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《政策リーフレット配布で口頭注意》総裁選立候補の高市早苗氏(63)がもつ“運と愛嬌” 2度目の出馬表明に繋がった「安倍元首相が残した“アドバイス”」

NEWSポストセブン 2024年9月14日 17時15分

「今の日本がなすべき事は、世界の分断回避への働き掛けと、確固たる国家観による国家経営だと考えます」──9月9日、高市早苗経済安全保障担当相(63)が2度目となる自民党総裁選への出馬を表明した。(前後半の後編。前編から読む)

 同日午後の出馬会見では 「サナエあれば憂いなし」のスローガンを掲げ、会場では終始マスコミに笑顔を見せながら舌戦に臨む決意を示した。

 一方で暗雲も立ちこめている。今回の自民党総裁選においては、9月3日に選挙管理委員会が「お金のかからない総裁選」を目指し、政策パンフレットの郵送禁止などを決めていた。ところが、高市氏が自身の政策に関するリーフレットを全国の党員らに向けて8月中に送付手続きを行っていたことが問題視されている。

「本人は『ルール制定の前に配布の手続きを済ませていたこと』としていますが、結果的に禁止が決まったあとに配布されたことを受け、党内では批判の声も強まったことから、委員会から口頭注意を受けた」(全国紙政治部記者)

 厳しい目を向けられている高市氏だが、“運と愛嬌”においては天性のものがある。

彼女が口にする「国家経営」という言葉のルーツは、パナソニックを一代で築き上げた実業家・松下幸之助氏の考えから着想を得たものだ。松下氏が日本のリーダーを育てるために作った「松下政経塾」に1984年から5年間ほど身を置いた高市氏だが、2004年に創刊された『論叢 松下幸之助』という学術雑誌に塾の面接時のある話を寄せている。

〈試験会場のホテルに到着し、意気揚々と面接会場に入った私は、いきなりすくみ上がってしまった。(中略)それまで人前で緊張することなど皆無だった私が、松下塾長の眼光に圧倒され、自分をアピールするどころかほとんど喋れないままに時間が経過してしまった。背中を冷たい汗が流れるのを感じていた。

(中略)がっくりと肩を落として面接会場を出た私に、松下政経の職員がカメラを向け。反射的にニカッと笑って写真に納まった〉

 面接の場で政治・経済に関する持論をほとんど語れず肩を落とした高市氏だったが、数日後に合格通知が届く。なぜ受かったのかわからず不思議に思うなか、後に塾の職員から裏話を聞かされる。

〈松下塾長は、リーダーの要件の一つとして、『運の良さそうな顔』と『愛嬌のある顔』を挙げておられたというのだ。一次選考と二次選考の段階で学力や体力や時事問題への考え方は判定できているわけで、三次選考の目的は、『松下塾長が、受験生の“顔”を見ること』だったのだそうだ。

 面接直後に職員が撮った写真は、その夜、ホテルのベッドの上に並べられ、松下塾長が指差しながら合格者を決められたのだと聞かされた。結局、緊張の余り汗をかきかき困っていた顔か、カメラに向かってニカッと笑った顔で選んでいただけたらしいと納得した〉

安倍元首相が残していた「アドバイス」

 最近ではこんなエピソードもある。30年以上、政界を取材しているジャーナリスト は「安倍元首相は生前、高市氏に“あるアドバイス”を残していた」と明かす。

「自民党の歴代首相は在任中に派閥を抜ける慣習があり、それは安倍元首相も例外ではなかった。第四次安倍内閣が終わると、彼は元の清和会に戻りのちに会長になったわけですが、その際に2011年にすでに派閥を抜けていた高市さんは『安倍さん、私も一緒に(派閥に)戻りたい』と強く打診。

 しかし安倍さんはそのとき『高市さんは前の総裁選に出たとき、派閥に関係なくいろんな人に頭を下げて協力してもらった。しばらくはそのまま(無派閥)がいいよ』と断ったのです。

 今回の出馬に際して本人は『強いバックがいるのは正直羨ましいけどね、結局(派閥には)戻らなくてよかった』と周囲に漏らしていて、もしあのとき派閥に戻っていたら、今回の総裁選出馬はなかったかもしれませんね」

 生前の安倍元首相が「彼女こそ保守派のスター」と評価した高市氏。持ち前の“運と愛嬌”は総裁選でも活かされるのか──。

(了。前編から読む)

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