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「自然保護につながるんです。素敵でしょ?」日本野鳥の会に入会した磯野貴理子が語る“バードウォッチングの魅力”と“年齢にとらわれない生き方”

NEWSポストセブン 2024年9月2日 10時59分

 今年還暦を迎えた磯野貴理子は、今から3年ほど前から“野鳥の観察”にハマり、2022年10月には専門的な知識を身につけるべく、『日本野鳥の会』にも入会した。鳥の姿を見るだけで喜びがあふれ、充実した毎日をおくっているという彼女に、バードウォッチングの楽しさについて聞いた。【前後編の後編。前編を読む】

『日本野鳥の会』入会で世界が広がった!

『日本野鳥の会』は、野鳥や自然の素晴らしさを伝えながら、自然と人間との共存を目指して活動する、日本で最古にして最大の自然保護団体だ。1934(昭和9)年に設立され、今年で創立90周年を迎えた。

「会が主催する『探鳥会』というバードウオッチングに参加するんですけど、そこでいろいろな鳥と出合って、名前や生態を教えてもらいました」(磯野貴理子・以下同)

 探鳥会は、全国で年間約3000回開催されており、延べ約7万人が参加しているという。参加費数百円を払えば、野鳥の会会員でなくても参加できるという。

「私は最初、双眼鏡を持っていなかったんですが、会員さんがスコープ(望遠鏡)を持っていて、そのレンズの枠内に鳥を入れたら、“いま鳥入りました”といって見せてくれるんです。だから、手ぶらでも楽しめて本当におすすめ。

 そして締めは、“鳥合わせ”といって、鳥の数を数えて、リーダーと答え合わせをするんです。これがすごく速い。“いま38羽ぐらいでしたね”とか、塊で数えているんです。その技術が紅白歌合戦で生きているんですね。

 数を数えることでデータをとっているわけです。ここの森や干潟には、これだけ野鳥がおり、巣もあるというデータが、自然と共存した開発に向けての資料となる。絶滅危惧種を守ったり、生態系を守ることにもつながっていて、野鳥の観察が自然保護につながるんです。素敵でしょ?」

 野鳥の会の会員は鳥だけではなく、自然界についてのさまざまな知識が豊富で、聞けば親切に教えてくれるのだそう。

「たとえば、“あの鳥は、この植物の実が好きなんだよ。でも今年はあまり食べていないから、おいしくなかったのかもね”なんておっしゃる。だから私も、その植物の名前や特徴を覚えるように。同様に、鳥が食べるから昆虫についても勉強するようになり、そうするうちに食物連鎖や生態系にも興味が出てきて、自然の循環について意識するようになりました。

 ベテランの会員さんが、“鳥を知るとは地球を知ること”とおっしゃっていて私、感銘を受けてしまいました」

 最初は野鳥を見ているだけで満足していたが、そのうちきれいに撮影したくなり、一眼レフカメラと望遠レンズを購入。羽の細かいところまで撮れるようになると、撮影にもハマっていったという。野鳥への関心に端を発し、どんどん世界が広がっていった。

シニアだと意識するとリミットをかけてしまう

「知らないことがわかると、細胞まで喜んでいるような、全身が満ち足りた気分になります。

 還暦を迎えたので、最近はよく年齢の話題になりますが、私自身は気にしたことがないんですよね。私にとって年齢って、社会が勝手に教えてくれるもの、というイメージ。ちょうど先日も映画を見に行ったら受付のかたが“60才以上はシニア割になります”と教えてくれました。割引はうれしいのですが、そのとき、“私はもう、シニアなんだ”と気づかされました。

 言葉ってとても重要で、“シニアだ”と意識すると、自分にリミットをかけてしまう。だから私は、好奇心の赴くまま、いつまでも挑戦し続けられるよう、年齢にとらわれないようにしています」

 自分にリミットをかけずに、やってみたいことはやってみるという磯野。

 この夏には野鳥を見に、山梨県の大菩薩嶺(標高2057m)の登山にも挑むという。

「いまは多くの高齢者が登山を楽しんでいますしね。初登山の不安より、どんな鳥に出合えるだろうかとワクワクしています。いつか野鳥の宝庫といわれる南米のコスタリカにも行ってみたいですね」

 好きというのは、強い力を持っているのだという磯野。発端は鳥を見て愛で、さえずりを聞いて癒されることだったが、いまや一眼レフでの撮影から登山までこなす。何才だろうが年齢を気にせず、好きに全力になる。それこそ、磯野流の生き方であり、若々しさの秘訣なのだろう。

(了。前編を読む)

【プロフィール】
磯野貴理子(いその・きりこ)/1964年三重県生まれ。1987年にバラエティー番組『森田一義アワー 笑っていいとも!』(フジテレビ系)で5代目「いいとも青年隊」(初代「いいとも少女隊」)を務めた後、バラエティー番組などで活躍。現在は『はやく起きた朝は…』『ホンマでっか!?TV』(共にフジテレビ系)、『行列のできる相談所』(日本テレビ系)などにレギュラー出演中。中国語検定「HSK」2級、書道7段、珠算1級などを保有。

取材・文/前川亜紀

※女性セブン2024年9月12日号

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