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「あと目をひとつ、くり抜くだけですし」“遺体の頭部損壊”現場で見せた田村修被告の妻への気遣い【ススキノ事件公判】

NEWSポストセブン 2024年10月1日 21時30分

 2023年7月に札幌市の繁華街・ススキノのホテルで頭部のない男性(当時62)の遺体が見つかって、親子3人が逮捕された事件。10月1日、死体遺棄ほう助と死体損壊ほう助の罪に問われた母親の無職・田村浩子被告(61)の第4回公判が札幌地裁で行われた。

 10月1日、浩子被告は、白髪混じりの髪を後ろでひとつにまとめ、濃いグレーのアンサンブルという落ち着いた服装で法廷に現れた。メガネをかけており、入廷時にはお辞儀をしていた。これまでの経緯を裁判担当記者が解説する。

「娘の瑠奈被告は昨年7月1日深夜に、ススキノのホテルで男性を殺害して頭部を切断しました。そして自宅に頭部を持ち帰りましたが、母親の浩子被告は、瑠奈被告が男性の頭部を自宅に隠すのを容認したこと(死体遺棄ほう助)と、瑠奈被告が頭部を損壊する際のビデオ撮影を求められ、夫の修被告に撮影を依頼するなどして手助けをした(死体損壊ほう助)ことが罪に問われています」(裁判担当記者)

 第4回公判では、娘の田村瑠奈被告(30)が父親の精神科医・田村修被告(60)を大声で罵る音声などが弁護側の証拠として提出された。瑠奈被告の肉声が法廷で流れるのは、今回が初めて。「You kill me」「ウワアァァァァ〜〜〜ッ!!」「ウオオオォォゥーーーーーーッ!」などと絶叫する音声に、傍聴人らは沈黙を守りつつも、さすがにギョッとした様子だった。

 また、浩子被告の夫である精神科医・田村修被告(60)の証人尋問もあった。修被告は、手錠腰縄で証言台の前に伴われて着席。くすんだグリーンの長袖トップスに黒いズボン、白髪混じりの短髪にメガネという佇まいだ。

 7月に行われた第2回公判での証人尋問では、瑠奈被告が被害者の頭部を自宅に持ち帰るまでを振り返った。今回の証人尋問は、そこからの続きとして弁護人から修被告に質問が投げかけられた。

「首拾った」と聞いた父親は…

 瑠奈被告が7月2日未明に「首拾った」と言い出した時点で、修被告は被害者の頭部を直接見たわけではなかったという。また、娘の言葉も半信半疑で受け止めていた。

「唐突な話でびっくりしてるのもあり、よく覚えてませんが、半信半疑というか、『そんなことないよな、でもな』と」(証人尋問での修被告の発言、以下同)

 瑠奈被告の音声データも話題に上った。「殺してやる!」や「I do revenge(復讐する)」といった物騒な発言もあったが、修被告は、娘が両親に暴力を振るうことについては、「ないです」と断言した。

「(被害者と会う前から)取り乱しているときに、そういう発言がありました。実行に移すとかは思いません。具体的に我々が恐怖を感じることをされたりはしないので、気持ちの表れとして、そういうセリフがあるんだろうなと思っていました。

『生きているのが辛い』という気持ちの裏返しとして、周りを殺したいとかリベンジとか言っていたというふうに考えています」

 一度興奮状態になってしまった瑠奈被告を落ち着かせるのは、大変なことだった。弁護側の主張によれば、修被告が娘が遺体の頭部を損壊するのを止めず、ただカメラで撮影していた背景には、そういった事情があるようだ。

「(遺体は)すでに損壊し終わってる状態。瓶に入ってるものをひとつひとつ展示して撮影し、最後に残ったひとつの作業を撮影する。作業を中断すると、本人の感情がコントロールできなくなる。『(損壊を)しないほうがいいんじゃないの』と言うのは難しい」

なぜ修被告は損壊行為に加担したのか

 弁護人からは「頭部の損壊は、先延ばしにできなかった?」という質問も投げかけられた。

「もうあと目をひとつ、くり抜くだけですし、次の日に朝イチで関西に出張する予定があるので、2日近く家を空けることになる。その間に撮影する可能性はかなり高かった。

 電子機器をいじるのが好きなほうではないし、損壊行為は考えただけで身の毛がよだちますが、語弊はあるかもですが、とにかく終わらせておいたほうがよろしいなと。(自分がやらないと、浩子さんがやる可能性が高くなると?)そうですね」
 修被告としては、過酷な撮影作業から妻を遠ざけたかったようだ。弁護人からの尋問が終わり、手錠がかけられ法廷をあとにする修被告。その姿を横にした浩子被告の目はすでに赤く、法廷から修が消えた後、メガネを外して目元を押さえていた。

 守りたかったはずの妻と法廷に立ち、夫婦は今何を思うのか──。

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