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【新ユニット「B.O.C」で還暦超え再デビュー】SAMとDJ KOOが明かす「作曲した恩師・小室哲哉との対話」「ユニット名に込めた想い」

NEWSポストセブン 2024年8月30日 7時15分

 1990年代のJ-popシーンで数々の金字塔を打ち立て、昨年30周年を迎えたダンス&ボーカルグループ「TRF」のDJ KOO(63)とSAM(62)。今なおD J業界、ダンス業界を引率する“レジェンド”であるふたりが、8月30日に新ユニット「B.O.C」を組んでデビューすることを発表した。デビュー曲は『NARIYAMA NIGHT』。なぜ今、「ラップ」というジャンルで新たなユニットを結成したのか――ふたりにその想いを聞いた。【前後編の前編】

 今年2月、約25年ぶりに日本武道館で8500人のファンと共に『TRF』30周年のライブを行なったふたり。

「『B.O.C』のユニットお披露目も30周年の日本武道館の時にしたかったけど間に合わなかったので、土台を作ってコンセプト決めてちゃんとやりましょうってなったんです」(SAM)。

 KOOも「新しいことやりたい気持ちは今もある。だからさっそくダンスレッスンも始めました」とSAMの言葉に強く頷いた。ユニット名である「B.O.C」は駆け出し時代のこんなエピソードを元に決めたという。

 「ハングリー精神」を忘れたくない

「飛行機の国際線の機内食は今でこそ牛肉か鶏肉か魚の3種類から選びますけど、僕がまだ20代で毎年のようにNYに行ってた時は『Beef Or Chicken?』って聞かれたんですよね。しかも安い航空会社の客室乗務員の方ってちょっと手荒で、こちらが寝てようが肩をバンって叩いて聞いてくる(笑)。その時、僕は“いつかビジネスクラスに乗ってやる”って向上心に燃ていたんです。そういう若い時の気持ちを忘れない思いも込めました」(SAM)

 これに対しKOOも笑いながら「さすがにカッコいい名前をつけるのは違うからね。なんか“パロった名前”が良いねって話の中で出てきた名前だよね」と言う。

「SAMが言った手荒な乗務員じゃないけど僕らの若かった頃って、今の若者以上に雑に扱われて今で言う“パワハラ”がありながらもハングリー精神で乗り越えてきたところがある。僕はそれが嫌いじゃなかった。感じ方はそれぞれだけど、少なくとも僕は原体験としてそれらの積み重ねで今の自分があるから。『Beef Or Chicken?』はその原体験のひとつ。3文字で略称できるのもイイねってことで、すごくハマったね」(KOO)

 とはいえ、そもそもなぜ「B.O.C」を組むことになったのか。きっかけは1995年に発売されたアルバム『dAnce to positive』に収録され、ライブなどでもファンの間で長く愛されてきたHIPHOP曲『FUNKY M』のライブでの盛り上がりかにあった。

「『FUNKY M』は僕とKOOちゃんがふたりで歌う曲なんです。歌詞からも1990年代の夜の六本木の騒々しい時代感や空気感が感じられる楽しい楽曲だからライブで盛り上がる定番曲にもなってたんです。ある時からKOOちゃんも『踊りたい』って言い出して、わざと間奏伸ばして踊った時もあったんですけど、めちゃくちゃ楽しい空間になったんだよね。それで『FUNKY M』の第二弾みたいな、ネクスト『FUNKY M』的なことをやりたいよねって話して」(SAM)

 SAMのその呼びかけにKOOも乗り出し、自ら週1でダンスレッスンを受けるようになった。「体硬いですからねー。ストレッチの時点で疲れてますよ」(KOO)。還暦を超えたふたりのハングリー精神に満ちたデビュー曲のタイトルは『NARIYAMA NIGHT』。作曲したのは小室哲哉である。

小室哲哉の創作現場に向かうと…

「『FUNKY M』ありきで作る曲だから絶対これは小室(哲哉)さんに作ってほしかった。だから僕とKOOちゃんで小室さんの元に話に行って……。“60歳すぎてもまだ頑張る”とか“まだ現場でやってるぜ”ということを伝えたいというディスカッションをしたんです。そしたら小室さん的には“結構、マジなんだね(笑)”って反応で。だから“もちろんマジですよ!”って言って」(SAM)

 その数日後、KOOの元に「今日の夕方からトラック作ろうと思ってる」と小室からのLINEが届いたという。

「その時は僕ひとりで小室さんのスタジオに向かって、小室さんがトラックを作ってる姿を見るんですけど…まさに僕が30年以上も前に小室さんの元に押しかけ弟子として入ったあの当時がフィードバックするような感じで不思議で刺激のある時間でした」(KOO)

 そうして出来上がったトラックに、今回フィーチャリングで参加するラッパーのRy-laxとDJ CHARIがリリック(歌詞)とフロウ(歌いまわし)を作って加え、最後に再び小室がアレンジする――その工程で完成したのがデビュー曲『NARIYAMA NIGHT』だった。

「めちゃくちゃカッコいいものができた。“いつまでも鳴り止まない”って思いを忘れたくないと改めて思える曲ができた」(SAM)。

「やっぱり今まで聴いたことがないような音色とか、今のTKサウンドが聞こえてくる感じ。みんながワクワクする曲だと思う」(KOO)

 高齢化が進み「人生100年時代」と言われて久しいが、年を重ねるなかで2人の身体にも変化が訪れていたという。そうしたなかで芽生えた、同世代や「Z世代」と呼ばれる若者たちに伝えたい想いとは――。

(後編へ続く)

【プロフィール】

DJ KOO(ディージェイ・コー)/1961年、東京都出身。DJ、大阪芸術大学客員教授、日本盆踊り協会特別芸術顧問。TRFリーダー。ソロとしては “触れ合う人々をエネルギッシュに!元気に!笑顔に!”をモットーに、ダンスクラシック、EDMから、J-POP、アニソン、ゲーム音楽まで幅広い音楽をDJスタイルでプレイ。日本の文化である“お祭り”“盆踊り”とのコラボレーションはエンターテイメント型ジャパンカルチャーの発信として、国内外において精力的に活動を行っている。

SAM(サム)/1962年、埼玉県出身。ダンスクリエイター、ダンサー。南カリフォルニア⼤学デイビススクールジェロントロジー学科修士号取得、青山学院大学ジェロントロジー研究所客員研究員。15歳でダンスに目覚め、ニューヨークへダンス留学。スタジオでクラシックバレエ、ジャズダンスの基礎を学ぶ。一方でストリートダンス、ハウスダンスなどを習得。多彩なジャンルのダンスをバックボーンに持つ。TRFのライブ演出を手掛けたことから、さまざまなアーティストの振り付け、コンサートプロデュースを行うように。ダンスイベントのオーガナイザー、新人アーティストのプロデュースなど、幅広く活躍している。(社)ダレデモダンス代表理事。

 

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