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《「きよし」か「KIINA.」か》活動再開の氷川きよし、くすぶり続ける“新しい呼び名”の商標問題 “目玉”と期待される紅白はどうなるのか

NEWSポストセブン 2024年8月31日 7時15分

 ついに活動を再開した氷川きよし(46才)は、すでに年末の風物詩の目玉候補として名前があがる。そんな中、混迷深まる彼の名称騒動には、新たに第三の出願者まで現れた。果たして、いまの自分を表現する名前を使うことはできるのか──。

 紋付き袴からドレス、デニムと5回の衣装チェンジ。変わらぬ歌声で約6500人の観客を沸かせたかつての演歌界の貴公子が、待望の復帰を果たした。最高のリスタートを切ったかに見えたが、彼の頭の中は解決しがたい難題でいっぱいだった。8月17日、東京ガーデンシアターで、活動再開後初のコンサートを開催した歌手の氷川きよし。

「皆さん、今日はありがとうございます。思い切り楽しんでくださーい」

 2022年末に活動を休止して以来、1年8か月ぶりのステージに黒ラメの燕尾服で登場した氷川は、詰めかけた聴衆にそう呼びかけた。その後はポップスやシャンソンに加えてデビュー曲の『箱根八里の半次郎』や『限界突破×サバイバー』といった演歌やロックなど、計32曲を披露。演歌歌手の枠にとらわれない新生氷川の復活を強く印象付けた。その姿に熱い視線を送ったのはファンだけではない。

「氷川さんは今年のNHK紅白歌合戦の目玉のひとりなんです」

 と、打ち明けるのはNHK関係者だ。

「今年はデビュー25周年という節目の年でもあるし、昨年の紅白で視聴率的に大失敗したNHKとしては、知名度が高く話題性がある氷川さんに何としても出てほしい。番組がどんな構成になるかは定かではないですが、紅組や白組ではなく、企画枠で演歌とポップスなど複数の曲を歌うかたちに落ち着くのではないでしょうか。ただ、紅白出場となると彼の名前をどうするのかという問題も浮上してくるのですが……」(NHK関係者)

 気になるのは、特許庁も関心を示す商標トラブルによって“剥奪”されている氷川の名前に関する問題だ。2000年にデビューして以来、“演歌界のプリンス”というパブリックイメージに長く苦しんできた氷川は、2019年の紅白に出場する直前に自らを「kii」と自称し始めた。

「その年の紅白の囲み取材では『(これからは)きーちゃんらしく。きよしくんにはさよなら』と発言して報道陣を驚かせました。その後、ありのままで生きるという意味でnaturalを加えて『Kiina』と名乗るように。2022年末から活動を休止し、今年4月、所属事務所からの独立を発表しました」(芸能関係者)

 氷川がこだわりを見せる“新しい呼び名”には商標問題がくすぶる。昨年5月、前所属事務所が「Kiina」の商標登録を出願。今年3月に特許庁がこの出願を却下すると、事務所側は異議申し立てにあたる意見書を提出し、問題はいまだ解決していない。

「商標問題は複雑なので一概に言えませんが、最悪の場合、氷川さんがこの名前を使うたびに前事務所に対価を払う可能性が出てきます」(別の芸能関係者)

 権利問題を回避するため、氷川サイドは「KIINA」と大文字で表記し、さらに「.」(ドット)をつけるという打開策も検討。実際、最近の表記はこの形式だ。紆余曲折を経て復帰した今回のステージで氷川自ら活動名義に言及。「氷川きよし」も「KIINA.」もどちらも「すべて自分」だと説明し、現在の心境については、こうコメントした。

「KIYOSHI HIKAWA+KIINA.の歌のパワーでファンの皆さまを幸せにしたい」

「じぇじぇじぇ」「倍返し」も

 そんな氷川の商標騒動には、ここにきて新たな参戦者が現れた。それが、大阪府に本社を置く「ベストライセンス株式会社」だ。

「有名になった言葉やサービスなどを手当たり次第に商標出願する会社で、その手法には、特許庁が異例の注意喚起をしたこともあります」(社会部記者)

 ベストライセンス社は過去にNHK連続テレビ小説『あまちゃん』の「じぇじぇじぇ」や、TBS系ドラマ『半沢直樹』の「倍返し」といった流行語から、「歩きスマホ」「個人型確定拠出年金」「民進党」など、話題のワードを次々と商標出願してきた。

「おそらく氷川さんの新芸名が話題になっていることに目をつけて参戦してきたのでしょう。この6月に出願しています」(前出・社会部記者)

 福地国際特許事務所代表弁理士の福地武雄さんは、こう語る。

「ベストライセンス社により出願された商標が、登録まで至る可能性は低いですが、万が一、商標登録されてしまった場合、その登録を取り消すためには、商標登録異議の申し立てまたは商標登録無効審判の請求をする必要があります。

 この異議申し立ての審理期間は、6か月から8か月もかかる(無効審判の審理期間は約1年)。さらに、取消決定または無効審判を受けた元の商標権者は、知的財産高等裁判所へ異議決定または無効審判の取り消しの裁判を提起することもできますので、そうなると、解決までより長い期間を要することとなるでしょう」

 前所属事務所との話し合いも長期化の様相を見せており、今年の紅白までに決着するのは難しそうだ。果たして商標出願という火種を抱えた氷川の紅白出場はどうなるのか。

「生まれ変わりをアピールしたい本人は、氷川きよしではなく、新しい呼び名で出場したいでしょうね。ただ、権利問題もそうですし、肝心のファンが受け入れてくれるかどうか……」(前出・芸能関係者)

 最大の焦点はファンの反応となりそうだ。従来の氷川のファンクラブは現在も存続するが、それはデビュー前からお世話になった前事務所への恩返しで氷川が希望したとされる。だが最近、そのファンクラブにも異変が起きている。

「デビュー時から氷川さんを支えてきたファンらの退会が目立っているそうです。古参のファンの多くは“自分らしく生きたい”という氷川さんを応援しつつも、以前とは異なるビジュアルや発言内容に“何か違う”という違和感を抱いているのかもしれません」(前出・芸能関係者)

 厳しい現実を突き付けられたのが、先日の復活コンサートだった。

「今後のコンサートのチケット販売は好調なようですが、8月のコンサートは思ったほどの反応が得られず、過去に武道館を満員にしてきた氷川さんからすれば寂しい入りでした。危機感を覚えた氷川さんは、自ら復活コンサートのポスター配りを行っていたほどです。紅白にまで『KIINA.』の呼び名で登場することが自分にとってもファンにとってもいいことなのか、本人は慎重に判断するでしょう」(前出・芸能関係者)

 目玉と期待される紅白出場を手にしたとき、本人が選択するのは「きよし」か「KIINA.」か、はたまた両方か──復帰早々、新生きーちゃんの悩みは尽きない。

※女性セブン2024年9月12日号

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