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《石川県能登の豪雨》珠洲市仁江町の元区長が語る被害状況「震災のときに建てた仮説住宅も浸水している」「電波が通じない」

NEWSポストセブン 2024年9月24日 17時15分

 元日に発生した地震で甚大な被害を受けた石川県の奥能登地域。あれから8か月ほどが経ち、復興も進みつつあったが、9月21日から石川県は記録的な豪雨に襲われていた。9月23日には、河川の氾濫や土砂災害が起きた能登半島3市町で道路が寸断されたことで、集落のおよそ56カ所が孤立状態になっているとの報道もある(23日午後3時時点)。また、死者や行方不明者も出ており、自衛隊のほか、各自治体による救援活動も続いている。地震の被害が大きかった地域の住民たちは今どうしているのか──。

 珠洲市仁江町で区長を務めていた中谷久雄さん(69)は、震災時加賀市に避難し、現在は石川県かほく市に身を寄せているという。中谷さんに今回の大雨の被害について聞いた。

「豪雨になる当日の土曜日(21日)、私は元々住んでいた珠洲市仁江町で行なわれる会合に行く予定がありました。かほく市を7時に出て、穴水町に8時に着き、そのまま珠洲市のほうまで車を走らせていたんですが、穴水を出てから20分くらい経ったとき、とてつもない強烈な雨が降ってきました。

 9時頃に珠洲市には到着したんですが、この大雨のなかでこのまま車を走らせて山を越えるのは、土砂崩れもあるかもしれないし、かなり危険だなと感じまして、いったん珠洲市役所に避難したんです。でも、みるみる珠洲市役所の外の道路は泥水だらけになってきて、膝の半分くらいまで泥水に浸かっていました。

 それから夕方の2時半くらいまで市役所に避難していたんですが、国道に倒壊した杉の木が大量に散乱していて、道が塞がれてしまい、かほく市に帰れなくなってしまったんです。重機が散乱した杉の木や土砂を一生懸命どかす作業をしていました」

「震災のときよりもひどいですよ」

 珠洲市では市内各地で断水が続いており、給水活動が始まっていると報じられた。中谷さんも「インフラが止まっている地域が目立つ」という。

「外浦地区(能登半島の西岸あたり)のほうは、土砂崩れとかの影響で孤立していたところもあったそうです。孤立していたうえ、電気は来ないし、電波も届かない。外浦地区の区長それぞれに電話をしても、誰1人出ないので本当に心配しています。震災時に建てた仮設住宅も浸水しているみたいで・・・・・・。おそらく震災のときよりも状況はひどいですよ」

 救助活動も全体的に遅れが生じているように感じるという。

「孤立している分、震災時のように物資を届けるためにヘリがもっと飛んでいてもおかしくない。けど、今私がいるかほく市からヘリが飛んでいったのはたった1機か2機だけ。震災時の時は1日に何台も飛んでいたのに。

 自衛隊や消防の到着も遅かったように感じられました。正直、役所の方たちもかなり疲弊しているようにみえるんです。だから手配の対応なども遅れてしまっているんでしょう。

 輪島も珠洲も復興が少しずつ進んでいた。それなのに、また振り出しに戻ってしまった。『これで輪島も終わってしまったな』というガックリ感が漂っています」(中谷さん)

 一刻も早い復興が望まれる。

 

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