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「お前が妹を殺してさあ!」瑠奈被告が絶叫した“永遠の7分間” 父・修被告は「妹とは瑠奈の魂です」と証言【ススキノ第4回公判】

NEWSポストセブン 2024年10月5日 11時13分

 札幌市の繁華街・ススキノのホテルで昨年7月、男性会社員(62=当時)が殺害され、頭部を持ち去られたとする事件。起訴された親子3人のうち、母親の無職・田村浩子被告(61)の第4回公判が10月1日に札幌地裁(渡辺史朗裁判長)で開かれた。父親の精神科医・田村修被告(60)が録音したという瑠奈被告の絶叫音声から始まった今回の公判。手錠腰縄姿で証言台の前に立った同被告は、娘の残忍な犯行計画を“知らなかった”という趣旨の証言を続けたのだった——。【前後編の前編】

 娘の田村瑠奈被告(30)は昨年7月1日の深夜、男性を殺害して切断した頭部を自宅に持ち帰ったという殺人と死体損壊などの罪で、父親である修被告は瑠奈被告の実行を手助けしたとして殺人ほう助罪などで起訴された。ふたりに先立ち公判が行われている浩子被告は、瑠奈被告が男性の頭部を自宅に隠すことを容認し、また瑠奈被告が男性の頭部の損壊する際、ビデオ撮影を求められ、夫の修被告にこれを依頼したとして、死体遺棄ほう助、死体損壊ほう助の罪に問われている。

 浩子被告は濃いグレーのアンサンブルにロングスカートという服装で法廷に現れ、ドアの前でお辞儀をした。白髪混じりの髪の毛を後ろでひとつに束ね、背筋を伸ばして椅子に座る。品のある佇まいと、凄惨な事件とのギャップが大きい。

 今回の公判はまず冒頭に、修被告が録音していたという瑠奈被告の音声データが再生された。トータルで60時間以上もあるというデータを、わずか7分程度に編集したものだという。しかし法廷に響き渡った瑠奈被告の肉声は、7分という時間が永遠に感じられるほどだった。

「てめーよ!とっとと消えろ!!!!」「ちょっとでも力をつけて、てめえら殺してやる!ずっとそう思って生き延びたんだよ!!!」「You kill me」「あぁ〜〜〜!!うわ〜〜〜〜〜〜!」

 特に修被告が瑠奈被告に対し、精神科の受診を勧めようとした2023年1月22日の音声データは壮絶だった。修被告が病院について説明をしている途中で瑠奈被告はこれを遮り「ウゥ〜〜〜!!!!!」と絶叫。以降も時折「ウォ〜〜〜〜!!!」と叫びながら何かをぶつぶつと言い、「オォ〜〜〜〜〜!!」などと繰り返し叫んでいた。

「妹を殺してその責任も取らないくせに。とっととやんなさいよ!!お前がさあ、妹を殺してさあ、唯一の、唯一の味方だった私が、妹と一緒にさあ!ねえ!!!ねえ!!!!!」

 瑠奈被告は一人娘である。妹とは一体何か。音声データ再生後に行われた尋問に証人として出廷した修被告が明らかにした。

「(妹とは)瑠奈です。瑠奈の魂です」

帰宅した玄関で伝えられた「首拾った」の一言

 修被告に対する証人尋問は第2回公判に続く形で行われた。鬼気迫る瑠奈被告の絶叫を7分どころか60時間以上も直接浴びながら、それを録音し続けていた修被告。逮捕時よりもはるかに痩せた体型に、くすんだグリーンの長袖トップスと黒いズボン、白髪混じりの短髪にメガネをかけ、手錠腰縄姿で証言台の前にやってきた。本来、尋問は第3回に行われる予定だったが、修被告の新型コロナウイルス感染により、今回に延期となったのだった。

 彼曰く、瑠奈被告には「シンシア」や「ルルー」など複数の人格があるのだという。絶叫していたのは「シンシア」であり、その妹の瑠奈被告の魂が死んだと「シンシア」は訴えているのだそうだ。

「シンシアの魂としては、私たちの問題で娘の魂が亡くなったという認識で、我々を憎んでいる言動があります」(修被告の証言)

 複数の人格を内包する娘の殺人実行をサポートしたとして起訴されている修被告は、妻の浩子被告よりも関与の度合いが強いと検察側には見られている。だがこの日、修被告が証言したのは“娘の犯行計画は知らなかった”という趣旨の内容だった。事件当日の2023年7月1日夜、瑠奈被告が殺害実行のために外出する際も、修被告は車で送迎していたが、娘が何をするつもりで外出したのか、知らなかったのだと語る。

弁護人「瑠奈さんが頭部を持ち帰ってきたのを修さんが知ったのは、事件後に一緒に車で帰宅して玄関で『首拾った』と瑠奈さんに言われた時でしたね」

修被告「はい」

弁護人「その時点で『首拾った』という言葉が本当だと思ったか、認識はどうでしたか?」

修被告「ずいぶん前のことですし……その時、唐突な話でびっくりしてるのもあり、よく覚えてませんが、半信半疑というか、そんなことないよな、でもな、と」

 瑠奈被告と頻繁にコミュニケーションをとっていた修被告だが、瑠奈被告の「犯行計画」は認識していなかったのか——後編記事では、修被告が証言した瑠奈被告と被害男性との出会いと、その日にあったという性交渉やトラブルの内容を詳報する。

(後編につづく)

●取材・文/高橋ユキ(ノンフィクションライター)

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