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パワハラ・おねだり疑惑の斎藤元彦知事 アンケート結果から浮かび上がる自己愛の強さとお約束のカメラ目線

NEWSポストセブン 2024年9月2日 7時15分

 2024年3月、内部告発文書が報道各社などへ送付されたことをきっかけに露見した、兵庫県・斎藤元彦知事に関する疑惑の数々。県議会調査特別委員会(百条委員会)による非公開の証人尋問や、県議会文書問題調査特別委員会によるアンケート調査などによって、いままでは伏せられていた実態が明らかになりつつある。臨床心理士の岡村美奈さんが、斎藤知事のパーソナリティーについて分析する。

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 兵庫県の斎藤元彦知事に関する数々のエピソードが続々と表沙汰になってきた。内部告発を受け、県議会調査特別委員会が斎藤知事の尋問を行ったのだ。告発文書にあった内容だけでなく、「百条委員会」が県職員らに行ったアンケート調査の結果も、兵庫県議会のHP上で「兵庫県職員のアンケート調査」中間報告として公開されている。。回答数は4568件、そのうち約4割の県職員が知事のパワハラなどを見聞きしていたという。

 これに対して斎藤知事は「県政をよりよくしていくと3年間、必死でやり、必要な指示や指導をしたが、これだけ多くの職員が回答している事実に接し、大変残念な思いだ」と語っている。だが公開されているアンケート調査の回答の中には、驚くような内容がいくつもあった。その一部、知事のパワハラやおねだりに関するエピソードが、NEWSポストセブンの一連の記事に載っている。

「カニ独り占め」「”40万円相当の革ジャン”を試着して」「職員はアメ玉ひとつ貰えない」というおねだり体質の他に、公開されているコメントには、「知事がロードバイクに乗りたいというので、某企業が寄贈した」「養殖海苔の視察で大量の海苔を持ち帰った」「ネクタイを試着してそのまま帰った」というものまである。こういくつものエピソードが並ぶと、おねだり体質やパワハラと周りから思われてきたのも無理はない。

 記事では、在阪マスコミ関係者が「“ナルシストぶり”に言及する記述が多い」と指摘している。そう言われて記事にあった知事のSNSの写真をよく見ると、確かに写真の多くは知事の顔にピントが合っていて、紹介すべき商品などは二の次になっている。商品名が光って見えなかったり、知事の顔の方が大きく映っていたり、訪問先の人物が見切れてしまっているという写真もあった。あくまで主役は知事で、商品などは脇役のようだ。

 知事の目線もそのほとんどがカメラ目線のため、紹介するものより自分のアピールが優先されているように見える。もし知事として県の商品などを県内外に紹介したいという気持ちが強ければ、目線は商品に向けられるべきだろう。人には他人の視線が向けられている先に注目する傾向があるといわれる。知事の目線がカメラではなく紹介するものに向けられていれば、写真を見た人は、最初に知事の顔に注意が向いたとしても、無意識にその視線の先に目がいき、そこに注目することになる。だが知事の写真は残念ながらそのほとんどがカメラ目線、自分のアピールに余念がなかったのだろう。

 知事のナルシストぶりはNEWSポストセブンの他の記事にも書かれていた。外見へのこだわりが強く、「化粧室で1時間髪型チェック」「控室がないとSAかコンビニに必ず立ち寄って」という回答が紹介されていた。告発されてからの言動、明らかになっていくエピソードを読むと、斎藤知事は「自己愛」が強い自己愛人格の傾向があったのだろうと考えられる。

 自己愛が強い人というのは、他人よりも自分を優先し、常に自分が正しいと思い込んでいるため、人の意見は聞かず自分勝手に振る舞う傾向が強いという。そのため他人を自分の支配下に置こうとしたり、パワハラなどで他人の感情を操作しようとする。自分のことが大好きなので、注目されたい、承認されたいという欲求が強く、目立ちたがり屋で社交性は高いという特徴を持つ。我慢は嫌い。自分が人より優れていると思い込んでいるため、自分は特別扱いをされて当然という特権意識が強いという。だから問題が起きても自分のせい、自分が悪いとは思わない。

 百条委員会での知事の答弁を聞いていると、どの行為についても自分が悪いとは思っていないらしい。どれも業務上の指導の範囲内という認識でしかなく、部下にとっては”理不尽な叱責”も、知事にとっては「強く指摘した」「大きな声でその旨を伝えた」「私の認識は合理的だった」「適切だった」なのだ。

 カリスマやワンマンと呼ばれる経営者の中には、自己愛の強いタイプが少なからずいると言われるが、それゆえに魅力的な人もいる。しかし知事という立場はオーナー経営者などとは違う。強い自己愛が周囲に悪影響を及ぼすこともあるだろう。次々に出てくる斎藤知事に関するエピソードがどこまで事実なのか、これからはっきりするだろう。

 

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