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米大学に寄贈された毛沢東氏の秘書の膨大な日記類をめぐって妻が返還訴訟 貴重な歴史的資料として行方に注目

NEWSポストセブン 2024年9月4日 7時15分

 中国共産党の故・毛沢東主席(1893~1976)の秘書のほか、党の要職を務め、2019年2月に101歳で死去した、李鋭氏の日記や手紙、会議の議事録など1000万字に上る膨大な記録の所有権をめぐって、李氏の娘と妻が争っており、米国の裁判所で審理に入っていることが明らかになった。

 李氏の日記などはすでに米スタンフォード大学フーバー研究所が保存しており、今後、日記などの分析が進めば、毛沢東の知られざる言動や中国共産党の政策決定など重要な歴史事実が明らかになるとみられる。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

 米カリフォルニア州オークランドの連邦裁判所は、8月20日から李氏の日記などの所有をめぐって、北京在住の李氏の2番目の妻だった張玉珍氏が起こした記録類の返還を求める裁判の審理を開始した。

 この李氏の日記などは、李氏の死後、李氏と最初の妻の娘、李南陽氏が持ち出し、移住先の米国のスタンフォード大学フーバー研究所に寄贈した。同研究所では中国国民党総裁で、中華民国総統だった蒋介石氏の日記も保存し、詳細な分析を行うなど、中国現代史研究には定評がある。

 しかし、これを知った張氏が2019年4月、北京の裁判所に、李氏の日記類などは妻の張氏が相続してしかるべきなどと訴え、返還を要求。北京の裁判所では、張氏の主張を認める判決を下した。

 これに対して、スタンフォード大学は李氏の日記類の所有は法的に正当だと主張、審理が始まっている。張氏の弁護士は審理初日に、李鋭氏がスタンフォード大学への日記などを寄贈することについて、書面による許可はなかったと述べた。2日目には、娘の李陽南氏が「父は自分の意志で日記をスタンフォード大学に引き渡すことに同意した」と主張している。

 李氏は1917年、北京市生まれで、1937年に中国共産党に入党し、1958年に水利電力省次官と毛沢東の秘書を兼務。その後、一時期、失脚していたが、1979年に名誉回復。1982~1984年に党中央組織部副部長、1982~1987年に党中央委員、1987~1992年には党中央顧問委員を歴任。1991年より改革派の雑誌『炎黄春秋』の編集顧問を務め、2019年、101歳で死去した。

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