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《鹿がいるかクラブに潜入することは可能か》田村瑠奈被告(30)母・浩子被告が送った「猟奇LINE」履歴で明かされた犯行直前のやりとり【ススキノ事件公判】

NEWSポストセブン 2024年8月30日 18時59分

 札幌市の繁華街ススキノのホテルで2023年7月、頭部のない男性会社員(当時62)の遺体が見つかり、親子3人が逮捕された事件。死体遺棄ほう助と死体損壊ほう助の罪に問われた母親の無職・田村浩子被告(61)の第3回公判が8月30日、札幌地裁(渡辺史朗裁判長)で開かれた。

 娘の田村瑠奈被告(30)は殺人と死体損壊罪で起訴され、父親の精神科医・田村修被告(60)は殺人ほう助罪などで起訴されているが、ふたりは裁判員裁判対象事件となっており、公判開始時期は現時点で未定。そんななか、親子3人のうち最初に始まった浩子被告の公判ではこれまで、いびつな家族の姿、猟奇的な犯行態様が明らかにされてきた。【前後編の前編】

 第3回公判では、7月の第2回公判から行われていた父親・修被告の証人尋問の続きが予定されていたが、修被告が8月26日に発熱し、新型コロナウイルスに感染していることが判明。残りの尋問は延期となった。そのため、今回の法廷では、採用された検察官請求証拠の読み上げが行われ20分ほどで閉廷した。

 法廷に現れた浩子被告は伸びた髪を後ろでひとつにまとめ、薄紫色のカットソーに紺色のカーディガンを羽織り、ベージュのロングスカートという清潔感のある装い。弁護人に微笑んで会釈したのち着席した。6月の初公判で、浩子被告は公訴事実を否認している。しかし今回、検察側の読み上げた証拠は、浩子被告が事件前に瑠奈被告の行動を把握していた可能性をうかがわせた。

 起訴状によると、瑠奈被告が殺害後に持ち帰った男性の頭部の撮影を求めてきたことについて、浩子被告は夫の修被告に伝えて依頼。修被告が撮影を行うなか、瑠奈被告は男性の頭部から右眼球を摘出したという。

 浩子被告はこれらを今年6月の初公判罪状認否で否認している。浩子被告は「あまりに異常な状況で、娘に何も言うことができず、頭部を隠したいと言われたこともなく、頭部を持っているとも思わなかった。娘からビデオの撮影を頼まれたが、具体的な内容は言われてなかった」などと述べており、“気づいたら自宅に切断された男性の頭部があった”との主張だ。

明らかになった事件前後の猟奇的なLINEやりとり

 ところが今回の法廷では、浩子被告が事件前後、夫である修被告に送ったLINEが明らかになった。事件が起きたのは2023年7月1日の夜であるが、それより10日以上前の同年6月19日、浩子被告は修被告にこんなLINEを送っていたという。

〈鹿がいるかクラブに潜入することは可能か〉

 検察側はLINE履歴だけでなく浩子被告のスマホの“入力履歴”も明らかにした。一度入力したのちに削除した単語や文章なども解析できるのだという。証拠によれば、この被害者を指しているであろう〈鹿〉という単語は書き換えられた後のもので、書き換え前は〈獲物〉と入力していた。〈獲物〉が何を指すのか、なぜ〈鹿〉に書き換えたのか、その意図は不明である。

 LINE履歴や文字入力履歴から、事件直前である2023年7月1日午後6時半にも、浩子被告は修被告にこうLINEしていたこともわかった。

〈そういえば車のGPS記録は残りますか?〉

 このLINEを浩子被告はなぜ削除したのか、今後の公判で語られることだろう。

 さらに今回読み上げられた検察側の証拠では、修被告が犯行に用いられた刃物や道具を購入していたこと、瑠奈被告と修被告がDVDレンタル店でホラー映画を2本レンタルして視聴していたこともわかった。

(後編に続く)

◆取材/高橋ユキ(ジャーナリスト)

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