのである。

「東京ガーデンシアター」の関係者や招待客の入口では、デビューの頃から氷川を支えてきたスタッフの姿も確認できた。今年3月31日、24年間所属した「長良プロダクション」から独立し、4月27日、新会社「KIIZNA」を設立した氷川だが、レコード会社は変わっていないので、そこのスタッフは同じ。つまりは、氷川自身も心を許せる人たちに囲まれた環境にいるということに安心させられた。

 何より、ますます魂がこめられた素晴らしい歌声や、おなじみの「老若“にゃんにょ”」をはじめとするステージ上でのチャーミングな言動などを目の当たりにし、氷川の休養中も応援し続けてきたファンの皆さんはどれだけ安堵し、歓喜したことだろうか。

 軽やかに進化して復活したKiinaこと氷川きよしの25周年コンサートツアーは、9月の大阪「フェスティバルホール」、10月の「大宮ソニックシティ」へと続く。各局の大型音楽番組もオファーをしているに違いない。「日本の宝」氷川きよし、完全復活である。

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