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【角界の世代交代】史上最速優勝の大の里に包囲網 最大のライバルはたたき上げの平戸海、日体大の同級生だった阿武剋・旭海雄・石崎らにも注目

NEWSポストセブン 2024年9月8日 7時15分

 角界での世代交代が加速中だ。史上最速優勝を果たした大の里と刺客たちが織りなすドラマに注目すれば秋場所観戦がもっと楽しくなるだろう。

 令和になり3度の幕尻優勝を含め平幕優勝が続き、今年は2場所連続で大銀杏が結えない“チョンマゲ力士”が賜杯を手にする事態となった。大関が相次いで陥落し、場所の後半戦で三役と平幕力士が生き残りをかけた一番が組まれるのが通例となってしまった。

 そんな混戦から抜け出そうとしているのが、入門から7場所で史上最速優勝を果たした大の里(24)だ。新入幕から3場所連続で2ケタの勝ち星を挙げ、先場所は史上初の“チョンマゲ大関”に挑戦したが9勝で終わった。

 それでも秋場所で12勝以上での優勝なら、大関昇進の条件とされる三役での直近3場所33勝に届くため、審判部では「9月場所の相撲内容次第」と白紙に戻ったとしていない。

 先場所優勝した横綱・照ノ富士に突き落としで土をつけた大の里。立ち合いの圧力は幕内トップクラス。優勝争いを先頭で引っ張る力士のひとりだが、「大関とりは簡単ではない」というのは出羽海一門の若手親方だ。

「他の力士が大の里をよく研究している。立ち合いで食い止め、まわしを許さなければ勝機はあるとみている。先場所は御嶽海、若元春、平戸海、豪ノ山、琴櫻、隆の勝に敗れたが、立ち合いから一気の出足を持つ押し相撲に弱点がある。それが6敗につながった」

 番付上位には先場所の6人以外にも、十両時代も含めて負けたことがある琴勝峰、一山本、狼雅がいる。先場所の不戦勝を除けば3連敗中の豊昇龍、ハッスル相撲で大物食いの阿炎、熱海富士も控えている。

台頭する“2000年代生まれ”

 なかでも最大のライバルとみられているのが、2場所連続で大の里に土をつけた平戸海だ。ともに2000年度生まれの同学年。大の里が日体大を経て角界入りしたのに対し、平戸海は中学卒業と同時に入門している。

「平戸島(長崎)初の関取。178センチ、138キロと体は大きくないが、稽古熱心は角界で一二を争う。突き押しを得意とするが、懐に入って右四つからの寄りも武器。休まずに攻め続ける取り口を大の里は苦手としている」(相撲担当記者)

 大の里は日体大3年でアマ横綱となり、4年には国体優勝と2年連続アマ横綱に輝いた。アマ13冠という輝かしい実績を引っ提げて幕下10枚目格付け出しで初土俵を踏んだ。これに対し、平戸海は前相撲からスタートして7年目に入幕を果たしたたたき上げ。対照的な力士が大の里の前に立ちはだかる大きな壁となっている。

学士力士の存在感

 その大の里に新たな刺客が現われた。日体大の同級生だった阿武剋である。大学4年では大の里に勝って学生横綱になった逸材だ。

「モンゴル出身で、15歳で来日して神奈川県内の高校で相撲を始めた。幕下15枚目格付け出しだったが、興行ビザ取得のため3場所遅れの初土俵となり、所要5場所(11位タイ)で入幕を果たしている。出世が早すぎて9月場所には髷が間に合わず、ザンバラ髪で幕内の土俵に上がることになる」(相撲担当記者)

 通常なら西前頭14枚目の阿武剋と関脇の大の里との対戦は実現しないが、阿武剋が勝ち続ければ後半戦に対戦が組まれることになる。入門時から大の里と比較されることが多いため、強く意識しているという。

 幕下には日体大時代の大の里の同級生だったモンゴル出身の旭海雄、同じく日体大の同級生で教員から1年遅れで転職した石崎、日大の草野、一意、中央大の風賢央といった学士力士たちが次の刺客として控えている。阿武剋との対戦が期待される一方で、大の里包囲網が広がっている。

※週刊ポスト2024年9月20・27日号

 

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