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《還暦超え再デビュー》SAMとDJ KOO、新ユニット「B.O.C」結成の背景にあった「持病・大病との闘い」「人生100年時代で伝えたいこと」

NEWSポストセブン 2024年8月31日 7時0分

 ダンス&ボーカルグループ「TRF」で活躍したDJ KOO(63)とSAM(62)。近年はグループでの活動だけでなく、それぞれ仕事の幅を広げている。そんな2人が8月30日に新ユニット「B.O.C」を結成した。還暦を超えた今、彼らが「再デビュー」した理由、そして音楽を通じて伝えたい「想い」とは──。【前後編の後編。前編から読む】

 SAMは今、アーティストとしての自らの活動と並行して、人生そのものともいえる「ダンス」の高齢者への普及に尽力している。それは「人生100年時代」とも言われる高齢化社会のなかで、足腰が弱まるなど「寝たきり」になる人が増えている状況を少しでも改善したいという想いから生まれた。

「僕は8年前から高齢者向けに『ダレデモダンス』という健康寿命を伸ばすダンスプログラムをやっていて。100歳になっても自分の身の回りのことを自分でやる体を作るのがコンセプトなので、そのためには何歳になっても新しいものに興味を持つ、そのバイタリティや行動力が大事なんだということを体現してきたんです。

 だからこそ僕らの『B.O.C』の活動を見て刺激になると良いなと思ってます。もちろんZ世代と呼ばれるような僕らのことを知らない若い子たちにも『未来は明るいぞ』っていうメッセージにもなれたら良いと思ってます」(SAM)

 健康は「自ら気遣う」必要がある

「昔は酷い生活を送っていた」と語るDJ KOOも、現在は「健康第一」と考え方が180度変わったという。それは2016年にテレビ番組の企画で発覚した脳動脈瘤がきっかけだ。6時間半にも及ぶ大手術を経て生活習慣も変わった。

「僕はその時56歳で、本当に番組の企画でCT検査をして発覚したんです。家族に相談して手術を行いましたが、その番組の検査結果で知るまで本当に自覚がなくて、強いて言えば頭痛が時々あったくらい。昔はクラブで朝までDJをやったりしていて完全に夜型だった。勝手に自分は健康なものだと思っていたし、『その日が元気であればいいや』くらいの感覚でした。でも、健康は自ら気遣ってこそ保てるものなんだと身をもって知りました。

 これまでは食生活も滅茶苦茶でしたが、最近は例えば焼き肉屋に行っても、まずは野菜から食べるようになったし、自宅でも奥さんが季節の野菜を食べる機会を増やしてくれました。さらに寝る時は、きちんと眠る気持ちで眠る。それには寝る環境を作ること。いい香りのお茶を飲んだり、脳をリラックスさせてから眠るルーティン作りをしました」(KOO)

 これにはSAMも頷きながら「交感神経を副交感神経に切り替えてね……って、僕はまあいつでもどこでもすぐ眠れちゃうショートスリーパーなんですけど」と笑う。だがSAMにも持病があり、「健康には常に気を遣っている」という。

 ダンスができることは「当り前じゃない」

「僕は40代中盤頃から、なんか息苦しさを感じてたんですよ。トレーニングで身体を鍛えているのに、どうにも続かない。『俺はこんなに弱くなったのか』とショックでした。でも、何かがおかしいと思って5年ほど前にきちんと調べたら、タバコなどの煙が原因で患う『慢性閉塞性肺疾患』になってることがわかった。理由が分かってからは、常に身体を気遣うようになりました。主治医からは“武道館でライブできるなんて奇跡”と言われました(笑)。

 10代の頃からやっていたダンスですが、それをやることも『当り前じゃない』と思うとありがたみも増してきました。最近になって人生というのは、なにかハンデがあった方が何もないよりありがたいのかな、とも感じています」(SAM)

還暦を迎えて挑む新ユニット「B.O.C」のデビュー曲『NARIYAMA NIGHT』。そのタイトルはアーティストとして、1人の人間として「生涯現役」を志す2人の想いを体現するものでもある。

「これが僕らの生き様、やっぱり音は鳴り止まない。気持ちもスキルも鳴り止まないんですね」(DJ KOO)

 昔のように朝までクラブで踊ってオールする――そんな姿は見られないかもしれないが、「健康を大事にして、何歳になっても音楽と踊りを届けたい」と真剣な表情で話す姿は、以前にも増してかっこいい姿に見える。「B.O.C」はこれからどんな音楽やメッセージを届けてくれるのか。新しい大人世代に向けたエンターテインメントを発信してくれるのか。新ユニットの活動から目が離せない。

(了。前編から読む)

【プロフィール】

DJ KOO(ディージェイ・コー)/1961年、東京都出身。DJ、大阪芸術大学客員教授、日本盆踊り協会特別芸術顧問。TRFリーダー。ソロとしては “触れ合う人々をエネルギッシュに!元気に!笑顔に!”をモットーに、ダンスクラシック、EDMから、J-POP、アニソン、ゲーム音楽まで幅広い音楽をDJスタイルでプレイ。日本の文化である“お祭り”“盆踊り”とのコラボレーションはエンターテイメント型ジャパンカルチャーの発信として、国内外において精力的に活動を行っている。

SAM(サム)/1962年、埼玉県出身。ダンスクリエイター、ダンサー。南カリフォルニア⼤学デイビススクールジェロントロジー学科修士号取得、青山学院大学ジェロントロジー研究所客員研究員。15歳でダンスに目覚め、ニューヨークへダンス留学。スタジオでクラシックバレエ、ジャズダンスの基礎を学ぶ。一方でストリートダンス、ハウスダンスなどを習得。多彩なジャンルのダンスをバックボーンに持つ。TRFのライブ演出を手掛けたことから、さまざまなアーティストの振り付け、コンサートプロデュースを行うように。ダンスイベントのオーガナイザー、新人アーティストのプロデュースなど、幅広く活躍している。(社)ダレデモダンス代表理事。

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