Infoseek 楽天

TKO木下隆行「“ペットボトル投げつけ”は素で行えた」人気漫画の実写ドラマ出演での怪演を明かす

NEWSポストセブン 2024年9月12日 16時15分

「気持ち悪い」「ペットボトル投げるの上手いですね」──厳しいコメントがズラッと並ぶにもかかわらず、お笑いコンビ・TKO木下隆行(52)は「ある意味、狙い通りです」と苦笑いを浮かべた。

 実写ドラマ『ぬらりひょんの棲む家』(ショートドラマアプリ『SWIPEDRAMA』にて公開中)が好評を博している。小説・漫画アプリ『peep』で大ヒットした小説・漫画が原作で、沼尻という不気味な中年男性に弱みを握られた家族が、沼尻とその妻を家に住まわせることになり、精神的に支配されてゆく、というストーリーだ。

 下着姿で我が物顔で家を歩き、家族をまるで奴隷のように扱う。仏壇のお供物のお菓子を手掴みで食い、「お茶持ってこい!!」と母(原幹恵)に怒鳴り声をあげたり、父(半田周平)に一升瓶のお酒を吐くまで一気飲みさせる。反抗的な長男(小川佑)には「座れ、クソガキ!」とペットボトルを投げつける──このように沼尻役を務める木下の“胸糞”な演技が大きな反響を呼んでいる。木下はこう語る。

「実は監督から『台本を覚えなくていい』って言われたんですよ。正確には『話の流れは頭に入れて欲しいけど、セリフは台本ではなくて自分の言葉にしてくれ』って言われたんです。

 原作の沼尻は標準語ですが、僕は関西弁じゃないですか。それもそのままでいいし、“この流れは腹立って大声出すやろな”と思ったら大きい声出していい。つまり『木下隆行でおってくれ』って。だから、演技はほとんど木下隆行なんすよ。そういう意味では監督が僕の怖いところや嫌なとこもある程度見抜いてたんでしょうね(笑)」(木下。以下同)

バイプレイヤー木下が驚いた「令和のドラマ」構成

 木下はドラマや映画でバイプレイヤーとして活躍してきた。『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)や『半沢直樹』(TBS系)、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」など数々の作品に出演してきた。しかし、今作の撮影は驚きの連続だったという。

 まずは作品構成。同作の1話は2分~2分半ほど。全28話視聴しても一般的なテレビドラマ1話分とそう変わらない。

「時代の流れなんですかね。最初は1話2分ちょっとでどう話を展開するんやと思ったんですが、1話に必ず起承転結を入れるんです。それで息つく暇もなくサクサク見てられる。“時代やな”とは思いました」

 映像もスマホでの視聴を想定して縦長になっている。そのため撮影現場でも苦労が多かったという。

「縦撮影にみんな慣れてないので、 普通の撮影では映らない部分が映ってしまうんですよ。上に置いてあるセットの電球が映っているとか、下も足元に置いてある荷物が映ったりとか。みんな縦撮影は1年生なので『え、ここも映ってんのか』みたいに驚いてましたね。

 カメラも普通のカメラをグイッと縦にする。だからカメラに入っているメーカーの名前も横向きで。まだここは原始的なんやと思いました(笑)。今後、縦撮り用のカメラもどんどん出ていくんやろうし、その1歩目を見てるような気がして、なんか嬉しかったですね」

 アプリ「SWIPEDRAMA」上では全28話が公開されているが、YouTubeでも11話まで公開されている。SNS上では、大柄な体、舞台で培われた大声、そして「相手が嫌がることっていうのを常に頭の片隅に置きながら」行なったという木下の演技への反響が目につく。

印象最悪キャラでも「断る選択肢はなかった」

 実は出演オファーが来た際、木下は原作漫画を読んでおらず、役柄については「ぬらりひょん……妖怪役か」という認識だったという。木下の役柄は一家に寄生する下着姿の中年男性だ。物は投げるし、お供物を手づかみで貪る。

「僕のイメージが最悪で、少しでもよくせなあかんなって思ってるなかで、『もっと悪なるやないか』と思ったんです(苦笑)。ただ、台本、原作がめちゃくちゃ面白かったし、世の中で見つかってないだけで、こういう家庭があってもおかしくないというリアルがめちゃくちゃ怖かった。世間の皆さんが抱いている僕のいまの印象なら、逆にちょうどハマるんちゃうかな。確実に、完璧にやり切ったらバズるんちゃかなと。そうやって意識がどんどん変わっていった」

 だが、たとえどんな役でも「僕の中で“断る”なんて選択肢はなかった」という木下。それは仕事がほしかったからというわけではなく、今回の出演に至った経緯だ。きっかけは、2019年に発覚したパワハラ騒動で謹慎していたとき、X(旧Twitter)にきた一件のDMがきっかけだった。

「ある有名ゲーム雑誌の元編集長の方で『僕はファンです。とはいえ、木下さんがやってしまったことは反省すべきだと。でも再出発でお力になれるようなことがあれば言ってください』って。無茶苦茶嬉しかったんですよ。

 で、実際にお会いして、その人のアドバイスでピアノを習い始めたりとか。その人と動画を撮るようになってYouTubeと向き合ったり……」

 木下は元編集長について「メンタルの恩人」と幾度となく繰り返す。そんな恩人から今回の出演のオファーが来たので、木下には即答以外の選択肢はなかった。

「やっぱコンビでね、こうやって不祥事起こしてしまって。ドラマとかCM。うん、やっぱ遠い話になってしまったわけですよ、僕からしたら。で、もうそこはちょっと諦めなあかんのかなと思ってたところでもあったので、この立ち位置でやらせてもらえるっていうのは、すごく、こう大きい。一生忘れない思い入れのある作品になるんやろうなと思ってます」

 取材の最後、こう本音を吐露した木下。今後の「俳優・木下隆行」の活躍を期待したい。

 

 

この記事の関連ニュース