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《抗争は終結するか》山口組分裂から10年目 生き残りをかけて関係者の間で流される噂、ガセ、怪文書

NEWSポストセブン 2024年9月8日 16時15分

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。山口組分裂から10年目となったいま、飛び交う情報と怪文書について。

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 2015年8月に六代目山口組が分裂してから、今年で10年目。特定抗争指定暴力団六代目山口組の関係者らは、組を割って出て行った神戸山口組や絆會などが存在する限り抗争は終結しないと考えているという。だが離脱して神戸山口組を立ち上げた組の中には、すでに神戸山口組を去り六代目山口組に戻った組がいくつもあり、規模は縮小の一途をたどっている。山口組関係者らにとっても神戸山口組にとっても、互いの組の動きは大いに気になるところだ。

 このところ頻繁に情報が流れてくるのが六代目山口組を離脱し、さらに神戸山口組から2017年に離反した特定抗争指定暴力団絆會と、2020年に神戸山口組を脱退した特定抗争指定暴力団池田組についてだ。絆會会長、織田絆誠容疑者と池田組の組長、池田孝志容疑者は、絆會などが所有する不動産を担保に織田容疑者が池田容疑者の親族から1億円を借りたとする虚偽登記を行った容疑で、7月、大阪府警に逮捕された。

 この事件より数か月前、絆會の人事に関する情報がSNSで流れた。大阪府警のホームページによると、大阪市に本部を有する絆會の勢力範囲は1都1道1府9県、現在の構成員数は約60人。その絆會で統括委員長や舎弟、若中などを務める組のうち15団体が脱退し、組長らが引退するという。だがこれには追加情報もあった。”ガセ””活動なし””病気”といった脱退する組や引退する組長の現状も流れたのだ。

 山口組傘下の関係者によると、「情報はガセ、間違いというより偽情報だな。嘘やデタラメなネタで、よく刑事ドラマで”ガセネタ”なんて言うだろう。こういう情報を絆會が出すことはない。反絆會の連中が作ったものかもしれない」。ガセのネタ元は山口組ではなく、絆會の存在を疎ましく思う神戸山口組側の関係者ということもありえる。彼らの存在を疎ましく思う者がSNSを使って裏情報や偽情報を流しているらしい。

8月下旬に流れた怪文書

 一方、組を案じる者が出したらしい怪文書もある。池田組についての情報だ。

 池田組は岡山市を拠点とし勢力範囲は1道3県、構成員数は約60人。資金力のある組として知られ、2022年10月、岡山市内の理髪店で散髪中の組長が山口組系幹部に襲撃されている。組長に怪我はなかったが、事件は大きく報じられた。その組で8月に幹部が組を離脱し、六代目山口組傘下の組に移籍したという情報が業界に流れた。”今の池田組には全く魅力を感じない。若い衆の命を預けることはできない”というのが離脱理由らしい。

 8月には、内部抗争の火種となりそうな事件が起きた。岡山市内で池田組幹部と傘下組織の幹部が酔っ払った末に乱闘になったのだ。池田組の組長は傘下組織の幹部だけに謹慎禁酒を命じた。だが処分された方は自分に非がないと自らの組長に報告。仲違いとなったという。情報提供者はこの仲違いが池田組の今後を左右すると案じている。前述した関係者はこの情報を「おそらく事実に近いだろう」と話す。

 8月下旬には、逮捕された池田組組長が組の幹部や直参たちに騙されているという怪文書が流れた。直参の前では組のために体はかけられないというが、親分の前に出ると、体をかけて刑務所に行く覚悟があるといつも言う幹部、山口組の紐が付いている幹部、山口組傘下の組に情報を流している幹部、池田組が潰れる様子を見ているという幹部たちがいて、親分は騙されているという。この怪文書では、そのことを親分に一日も早く気が付いてほしいと結んでいる。どれも池田組の行く末を案じる文章で締められているので、出したのは内輪の可能性が高いだろう。

 六代目山口組組長の司忍は80歳と高齢で、組のナンバー2の若頭という地位ながら若くない高山清二も75歳。引退してもおかしくない歳だが、抗争が続く限り引退はしないと言われている。組を割って出ていった組織も生き残りをかけているが、縮小化、弱体化は進む一方だ。どんな形で決着できるのか不明だが、どちらにとっても抗争は終わりにしたいというのが本音ではないだろうか。

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