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「頭のおかしいじじい」“紀州のドン・ファン殺人公判”で明かされた元妻・須藤早貴被告のネット検索ワードが生々しすぎる

NEWSポストセブン 2024年9月18日 6時29分

 2018年5月24日の夜──『紀州のドン・ファン』と呼ばれていた和歌山県田辺市に住む資産家、野崎幸助さん(当時77)が自宅で亡くなった事件。殺人罪に問われている元妻・須藤早貴被告(28)の裁判員裁判が9月12日から和歌山地裁(福島恵子裁判長)で開かれている。元妻は初公判罪状認否で「私は社長を殺してません。覚醒剤を飲ませたこともないです」と否認。無罪を主張している。野崎さんの死因は急性覚醒剤中毒。解剖の結果、野崎さんは覚醒剤を経口摂取した可能性が高いとみられている。

 野崎さんが亡くなった日、在宅していたのは野崎さんと家政婦、そして今回殺人罪に問われている元妻の須藤被告。家政婦は日中から20時過ぎまで外出しており、帰宅後は野崎さんのいる寝室に行っていない。野崎さんと須藤被告が自宅で2人だけの時間帯に、一体何があったのか。【前後編の後編。前編を読む】

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 法廷に現れた須藤被告は黒いノースリーブのワンピースを着用。ツヤのある黒髪は胸の下まで伸びており、大きな白いマスクをつけている。罪状認否では消えそうな声で「私は社長を殺してません。覚醒剤を飲ませたこともないです」と述べたが、検察官は、須藤被告が事件当日の16時50分から20時までのどこかで野崎さんに覚醒剤を摂取させたと主張している。公判では事件前後の須藤被告のインターネット検索結果やYouTube閲覧動画などが証拠として読み上げられ、須藤被告が繰り返し〈完全犯罪〉と検索していることが明らかになった。

 すでに多くのメディアで報じられている須藤被告の検索履歴には、彼女の行動と照らし合わせると、たしかに不可解なものが多々見られる。

 たとえば野崎さんからの離婚届が須藤被告に送付された直後には「老人 死亡」「老人 完全犯罪」と検索。須藤被告が違法薬物の密売人と連絡をとった当日には「覚醒剤 過剰摂取」「覚醒剤 死亡」と検索し、その翌日、人間の致死量の約3倍とされる3グラムの覚醒剤を購入。密売人に10数万円を渡した。さらに数日後には「殺す」「覚醒剤 死亡」「警察24時」「警察24時 覚醒剤」などと検索。その後も「覚醒剤 死亡」と検索を続ける。

 事件1ヶ月前には「遺産相続 専門家」「相続税相談先」「遺言書の書き方」「無効とならない正しい自筆証書遺言書の書き方」「遺言書の書き方 全ての」「妻に全財産残したい場合の遺言書文例 遺言書」と、相続についての検索を繰り返す。

次から次に…不穏な検索ワードの数々

 事件前日には「頭のおかしいじじい」と検索し始め、当日日中にも「老人 頭がおかしい 理由」「頭おかしいと言われる場合のある精神疾患の種類」などと高齢者の精神的な問題について調べ続ける。夕方には「税金のない国」「税金のない国は存在する」「ドバイ 税金」と、税金対策について情報を得ようと検索した形跡があった。

 事件が起きた直後、日付が変わった2018年5月25日の2時ごろからは「インスタグラム 一括削除」と検索し、数日後には「警察 携帯履歴 盗聴」「警察 携帯 検索履歴 盗聴」「通信傍受 要件」「通信傍受 方法」「通信傍受 インターネット検索」「通信傍受とは」「通信傍受」「遺産相続 どれくらいかかる」など、警察の捜査について検索。

 その後も「バレずに殺せば正義 復讐代行」「野崎幸助 薬物」など、不穏な検索は止まらず、事件翌年の春も「殺人罪 時効」「殺人 自白 無罪」「殺人 自白なし」「覚醒剤 現行犯逮捕」と調べ続けていた。

 野崎さんは2018年5月6日、愛犬「イブ」が死んだことから、お別れ会を同年6月11日に開催すると決め、その準備に明け暮れていた。家政婦が事件の日に自宅を離れていたのも、イブのお別れ会の準備のためだった。

 検察官はこうした事実などから、野崎さんが自ら命を絶った可能性も、家政婦による犯行の可能性も低いとみているようだ。果たして事件は須藤被告によるものなのか。公判には今後、覚醒剤の密売人を含む、28人の証人が出廷する見込みだ。

(了。前編から読む)

◆取材・文/高橋ユキ(フリーライター)

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