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《大病を機に仕事激減》81歳森本レオが語る終活「ストレスのない老後」、ナレーションで残したい“さりげない存在感”

NEWSポストセブン 2024年9月9日 17時29分

「今まで楽しくやってきたし、働く必要もないですね」──NEWSポストセブンの取材にそう語るのは、芸能界でナレーターや俳優として功績を残してきた森本レオ(81)。近年はメディアで見かける機会が減っていた森本だが、本人によると故郷の名古屋で暮らす家族とも離れ、東京・高円寺で悠々自適な老後生活を送っていうという。そんな森本に役者業から遠ざかっている理由、現在の暮らし、余生について尋ねると、「僕は不摂生な生活をしてたからね……」という激動の半生を語り始めた──。【前後編の後編。前編を読む】

──家族と離れてまで高円寺に住み続ける理由は何ですか?

「僕に合う食べ物が名古屋にないんですよ。今は、舌がもう高円寺の舌になっちゃってるから、名古屋飯は3日もたないです。寿司にトンカツ、朝ごはんは『やよい軒』、『目利きの銀次』もいい。若い頃は魚を全然食わなかったんですけど、『桃太郎すし』とかで寿司を食べるようになりました。あとは、うなぎ定食にとろろを乗っけて、更にキムチ足して混ぜて、青汁ドレッシングをかける。そうすると本当に美味しいんです」

──豪快な食生活ですね。とても80代には思えないです。

「30歳で東京に出て来てからもう81歳ですからね。昔の高円寺の友達は出世して六本木かどこかに引っ越して行ってしまったけど、そういう連中はみんな死んでる。僕はあまりに不摂生な生活をしてたから『一番先に死ぬ』って、仲間うちでは言われてたんです。

 朝から仕事があるときに限って朝6時まで徹夜で麻雀をやりました。なので1時間しか眠れなくて遅刻が多かった。TBSの助監督が自分の遅刻癖のせいでクビになったってことで、流石に懲りて仕事前の徹マンは辞めました」

──まるで独身のような一人暮らしですが、最近はどんな生活をしていますか。

「男は悲しいですね〜。金を稼ぐ以外に認められる術がない。60歳過ぎたら人間あまり働からない方がいいって言われてますが、70歳過ぎて大病してから仕事も少なくなって、今の収入は『Qさま!!』のナレーションなど、生活に困らない程度の仕事はいただいてます。この前、CMの仕事があったから、そういうのが口座に入ってるんじゃないかな。どの道、稼いでも取り合いで喧嘩になっちゃうから、上手に使い切って死んでいくのが良いかなと思うんですけど。本当に運が良いです」

──2010年に「心筋梗塞」で緊急入院されていますが、今は体調管理で気を付けていることはありますか。

「ゆっくりストレスなく寝たいだけ寝るってことですね。仕事ない時は本を読んで朝6時くらいまで起きてます。夜型生活なので『そういうサイクルに付き合いたくない』って言われ、友達が減りました。その流れで7時に『やよい軒』で朝飯食って、寝る前に美味しい青汁を一口飲む。気休めかもしれませんけどね。

 マネージャーが『危ないから』ってガスを全部止めちゃったので、電子レンジしか使えず全部外食ですが、そうやって好きなものを食べるのが健康管理ですね」

──最近、表立って活動されてない森本さんを心配しているファンにメッセージをいただけないでしょうか。

「ファンがいるとは思えないけどな……。そおっと消えていってるから。まあ、本当にありがとうってことしかないですね。昔、日活のスターだった長門裕之さんに『役者は将棋を指さなきゃダメだ。シナリオ読めないだろう』って言われて勉強して、3カ月で勝つようになったんです。そした『お前、本読んだな? 卑怯なやつだ』と怒鳴られたけど、家まで連れてってくれて可愛がってくれた。そういう良い先輩に優しくしてもらって。大滝秀治さんも森繁久彌さんもみんなほんとにいい人で、さりげない一言にエネルギーをいただいた」

──なるほど、古き良き時代ですね。今の演劇界をどう見ていますか。

「もう演技の価値観が変わってきてるんです。昔の演技はジェームズ・ディーンのように存在することだった。今は演じ倒すことが演技になってしまった。演じ倒すのは割と簡単だからやりますけども、彼のようにさりげなく存在して、物語の底の底を動かしていくっていうのが役者の演技でした。今はそういうのは時代的に間に合わないね。邪魔ですね。本当に良い時代に役者として楽しめた。その名残を『Qさま!!』とかのナレーションでそろっと出していきたいですね」

 そう言い残すと、行きつけの本屋へと向かった。魅惑の声はいつまでも色褪せない森本レオだった。

(了。前編を読む)

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