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中村仁美、神田愛花、宮崎宣子 フリーになった人気女性アナ3人が語り合う“バラエティ番組への愛”

NEWSポストセブン 2024年9月3日 7時15分

 芸達者なタレントたちがひしめくなかで、全力で番組を盛り上げる女性アナに何度元気をもらったことか! お茶の間を沸かしてきた人気アナ、中村仁美、神田愛花、宮崎宣子の3人の女性アナが集結し、バラエティ番組への愛を語り合った。(司会・構成/山田美保子)

ヒデさんに救われた

──担当したバラエティ番組で、最も思い出に残っている番組は?

中村:私は『クイズ!ヘキサゴンII』と『爆笑レッドカーペット』です。当時は『はねるのトびら』のナレーションもやっていたので、水曜夜の私はバラエティ漬けでしたね。

 同じ芸人さんでもタイプが違って、例えば『ヘキサゴン』の島田紳助さんは決まっているゴールに向かって、ひたすら突き進む。『レッドカーペット』の今田耕司さんはその場で起きたことをすべて材料にして笑いに変える方なので、紳助さんの隣では邪魔をしない。今田さんの横ではかなり自由にやっていましたね。

神田:NHKは報道番組のイメージが強いと思うのですが、そんななかで私は初めて担当したのが『爆笑オンエアバトル』でした。本番前、芸人さんが掴みあいのケンカをしながら練習されているのを目の当たりにして、「あぁ笑いをとるのはこんなに大変なんだ」と知りましたね。命がけの方たちと共演するのだから、しっかり仕事をしなければと、ある意味、覚悟を決めた番組でした。

宮崎:私は『TVおじゃマンボウ』と帯番組の『ラジかるッ』で、私の拙さをすべて拾ってくださる中山ヒデさん(秀征)に助けていただいたことが、その後の人生で確実に役立っていますね。ベテランなのに偉ぶったりカッコつけたりすることがなくて、圧もない。実は私、決して早朝番組とは言えない『ラジかるッ』で一度大遅刻をしているんです。しかもその2週間前、社内で表彰されていまして、「会社のために尽くします!」と宣言した矢先だったので相当落ち込んじゃって。局アナが遅刻するなんてあってはいけないことなのですが、ヒデさんの「寝すぎたの?」の一言で本当に救われました。

神田:私もヒデさんにはお世話になっています。出演者の一体感を重視する方なので、必ず私にも話を振ってくださる。それを見た母が「娘を大切にしてくださっている」と感謝していました。

面白くするための計算はしない

中村:私は『新春かくし芸大会』で、ヒデさんがプロボウラーを目指していらっしゃる頃にご一緒したんですが、いつも一番に現場入りされていましたね。差し入れも毎回、ものすごく豪勢で。

宮崎:そう! 『ラジかるッ』は視聴率が良かったし、当時は景気も良かったので、毎週末、スタッフさんやヒデさん仕切りで豪華な打ち上げをしていましたね。

中村:エエッ? 『ヘキサゴン』の打ち上げは毎回、六本木の居酒屋「天狗」でしたよ。数字が良かったからこそ、安いお酒を飲もうみたいな。

宮崎:「天狗」だけに天狗にならないように、と。

神田:うまい! 日頃の振る舞いは本当に大切。私は『ぽかぽか』でMCをさせていただいていますが、お休みに海外旅行をしたら、スタッフ全員分のお土産を買うようにしています。それはヒデさんの影響ですね。局アナ時代にはありませんでした。

──フリーになられて、一番変わったことは?

中村:仕事の内容も立ち位置もまるで違うのに、何の武器も持たずに大海原に出ちゃったので、本番後は毎回“ひとり反省会”……。ですよねぇ?

宮崎:先日、『ネプリーグ』に呼んでいただいた時の帰り道が、まさにそれでした。「あ~、あの問題、本当は答えられたのに~」とか、初共演する他局出身の女性アナウンサーも多かったので、ポジションを探っているうちに終わっちゃいました。

神田:私も常に反省しますし、面白くなるように計算していた時期もあったんです。でもそれって視聴者の方にも共演者さんにも気づかれますよね? だからもう止めました。芸人さんや周りの方にイジられてこそ、存在価値が出る。それでいいと思えるようになりました。実はNHKを辞めてから身長が1cm伸びたんですよ。色々気にしなくなったからだと思います。

中村・宮崎:(爆笑)

情報アナとの哀しき格差

中村:正直なことを言ってもいいですか? 神田さんって、どうしてNHKに入ったんですか?

宮崎:私もそれ、気になっていました。

神田:自分では向いていたと思っているんですよ。報道志望でもあったので。

 いまも目標にしているのは安藤優子さんで、まったく変わっていません。

──ただ、ここまでバラエティで成功されると、この先すぐに報道へはいけないかもしれませんね。

宮崎:『ラジかるッ』も前半にストレートなニュースコーナーがあったんですよ。でも日テレの場合は完全に報道局のほうが強かったので、映像素材の貸し借りでスタッフさんが揉めている姿を多々見てきました。

 それと災害時、アナウンサー全員に報道局への出動指示が出たのに、「お前がヘルメットを被っていたら『高校生クイズ』と勘違いされるから、電話番をしてろ」と言われたことがあります。それって、ピンポ~ンと鳴るヘルメットのことですよね。

中村:(苦笑)。でも、良い意味で、スタッフさんもバラエティの女性アナウンサーには言いやすいんだと思います。たぶん私たちの立ち位置ってスタッフさんに近い。報道系の女性アナウンサーには男性スタッフも、すごく気を遣っていて驚きました。格差ですよね……。

宮崎:報道の人とはタクシーの質も全然違うんですよね。お抱えタクシーがいてカーテンも付いている。報道の人とタクシーで帰る際に、その事実を知りました。

中村:でも、どれだけやっても正解がわからないバラエティ担当だったからこそ続けてこられたのかなとは思いますね。

宮崎:私は日テレ時代、すごく面白い人みたいに思われていましたけれど、与えられた仕事を一生懸命してきただけなんです。

神田:面白くなくて当たり前なのに、〈神田は面白くない〉というSNSのコメントには本当に腹が立つ。いや面白いことやってませんから!って。だから私はもう、若くて達者な女性タレントさんと不器用なおばちゃんアナウンサーと「どちらがお好みですか? 選んでください」というカンジで開き直っています。結局は制作や共演者さんにハマるかハマらないかしかないと思うんですよね。

中村:その域に達したり、空気を読む力に長けたりしたのはバラエティのお陰だと思います。

三人:これからも、よろしくお願いします!

【プロフィール】
中村仁美(なかむら・ひとみ)/1979年6月8日生まれ、大阪府出身。2002年にフジテレビ入局。『クイズ!ヘキサゴンII』『爆笑レッドカーペット』など人気番組を担当。現在はTV、ラジオ、イベントなど多彩なジャンルで活躍のほか、雑誌『FRaUデジタル』『STORY』でエッセイも連載中。MXTV『田村淳の訊きたい放題』MC。3児の母。

神田愛花(かんだ・あいか)/1980年5月29日生まれ、神奈川県出身。2003年にNHKに入局し、『爆笑オンエアバトル』などを担当した。2012年にフリーアナとして活動を始め、現在は『ぽかぽか』(フジテレビ系)でMCを務める。7月にはエッセイ本『王道っていう道、どこに通ってますか?』を上梓。

宮崎宣子(みやざき・のぶこ)/1979年9月4日生まれ、宮崎県出身。2002年に日本テレビ入局。『ラジかるッ』や『ザ!世界仰天ニュース』を担当した。現在はフリーアナとして活動しつつ、オーガニックハーブのブランドを立ち上げて経営している。

【司会・構成】
山田美保子(やまだ・みほこ)/1957年生まれ、東京都出身。『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)を手がける放送作家。コメンテーターとして『一周回って知らない話』(日テレ系)や『サンデージャポン』(TBS系)、『ドデスカ!+』(メ~テレ)に出演している。

※週刊ポスト2024年9月13日号

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