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《スタートできるのか?》問題続きの『24時間テレビ』、チャリティーランナーやす子に「マラソン中の台風直撃」だけじゃないピンチ

NEWSポストセブン 2024年8月31日 7時15分

 8月31日から9月1日にかけて放送される『24時間テレビ47』(日本テレビ系)。チャリティーランナーはお笑い芸人・やす子が務める。台風10号が列島縦断する中、市民ランナーが参加するイベントは中止されたが、やす子が走るマラソンは安全に配慮しながら実施する方法を検討中という。しかし、このマラソンにはさまざまなリスクがあるようだ。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

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 台風10号の日本列島縦断で『24時間テレビ47』(日本テレビ系)に危機が叫ばれています。メイン会場の両国・国技館以上に開催が危ぶまれているのが、恒例のチャリティーマラソン。今年は、やす子さんがランナーを務めることが発表されていました。

 チャリティーマラソンについては近年、「酷暑の中で長距離マラソンは危険」「チャリティーとの関連性は薄い」などの批判が定番化していた上に、今年はさらに台風10号の脅威がプラス。屋外での開催そのものが疑問視されていました。

 しかし、実際のところ、やす子さんにとってのピンチはマラソン中の台風の直撃や大雨だけではありません。むしろそれ以上に難しい状況に陥る危険性がありそうなのです。

「市民ランナー」のリスクを回避

 まず今年の『24時間テレビ』は、昨年11月に発覚した募金の着服によって、かつてないほどの逆風が吹き荒れていました。批判が殺到し、中止を求める声があがる中、「チャリティーの本質を見つめ直す」「番組の在り方を問い直す」という方針で放送を決断。メインテーマに「愛は地球を救うのか?」を選ぶなど強い意気込みで臨んでいるものの、人々の厳しい視線は変わっていません。

吉無田剛・総合プロデューサーが「新しい24時間テレビ“元年”にします」とコメントしていたように、新たなものを見せようという方針のもと、チャリティーマラソンは33回目で初めて「全国の児童養護施設に募金マラソン」と題して市民ランナーを募集。約1000人がチャリTシャツを着て、やす子さんと一緒に走ることが予定されていました。

 放送日が間近に迫る中、制作サイドは決断を迫られていました。連日、台風の進路や被害状況を伝えるニュースが流れ、交通機関の運休やイベントの中止が次々に発表される中、ネット上には「走らせるつもりなのか」「やめるべき」などの否定的な声が続出。そして30日15時、制作サイドはホームページで「市民ランナーに参加していただく予定だったマラソンイベントは中止とさせていただきます。やす子さんのマラソンに関しては、安全に配慮しながら実施する方法を検討中です」と発表しました。

 暑さに加えて強い雨や風を受けるなど心身の負担が大きい中、多くの一般人を走らせ、それを放送すること。それ以前に会場に集結させること自体を疑問視する声が目立っていただけに、市民ランナーの参加中止は賢明な判断のように見えます。

 その一方で「全国の児童養護施設に募金マラソン」というコンセプト自体の変更はないようですが、台風や大雨の危機が去ったわけではなく、やす子さんのマラソンにも慎重な判断が求められるでしょう。

 さらに言えば、「臨時の報道特別番組によって、チャリティーマラソン自体があまり放送されない」という最悪のケースも絶対にないとは言い切れません。それどころか、「無用な外出は避けてください」などと訴えるほどの事態になったら、多くのスタッフを動員してマラソンを続行するという矛盾は許容されないでしょう。

「児童養護施設」か「被災者の救済」か

 しかし、やす子さんにとってのリスクは自身のマラソンだけではありません。自分が台風や大雨の影響を受けなくても、今週は台風10号の縦断で被害が広がっているほか、各地に線状降水帯が発生し、大雨災害のリスクは続いています。

また、もしマラソンが行われているとき、西日本などに現在進行形で甚大な被害が発生しているところがあれば、「児童養護施設に募金」より「被災者の救済」が優先されるでしょう。自ら児童養護施設にいたことを告白して並々ならぬ意気込みを見せていたやす子さんは、そのときどのようなスタンスで走るのか。さらに、もし趣旨の切り替えを求められたとき柔軟に応じられるのか。走るだけでなく、1つ1つの発言まで難しい対応が求められることは間違いないでしょう。

 やす子さんはこの1週間あまり、『24時間テレビ』の番宣で数多くのバラエティや情報番組に出演しました。

ただ、やす子さんはマラソンの準備について語る一方で、台風の話題にはいっさいふれず。特に生放送の情報番組ではさんざん台風情報を扱っているだけに、不自然さを感じさせました。

実際、28日の『DayDay.』では、「もう今は不安じゃなくてワクワクしているので楽しく走ろうと思います」「『世の中を変えたい』ぐらいの気持ちでやっている」などと気丈に語っていたものの、開催すら危ぶまれる中、どこか悲壮感が漂っていたのです。

このところ、やす子さんはフワちゃんの不適切発言騒動に巻き込まれるなど災難が続くだけに、『24時間テレビ』の本番では会心の笑顔を見せられるのか。児童養護施設の子どもたちだけでなく、被災者にも勇気を届けるような放送が期待されています。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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